第16話 ダンジョンの異変
第16話 ダンジョンの異変
「入学から3ヶ月が過ぎた、皆もここでの生活に慣れてきただ頃合いだと思う。そこで今日の授業は三人一組でパーティを作りダンジョンに潜ってもらう。このダンジョンの1〜3階層に出てくる魔物はそこまで強くないが油断はしないように。4階層以上に行くことは危険な為禁止とする。パーティができた者から私に報告してダンジョンに入るように。」
「いよいよ待ちに待ったダンジョン探索か。くぅぅぅ~早く行こうぜ!兄貴!姉御!」
「だから兄貴はやめろって…まぁいいか。」
「ふふっその呼び方も慣れてきちゃったよ。入学試験の時に絡んできたドレイブン君が懐かしいよ。」
「それは言わないでください姉御、あれは俺の黒歴史なんすから。」
「そろそろダンジョンに入るぞ」
そんな話をしつつ俺達はダンジョンに入って行く。
ダンジョンそれはこの世界に突如として現れる未開の迷宮、多種多様な魔物が出現し侵入者の命を刈り取らんとして襲ってくる。だがダンジョンがもたらす資源は絶大なものであり大量の魔鉱石や魔物の素材を入手することができる。その資源を求めたくさんの冒険者が日夜入り浸っている。
ウルブス魔法剣術学院は敷地内にダンジョンがありそこを生徒の訓練に使用している。出現する魔物も訓練に最適な強さなので学院創立以来新入生がダンジョンデビューするのが1種の伝統となっていた。
「あれはゴブリンか?随分と数が多いな」
ダンジョンを少し進むとファンタジー王道且つ定番の魔物ゴブリンがこちらに向かってきていた。ゴブリンの単体での脅威度はそこまで高くなく大人なら簡単に対処できる、だが数が増えてくると連携してくるため並の冒険者でも油断すると足をすくわれかねない。
「俺が倒しますので兄貴達は援護をお願いします。」
「了解、土の手」
土属性魔法の1つ、土の手でゴブリン達の足を掴み足止めをする
「毒霧」《ポイズンミスト》」
ヴィオレッタが杖を使い毒の霧を生み出しゴブリンの動きを止め、その隙にリュークが突撃しゴブリン達を切り刻んでいく、我ながらなかなか良い連携だ。
「後はまとめて、ドレイブン流奥義 嵐之災害」
嵐のような斬撃がゴブリン達を襲い切り刻んでいく、いつ見ても良い腕だな。次の瞬間感じたことの無いようなプレッシャーが近づいてくるのを感じとった。
「ヴィオレッタ、リューク…」
「この気配はやべぇぞ」
「嫌な予感しかしないね」
ズシンズシンと足音を響かせ現れたのは普通のゴブリンよりも2周りほど大きいゴブリンだった。
「ゴブリンジェネラル、…いやこの大きさはキングか?」
「どちらにせよ厄介な相手だね。」
「全くだ」
すると突然ゴブリンキングが口を開き話し始めた。
「ヒトノコヨ、ワタシハコノダンジョンニスムゴブリンノオサデアル。ワレラゴブリンハソナタラトテキタイスルイシハナイ。」
少々拙くはあるが理解できる程の言葉を使ってきている。確かにゴブリンにはある程度の知能はある、だが人族の標準語を使えるなんて話は聞いたことがない。
「コンランシテイルノハワカルダガソレヲショウチデタノミタイコノダンジョンノオクニイル『魔』ヲハラッテホシイ」
『魔』それはダンジョン内に現れる人でも魔物でも無いナニカ。目撃例が非常に少ない上に強さも未知数、数少ない生き残りの冒険者の話しか情報はなく未だに詳細が明らかになっていない。
ある人曰く『魔』はダンジョンで死んだ生き物達の怨念が集まったものである。
ある人曰く『魔』はダンジョンそのものである。
「魔か…随分と厄介なもんが出やがったな」
「勝てますかね?」
「少なくとも今は無理だな、一応封印魔法を造ってはみるが通じるかは分からん」
「しれっと凄いことを…まぁレイス君だしなぁ」
「で?『魔』は何処にいる?」
「この先です」
それを聞いて先に進んで行くと居た、いやあったと言うべきか黒い繭のような物が存在していた。
「おいおいなんつー魔力圧だよ。下手したら兄貴よりも多いんじゃないか?」
「そうだな流石に予想外だ。だから出てくる前に封印する!」
だが次の瞬間繭が裂かれ中から羽の生えた人のようなナニカが出てくる
「チッ!深淵に蠢く災いよ。
我は光をもって汝を拒み、鎖をもって縛る。――封魔の楔!」
異空間から鎖が伸びそのナニカに向かい巻き付いていく四肢を鎖で繋がれ身動きが取れなくなった隙にヴィオレッタが魔法を放つ
「雷弾」
シンプルな名前とは裏腹にその威力は凄まじく頭に当てれば強力な雷が脳を焼く、はずだった。
「ヌ゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」
雷弾をくらったそれはそれ地を震わせる声をあげた。しかし叫び声をあげながら肉体に雷の様な模様が浮かび上がった。
そして次の瞬間雷弾の様な魔法を放ってきた。
「なっ!?模倣してきやがった」
面倒だな、一撃で倒すか封印でもしない限り勝てない。手間取えば手間取る程の相手の手数が増えていく。仮にこの『魔』とやらが複数いて同じ能力を持っているのだとすればこいつの討伐に向かった銀級冒険者5人と金級冒険者3人が死んだのも無理はない。
「30秒でいい時間を稼いでくれ!」
「分かりました、兄貴!」
「了解〜」
そう言って2人は次々と魔法を放っていく模倣されたときのことを見据え初級の魔法を使い妨害をしていく。
「聞け、虚無に囚われし災厄よ。
お前の力は我が前に無力、ここで終焉を迎える。
その肉は凍り砕け、大地の石となれ。
その力は形を失い、光なき宝玉へと閉じ込められよ。
いかなる再生も許されず、いかなる復活も拒まれる。
千年を経ようと、万年を経ようと、この封は解けぬ。
滅びよ、封じられよ、沈めよ――封魔転晶!」
詠唱を言い終えた瞬間『魔』の体が光り輝きながら石化していく手元に『魔』から出た光が収束し球体状になっていく。
全身のだるさに耐えながら2人の下歩いていく。
「なんとかなったんすかね?」
「まぁな、だいぶ魔力を消費したからだるくてたまらん。リュークこの石像を運べるか?」
「少し大きいっすけど余裕っすよ!」
無事にダンジョンから出て先生の元へ向かい、ダンジョン内での出来事を語る。
「『魔』が出てそれを封印したと…にわかには信じられんがあの石像とこの宝玉から溢れ出る異常な圧力圧力が真実だと告げている、分かった学院長には俺から伝えておくお前たちは休んでくれ」
「分かりました」
そう返事をし俺達は寮へと向かって行った。
「と言うわけでこれが力を取り除いた『魔』の石像とその力を封じた宝玉です。」
「封印とはいえ『魔』を無力化した功績は大きい。この事は陛下にお伝えせねばならんな。この2つは地下の金庫に運んでおいてくれ」
「分かりました。」
「っぷはぁ魔力ポーションがうめぇ」
封印魔法でアホみたいに消費した魔力を回復させながらステータスを見る。
レイス・クレセント 種族 ハーフエルフ 男 七歳
Lv 15 技能 武器生成 熟練度Ⅲ
防具生成 熟練度Ⅲ
魔法創作 熟練度Ⅳ
魔力量 30/400
筋力 190
防御力 103
俊敏性 97
知力 100
ステータス的には悪くないがまだまだだな。『魔』を倒せなかったのは痛いなあれを倒せてたらかなり上がってたはずだ。
明日になったらあのゴブリンキングに会いに行ってみるか、あれがいなくなったことで何か変化があるかもしれんしな。
翌日ゴブリンキングの下へ行くとそこにはスマートになりつつも何処かゴブリンぽさを残した人物がそこに居た。
「お前は昨日のゴブリンキングか?随分と見た目が変わったな」
「その通りです。我が主、貴方があれを封印して数時間後に突然この姿になっていました。」
何があったんだ?あいつに遭遇した時繭の状態だった…エネルギーを吸い取っていた?羽化するために?考えても分からんな。
「我らゴブリンのジェネラル以上の個体は稀にこの様な人に近しい姿になることがあります、その際に大量の魔力を必要とするみたいです。
この姿になった時に今の情報が流れ込んできました。」
「そうか…あの『魔』が籠もってた繭は羽化するための魔力を吸収していた、だからお前が人に近づくための変化が魔力不足で行われなかったと」
「恐らくは」
「それでどうする?これまで通りの生活をするのか?」
「いえ、可能ならばこのダンジョンのゴブリン一同貴方様に仕えさせて頂ければと」
悪くないな、普通のゴブリンはともかくこいつなら人の社会に混ざっても違和感は無いだろう俺が学校にいる間に情報集めができるかもしれないな。
「分かった宜しく頼む、ええっと…」
「お好きにお呼びください」
「改めてこれから宜しく頼むゴン」
「こちらこそ宜しくお願いします、我が主」
〜とある森〜
「何故だ!何故貴様ごときが邪神の使徒たる私の攻撃を避けれるのだ!断じてあってはならない!」
「避けているわけじゃねえよ、受け流しているだけだ俺の父親が生み出した剣術守破流でな」
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