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第15話    勇者の弟子

オマタセシマシタ

何もかも暑すぎるのが悪いんです...

   第15話     勇者の弟子

〜アビステリア王国王都〜


崩れ落ちた建物群。静まり返った王都の中心に、ひとりの男が立っていた。

「おのれぇ、下等な人間風情が私に傷を負わせるなど小癪な。だが奴は死んだ、私が不死となっている事も知らずにあのような魔法を使うとはつくづく愚かな奴だった」


「愚かなのは貴様だ。王都を襲い、無辜の民を恐怖に陥れ……そして我が息子を死に追いやった。その罪、万死に値する。」


「!?誰だ貴様は」


「私は、5代目勇者東雲櫻の1番弟子にして娘のヘラだ。元魔王軍四天王筆頭魔龍騎士グラキスいや魔王グラキス200年前の借り返させてもらうぞ。」


「なぜ私を魔王と呼ぶ?我が君は200年前にあの忌々しい勇者と相打ちになられたはずだが?」

 

ジリジリと2人が近付き睨み合う

「簡単な話です、貴方は200年前に師匠と相打ちになった時、もしもの時の保険として自身の魂を四天王の魂と融合させておいた、そして相打ちになったあとグラキスを含む四天王の意識を乗っ取ったそして捕まっていたグラキスを脱獄させここにいる、いくら四天王とはいえあの封印を解くのは不可能と言っていいからな。」


「流石勇者の弟子といったところか、たが今の私は不死となった貴様は勝てぬぞっ!」


焼け焦げた石畳の上に、何も残っていなかった。

たった今まで戦っていたはずの、あの子の姿も、声も、体温すらも。

不死の王が不敵に嗤う。

「哀れだな。形も残さず消え去る……お前の息子も、所詮は“無意味”だった」


『断界穿通』

剣が放たれた瞬間、空間が音を立てずに裂ける。

直線に走る斬撃は、魔力でも、物理でもない。

それは――「この世界にお前がいたという事実」そのものを切り捨てるもの。相手が不死だろうが関係ない切られた者はただ何も理解できずに消えていく。


「馬鹿なっ!、なぜ我が肉体が再生しないのだ!貴様ぁ!何をした!」


「聖剣花霞でお前を斬ったそれがその質問の答えだ」


「聖剣…まさか勇者の!?しかしあれは勇者にしか扱えぬはずなぜそれを貴様が持っている」


「確かに聖剣は勇者の出現と同時に勇者の前に現れる剣だ、だがその持ち主と聖剣に認められた場合、その者に貸し与えるまたは譲渡することが可能になるんだよ」


「師匠がお前と戦った時使っていた剣は普通の剣だった、私を生かすため聖剣を私に与え普通の剣でお前と戦ったそして相打ちになった。」


「何の変哲もないただの剣でこの私を追い詰めたと?」


「その通りだ、そろそろ消える時間だな。さらば、我が母の敵よ」


「おのれぇ……こんなところで、こんなところでぇ!この私がぁぁぁ!!」


そう言いながらグラキスは消えていった。


「終わりましたよ師匠…いえ…母さん。」


母は、異世界から召喚された人間だった、その事もあってか忌むべき種族であるにも関わらず私を奴隷商から購入し、弟子として娘として大切に育ててくれた。

その敵を撃てたのだ、悔いはない。


「フレイ…は大丈夫だろうが、レイス…あの子はまだ幼い。早く見つけられるといいが」

フレイ・クレセント、技能を持たない身でありながらかつて大陸序列1位に君臨した剣士。その強さはまさに鍛錬の賜物と呼ぶにふさわしい、ただひたすらに努力をし続け当時序列1位だった王国の英雄ザルクを圧倒し勝利した。


「久々の実戦は流石に疲れたな、平和なのを喜ぶべきか……気が緩んでいると思うべきか……いずれにしろ私の愛しい家族を見つけないとな。」



旧暦3985年最初の魔王が誕生した、そしてその5年後1つの国が初代魔王により滅ぼされその後魔王は行方不明になった。人類はその年を新暦とし新たな歴史を刻み始めた。


それから約500年ごとに魔王は現れ幾度となく人類を追い詰めたが、そのたびに驚異的な結束力を見せ危機を乗り越えてきた。

新暦1670年いずれ来るであろう魔王に対抗するためとある国が勇者召喚を行い東雲櫻を呼び出した。

彼女が授かった技能は不老と剣神、老いず召喚時の肉体を永遠に保つ技能と神の如き剣術の才を与えられる技能であった。

召喚された彼女は、取り乱したものの元々の性格が他人想いだったこともあり魔王討伐を決意し共に戦う仲間を集めるため旅立った。


その後、魔王と同じ種族であると言う理由で奴隷にさせられていたエルフの少女ヘラと出会い弟子兼娘として後に大陸序列1位となる最強の剣士を育てた。

新暦1685年、突如現れた魔王に挑み相打ちとなった東雲櫻は勇者として、エルフ族の差別解消を働きかけ差別問題を解消した英雄として歴史に名を残すのであった。



〜約300年前〜

「この技は、速度に重点をおいた技だ。初手で急所を突くことが出来れば後の戦いでかなり優位に立てる。」


「分かりました師匠、こうして…こう!ですか?」


「その調子だ!ヘラ、お前は魔力操作が上手だな、流石は私の弟子だな。」

「ありがとうございます、師匠」


「出会った頃と比べて、お前も随分と明るくなったな。」

「あの頃の私は、家族を失い奴隷商に売られ、全てに絶望さていました。そこから救って下さったのが、お母様です。この御恩に必ずや報いてみせます。」


「そうか、なら1つ頼みがある。」

「なんですか?お母様?」


「あと数年で魔王が現れる。魔王の相手は私1人でするからお前には他の四天王の相手を頼みたい。」


魔王と呼ばれる存在は、通常500年周期で部下である4人の魔族を引き魔界より連れ現れる。だが奴は違った、出現するはずの年より遥かに早く現れた。突然現れた魔王により世界は大混乱に陥った。

ただ2人を除いて。


「いくらなんでも無茶です!魔王相手に聖剣無しで挑むなんて!」

「そんなに心配するな、ヘラ。聖剣は魔王を倒すのに必須って訳ではない。」

「確かに、師匠の愛剣『青龍丸』なら聖剣が無くてもなんとかなるかもしれませんが、勝率を上げるためにもこの聖剣は師匠が持っておくべきです。」



「確かに私の役目は、魔王を倒すことだ。だが私は、お前に死んでほしくないんだよ。そして予期せぬ魔王の襲来で混乱している国や国民のためにも私達が奴らを倒さなくてはならないんだ。」


初代魔王の失踪後、邪核と言われるアイテムが確認されるようになった。邪核は、長時間使用することにより持ち主の意識を乗っ取ることがある。意識を乗っ取った邪核は、乗っ取った体を使い魔界に通じる門を開こうとする……その門を開き、魔王を現世に呼び出すのだと言われている現れるのが、魔王とその配下だと言われている。


邪核は、強さを求める者の前に現れ力を与えると言われているが最終的には、使用者を乗っ取ってしまうため、危険物として使用禁止となっている。


「分かりました、四天王は私がなんとかしますいえしてみせます。だからどうか師匠も無事に帰ってきてください。」

「聖剣に認められたお前なら大丈夫さ」



数週間後魔王討伐の知らせと同時に東雲櫻の訃報が世界中に知れ渡ることとなる。魔王は倒され残った四天王のうち3人はヘラにより討伐、残る1人も連合軍によって倒され封印の処置がなされることになった。

勇者の遺体は見つからず遺体なしので葬儀が行われた、葬儀の後ヘラは行方不明となった。


勇者の娘であるヘラが大陸序列1位に君臨するのは、それから15年後のことだった。


「見事だ、お主名は何と言う?」

「勇者東雲櫻の娘にして唯一の弟子である、東雲ヘラだ。」


「東雲か⋯⋯アヤツの弟子ならばその強さも納得できるこの大陸の序列1位の座はお主の物だ。」

「貴方は、どうなされるのだ?序列2位となるのか?」

「いや儂はもう引退する、流石に限界だ。」


「そうですか、ぜひとも余生を楽しまれて下さい。」

「そうさせてもらうよ。」


〜とある辺境の村〜

「姉ちゃんスゲー!俺も姉ちゃんみたいになりてぇ!どうすれば姉ちゃんみたいになれるんだ?」

「私みたいにか、そうだな大事なのは鍛錬し続けることだな。いくら技能が強くとも基本ができてなければ些細なミスで命を落としてしまう。少し難しかったかな?」


「んん~なんとなく分かったぞ!」


「そうか、なら良かった。」



懐かしい夢を見た大陸序列1位となり目的も無くふらふらと気の向くままに旅をしていた頃の記憶だ。そしてあの人と初めてあった日の記憶。
















劇場版 鬼滅の刃無限城編最高すぎました⋯⋯

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