小説ソーヤング
この物語は、くま太郎初作品になります。
過度な期待は、しないで下さい。
1
消しゴムがなくなった。
そこから全ては、始まった。
大学2年の夏休み、なんとなく未来も見えないまま補習を受けていた俺、風汰は、消しゴムがないことに気がついた。
昨日の補習で、落としてしまったのか、そんなことを授業中に考えていた。
「消しゴムないの?」
キャスケット帽をかぶった隣の女性が喋りかけてきた。
女性経験がない俺は、というかないわけではない。
小学校の家庭科の授業で、みんなで近くのスーパーに行った時に先生が手をつないで行きましょう。
なんて言うもんだから手ぐらいは、つないだことがある。
あと、地域の集まりなんかで近くの人とペアになってお話ししましょう。
なんて言うもんだから、趣味や得意なことを言い合ったものだ。
「あぁ」
よそよそしい返事しかできない俺を気にもとめずに彼女は、屈託のない笑顔でしゃべりだした。
「私もなぁい。そういえば今消しゴムがなくなること流行ってるんだって。」
ないんかい。そんなツッコミを心の中でした。
でも、そんなどうでもいい様なことを誰が流行らしたのか。
「ねぇ、気にならない?私達で解決しようよ。この難事件。」
彼女の名前は、鬼灯犬子たまに補習で一緒になる子だ。
ものすごく気概を感じる何故だろう。
そもそも知らない仲ではないにしろ何故こんなことを言い出したのか...
しゃべったことは、挨拶程度だし俺に気があるのかもしれないな。
「わかったよ、調べよう。まず何からする?」
予定も特になかった俺は、犬子の案にのることにした。
とりあえずと、講義終わりにそのまま講義室に残り作戦会議をして、お互いに知人友人から情報収集をする事に決まり、明日また会うことにした。
気づけば夕方16時、校内には人が少なくなっていた。
2
次の日、犬子とは校内の学食で会う約束をしていた。
ガラス張りの学食は、油照りしていて早めに来ないといい席がとなくなってしまう。
取っている補習でお昼ご飯をおざなりにしては、勉強は捗らないのである。
と、まぁ初めて女性とランチをとるのだ、いい席をとっておきたいのは、心情なのである。
「やっほー。待った?補習長引いちゃって。」
気さくな感じでやってきた犬子は、資料を持っていた。
「いやぁ、全然待ってないよ。今来たとこ。」
恥ずかしがらずに言えた自分に驚いた。
そして、ここからがこの物語の始まりである。
「ねぇ知ってる?最近流行っているおまじないがあるって。」
聞いてみれば、俺の持っていた、情報とかわらなかった。
恋愛運、金運、単位を落とさないようにするものもあったり、どうでもいいようなダイエットのおまじないもあった。
だがそのなかで異質なものもあった。
相手を不幸にするおまじないというものがあったのだ。
「誰かが流行らしたんだよね。これって魔女とかの仕業なのかな。」
犬子は、楽しそうだった。
「そういえば、おまじないってお呪いって読むんだよね。」
そう言って犬子は、わくわくしているのか満面の笑みで俺に笑いかけた。
とにもかくにも、青天の霹靂、ガラス窓の遠い空から見える入道雲は、とてもキレイだった。
3
あれから一週間が過ぎた。
お互い情報収集をしながら予定があわなかったので、また補習の日に会う約束をしていた。
とりあえず、これまでに聞いた情報をまとめておこうと思う。
まずは、おまじないが流行っていて、これに相手を不幸にするものがあるってこと。
その内容というのが小指の爪に名前を書いて剥ぐというものだった。
"いなくなった"生徒も数人いるらしい。
この件について俺がかかわるものじゃないんじゃないかとそう思ってきていた。
その日の補習授業には、犬子は、現れなかった。
それからまた一週間が過ぎて、おまじないのことは忘れかけていた補習の日だった。
講義室のいつもの場所にキャスケットをかぶった女性が座っていた。
「やっほー。いろいろあってこれなかったんだよー。」
いつものテンションで話す犬子に安心しながら、まずは連絡先を交換した。
そして、当たり前のように作戦会議が始まるのだった。
そこでこれまでの情報を犬子に話していると、途中で犬子が話しの腰を折ってきた。
「そうそう、そのいなくなった子がね、PCサークルでらしくて、もう学校来てるらしいのよ。」
犬子の情報もたいしたものだと感心していると、犬子が慌ただしくまた口を開いた。
「ほら、あの子だよ。」
廊下を歩いていた黒髪ロングの女性を指さして追いかけていった。
仮にその子が関わっていたとして、何をどう聞くのか。
よしんば関係があったとしてその子にとって聞いてほしくない事柄かもしれない。
なぜ、そこまでできるのか俺はすごく犬子に興味が湧いてきた。
その子に追いついた犬子は、講義室まで連れてきた。
彼女の名前は、夕涼ゆかた。
制服みたいな普段着におとなしそうな感じの子だった。
ただ左手の小指のには、包帯がしてあった。
「その包帯のこと聞いてもいい?」
ある程度の説明を犬子がしてくれたおかげで落ち着いて話すことができた。
「違うの、私、いじめにあっていて友達もいなくてそれで...」
おまじないに手を出したらしい。
ことの発端は、こうだ。
夕涼さんがPCサークルの先生と仲がよくて、その嫉妬した女子達から無視や物を隠されたり誤解を招くようなことを言いふらされたとか。
そこで、先生に迷惑をかけまいと、先生に教えてもらったおまじないをして、痛みが落ち着くまで引きこもっていたみたいだった。
「先生?」
犬子と俺は、言葉を失った。
数日後予定を合わせて犬子とおまじないについてどうするか考えることにして帰路に着いた。
4
数日後、犬子と学食で待ち合わせをしていた。
「これは、立花先生に直接聞いてもみるしかないねぇ。」
犬子が考えながら口を開いた。
これは、もう自分たちの範疇を超えていると思った俺は、警察か学校に言った方がいいと伝えた。
「いや、まだわからないでしょ、実際いなくなった人達がおまじないかどうかほんとかどうかもわからないわけだし。」
それは、そうなんだがなんだか嫌な予感がした。
「わかったよ。今日全部終わらそう、夏休みもあと少しだし。」
そう言うと犬子は、学校が終わる21時に会う約束をして、そのまま帰っていった。
校門前で待ち合わせをして、PCサークルの部屋まで向かった。
夜の学校は、大人になっても少し怖い、大人といっても中途半端だけれども。
つい数分前まで二部の授業があったにしろ帰っていく生徒ばかりだ。
たまに講義室の電気がついているところもあるが、点々としている。
「怖いのかにゃ」
犬子が猫みたいな言葉ではしゃいでいた。
「いや、武者震いってやつだぜ。」
うまい返しができた気がした。
「だっせー。」
そんなことは、なかった。
二棟三階の端の方、PCサークル準備室前まで行くとドアに光が灯っていた。
ドアを開けそうとすると、隣の講義室から風が流れてくるのを感じた。
「やっぱり来たんだ。」
暗闇から、黒髪の女性が話しかけてきた。
夕涼ゆかたがそこには、いた。
「違うって言ったじゃない。昭人先生は、何も悪くない。私の為にしたことなの。」
とても先日あった彼女とは、思えない強い口調だった。
「これは、あなたの為だけじゃない。今、人がいなくなったりおまじないが流行っていること、知ってるでしょ?。」
犬子が身構えた次の瞬間だった。
黒髪が揺らいで、カチカチカチっと音が鳴った。
5
「危ないでしょ?そんなの振り回しちゃ。」
犬子が冷静にカッターナイフをよけた。
興奮する夕涼ゆかたに俺は問いかけた。
「ちょっとまって、夕涼さん、もしかして知らないことじゃないかな。君だけじゃないんだよ。いなくなった人って。」
夕涼さんは、きょとんとした顔でカッターナイフを地面に落として、泣き崩れてしまった。
犬子が夕涼さんを介抱してくれ、落ち着いてから犬子と準備室へと向かった。
ドアを開けると立花先生は、PCでなにか作業をしているみたいだった。
「おぉ下野じゃないか。どうした?」
何食わぬ顔で仕事をしている先生をみて、嫌気がさした。
「先生は、なんでおまじないなんかを?」
ピタっと空気が張りつめていくのがわかった。
少しだけ時間が過ぎた気がする。
立花昭人は、こちらを向いて笑って言った。
「そっちのほうが面白いじゃないか。女子大生が自分に固執してくるんだぞ。先生もな、男なんだ、なんでもない毎日をすごして、そうだな暇だったんだ。下野、今は男"二人"だけだしどうだ?一緒に楽しい夏休みにしないか?まだ3人ぐらいいけそうなのがいるんだが。」
そういうと、立花昭人は、肩を組んできた。
「あの、おまじないって...」
俺は情報を聞き出す為に話しを合わせることにした。
「あぁあんなの嘘だよ。というか好きだろ女ってそういうの。自分に好意があるとわかったら進めるんだ。出来れば一人でいる子を狙ったほうがいいな。」
楽しそうなしゃべっている。立花昭人は、とても奇怪な感じがした。
「なんで左手の小指なんですか?。」
立花昭人は、嘲笑うように理由を話しはじめた。
「結婚する指の隣のを自分の物にするなんて気持ちいいじゃないか。」
そう言って彼はまた、笑いだした。
「キモい。」
ドアの前で全てを聞いていた夕涼さんがカッターナイフ片手で立っていた。
それを見た立花昭人は、驚いて腰を抜かしてしまったのだった。
このあとのことは、なしくずし的に話していこうと思う。
立花昭人は、学校から解雇処分となり、夕涼さんと同じように引きこもっていたおまじないをした人達とで裁判をしているとか。
夕涼さんは、というか最近よく一緒にお昼を食べている。
友達第一号だ。
犬子は、というとあれから姿をみていない。
夕涼さんも犬子のことは、"知らない"と言っていた。
夏休みがあけて講義が始まった。
どこまで書いたんだっけ、消しゴムがなくてあたりを見渡すと、隣のキャスケット帽子をかぶった女性が話しかけてきた。
「消しゴムないの?はい、どうぞ。」
さて、どこから書き直そうか。
読んでくださり、ありがとうございます。
うまくまとめられていないところもあるかもしれませんが、なにか感じとってくれたら幸いです。ご意見ご感想おまちしております。




