1.死者に手向けを
初投稿、気が向いたときに妄想を垂れ流します。
────暗い、辺り一面は闇に覆われている。
「誰か居ないか!」
男の発する声に返事は無く、周囲は不気味なほどの静けさに包まれている、まるでこの世界に自分一人しか居ないようだ。
「ここはいったいどこなんだ……?」
自身の置かれた状況を理解できないまま男は足を動かす。
1時間ほど経った頃だろうか、遠くのほうで何か灯りのような物が見えた気がした。
「今の光はいったい……」
男は灯りが見えた場所に走り出す。
10分ほど走った頃だろうか、立ち止まり周囲を見渡す。
「おや、客人とは珍しい」
男の背後から声がした。
「本来なら人が来れるようなところでは無いはずですが一体どうされましたかな?」
突然声をかけられた男は背後の男の正体を確かめるために振り返る。
「あ、ああ、気がついたときにはすでにこの場所にいて、あんたのランタンの灯りが見えて追ってきたんだ。」
振り返った先に立っていたのは2mを超えるであろう老人だった。
老人の手に持つランタンの灯りは今にも消えてしまいそうなほど小さく手元を微かに照らすだけである。
「そうですか、それはお困りでしょう私が道案内をいたしましょう。」
そう言うと老人は暗闇の中を歩いていく。
「それはとても助かるが、ここは一体どこなんだあ生き物の気配が一切しない、なにか知ってることがあるなら教えてもらえないか。」
男の問いかけに老人は答える。
「教えたところで意味はないと思いますが、せっかくの客人ですお答えしましょう。」
教えたところで意味はないと言う老人の言葉に疑問が浮かんだが、老人が次に発した言葉でその疑問はかき消された。
「あなたはもうすでにしんでいるのですよ。」
「そうか……」
俺のあっさりとした反応に老人は少し残念そうな反応をした。
「おや、驚かないのですね?」
「戦いに生きるものとしていつかは死ぬだろうと覚悟はしていたからな。」
もう少し生きていたかったとは思うが、故郷を飛び出し傭兵として十数年生計を立ててきた、いつ死んでもおかしくはないと思ってはいたが、思ってたよりあっさりと死んじまったな。
「まだこの世に未練があるご様子ですが、貴方は運が良い条件はありますが現世に蘇る事が出来ます。」
老人の言っていることが本当なら聞いてみる価値はある。
「その条件というのは?」
老人の口角が吊り上がり不気味な笑みを見せる。
「なに、貴方には3人の王を殺していただきたい。黄昏の国トワイライトを統治する3人の不死の王達を殺していただきたいのですよ。」
引き受けなければこのまま死んでいくだけなのだろう、選択肢なんてものはない。
「わかった、その条件を呑もう。」
そう言うと老人の口角はさらにつり上がる。
「では貴方をトワイライトまで送りましょう。しかし、貴方がここで見聞きしたものはトワイライトにつく頃には忘れてしまっているでしょう。」
「おいおい、それじゃどうやって条件の事を覚えておけばいいんだよ。」
当然の疑問だ、老人もそう言われるのをわかっていたようで言葉を続けた。
「その点についてはご心配なく、トワイライトに着けばわかるでしょう。」
老人がそういう終わると同時に世界は闇に包まれた。