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第17話  実力差

       第17話  実力差


「守破流?聞かぬ名だな」


「守破流は俺の父が創り上げた流派だ。攻めの剣と守りの剣、二つの刃を使い分ける二刀流。

父は“技能”を持たずに生まれた。それを補うため、ただひたすら剣だけを極め続け――その果てに生まれたのが、この流派だ。」



「なるほど、面白い。ならば努力が才能に叶わぬことを教えてやろうお前を殺した後になぁ!」


そう言って爪を出して再び襲いかかってくる邪神の使徒。その攻撃を平べったい形状の剣『睡蓮』で受け流す。


「小癪な!我が本気を見せてやる!、魂核解放『邪王大魔剣』邪王大連撃!」その瞬間禍々しい剣が現れそれを用いて斬撃を放ってくる。


「守破流参の奥義 水龍の滝」

斬撃を水が流れ落ちる滝のように受け流し反撃する。

「守破流弐の奥義 銀吹雪」


荒れ狂う吹雪のような剣撃を浴びせ追い詰めていく。


「馬鹿な!?この私の本気を、魂核解放をこうも簡単に…その顔つきまさか貴様は!?」


いい終える前に心臓を突き刺し息の根を止める。邪神の使徒か、まだ厄介なもんが出てきたがどうしたもんか。まぁとりあえず今はあのお方の様子を見ないとな。

防御結界と隠蔽魔法を解除し隠れてもらっていた陛下に話しかける。


「お怪我はありませんか?陛下」


「あぁ、大丈夫だ。すまんな迷惑をかけて」


「お気になさらないでください陛下…っ!『霧隠れ』!」


再び陛下に魔法をかけその存在を隠すが自身の防御までは間に合わずギリギリで回避しきれず左腕を失う。痛みに耐えつつ火魔法で傷を焼いていく。

「なんで生きてやがる!」


「確かにお前はこの体の本来の持ち主は死んだ、此奴は弱い方だったがそれでも我が使徒を倒したのだ褒めてやろう。私はこの死体に一時的に憑依してるに過ぎんが貴様を殺すには問題あるまい」


「随分と舐められたもんだな」

だが実際あいつの言うことは事実だろう、身体強化しているのに腕を持ってかれたんだ。神かどうかはともかくそれに近しい存在であることは確実だ、だが憑依状態なら体を吹き飛ばせばなんとかなるだろう。


片腕の状態で剣に魔力を込めていく転移魔法1回分の余力を残してそれ以外の魔力を全て放出させる。


「吹き飛べ!クソ邪神!『灼熱斬!』」

熱を帯びた紅き剣と魔力が爆風と爆発を巻き起こし目の前の相手の肉体ごと吹き飛ばす。


「なにっ!?チッ!なかなかやりおる今日のところはこれで勘弁してやろう、だがお前とそこに隠れている王の命はいずれ貰い受けるぞ!ヌハハハハ!」


焦げて炭の塊とかした死体から何かが抜け出ていった。それを見て安心し力が抜けて地面に倒れこむ。何とか力を振り絞り陛下の下へと向かう。


「旧都へ向かいましょう、あそこならかつての王城があったはずです」


「あぁ、そうだな。だがお主のその怪我それにその腕平気なのか?」


「怪我は回復薬で治せますし、腕も一応宛があるのでおそらく大丈夫です」


そう言いながら転移魔法を発動し旧都へと向かった。






「『魔』の封印に成功した少年がいるだと?」


「はい、顔つきからして先のアビステリア王国王都襲撃事件にて転移してきた者と思われます。お会いになられますか?」


「ふむ、そうだなあれの封印は史上初めての事何か与えねばな。学園長から彼の者に王城に登城するよう伝えておくよう言っておけ」


「御意」

ククッこんな事になろうとはな全く楽しい人生だ。この国の益となるか災いとなるか見定めさせてもらうぞ。




魔を封印してから3日ほどたったある日学園長から呼び出され国王直々に王城へ来るようお達しがあったとの話を聞かされた。正直予想はしていた、魔を封印ではあるが無力化したのだ、実力主義のこの国のトップが目をつけないわけがない。



「お前らもくるか?手紙によると封印時に一緒にいたパーティメンバーも連れてきても良いと書かれているが」


「俺は行くぜ!陛下に会える機会なんて早々ないしこのチャンスを逃したら2度とない気がするしな!」


「僕も行こうかな、いい経験になるだろうし」



「面を上げてその顔を見せてみよ」


3日後、俺達は国王陛下に謁見していた。武力で王の座を手にしただけあって鍛えられた肉体と顔にある大きな傷跡が目立ついかにも武人と呼ぶに相応しい人物だった。


「そなたらがあの魔を封印した者たちか、随分と若いのだな。実に興味深い、今回の件は正しく偉業と呼ぶに相応しい。欲しい物があれば遠慮なく申すが良い」


「では、この国の国民権と住居を頂きたいです」


「わたっ、わたくしはこの国1の鍛冶師が造った剣を」


「私は魔法の杖を頂きたいです」



「相分かった、1週間以内に用意させよう、下がって良いぞ」


学園に帰る馬車の中で王様の話題が上がった。


「なんと言うか迫力がすごかったね」


「この国最強ですからね、最も強さにしか興味が無ければあの大会には出ないかもしれませんが」


「あの大会の出場者は強さと権力その両方を求める人が多いだろうな」


王として君臨するためこの国には毎日のように強者が集まり国王選定武術大会に向け鍛錬している。大会は基本的には誰であろうと参加できるが他国から来る者はその身分を証明するものが必要となる。

他国のスパイにでも潜り込まれ優勝されたら洒落にならないからな。



「レイス君は次の選定大会に出るの?」


「いや、出ないぞ。俺は0から国を造る」


どの国の領土でもない土地、通称『魔の大地』かつてはエルナス王国が存在していたが人類敵対派の魔族に侵攻され成すすべもなく滅ぼされた。現在の王国跡は廃墟とかしており魔物や下級魔族が住み着いている。また最後のエルナス国王ラオスト・エルナスは、生き残った僅かな国民と共に公国を建国し王国跡を取り戻した人間には新たな国としての建国を認めると言う遺言を残しこの世を去っている。他の国もラオストの人柄が良かった事もありこの遺言に対し賛同の意を示し建国後の支援を約束している。 



「国を造るか、凄いね。あの地域を取り戻すつもりかい?」


「あぁ、現状平民が国を建国するなんて相当の後ろ盾がないと無理だからな。魔族を追い払うだけなら簡単だ」


「流石っす兄貴!その時は俺もついていきます!」


「僕も精一杯手助けするよ」


「あぁ、頼りにしているよ」


「そういえば王国1の鍛冶師ってどんな奴なんだ?」


「レイス君は、この国に来てまだ数年だもんね、知らないのも無理ないよ。この国の鍛冶師は免許制で試験に受かれば誰でもなれてその腕前によってランクが付けられていて半年に1回評価試験っていうのがあってそこでそれぞれのランクの基準に達していれば例え鍛冶師になって1日でも最高ランクのS級鍛冶師になれるんだ。」


「ちなみにAランク鍛冶師ですらここ100年は出てなかったのにいきなり現れて鍛冶師認定から半年でS級鍛冶師に昇格したのがエルド・ノルンなんですよ」


たった半年でS級か、さすがに技能持ちだろうがそれでも有能な人材には違いない。会う機会があれば良いんだがな。


曰くS級鍛冶師が鍛えた武器は龍の鱗にすら傷をつけ防具は神の攻撃すら防ぐと言われている。実際勇者東雲櫻が愛用している剣もかつてのS級鍛冶師が鍛えたとされている。


「そういや杖の方はどんなのにするんだ?」


「最近第1王子が赤竜を討伐なされたみたいでねその赤竜の魔石を使って作るみたいだよ」


「皆様、到着いたしました。ここがレイス様の屋敷でございます」


馬車を降りると少し古い雰囲気をかもし出す屋敷がそこにはあった。

その昔王を殺そうと兵を挙げた貴族の家があった。この国は確かに実力主義の傾向があるがそれはあくまで正攻法で戦った場合に限られる。王位選定武術大会以外で王位を狙った者はは処刑される事になっている。王位簒奪を目論み失敗し処刑されたのがカマエル・ブルートス伯爵であった。そして俺はカマエル伯爵が王都に所有していてその死後放置されていた屋敷を褒美として貰い受けたのだった。






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