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神魔術転生神風神人隊  作者: ゆつぎ
第一章 四人の神様と一人の少女
1/4

第1話『それは突然の出会いだった』

 


 西暦2023年 令話5年

 新たなる時代に突入した人類は不安も多い中それでも希望を求めてこの星で生きるのだった


 季節は5月

  神戸町

 天国学園中等部


 俺の名前は神風時勇

 この天国学園中等部に通う一年生だ

 天国学園は成績優秀な生徒が多く学業スポーツなどに力をいれている

 まあどうせなら腹筋や足腰に力を入れて欲しいが無機物の学校にそんなものはない


 さて現在時間は午前11時

 俺は理科室で理科の勉強をしていたんだが

 科学の実験をしていて


 月『まぁ~~~~てこのバカ時勇~~~~~!』

 この様に現在逃走中である、ちなみに賞金は出ない(笑)


 時勇『ハハハハハまだまだ速度が足りないな剣持君!』

 月『誰が剣持君じゃあ!!』


 俺を追いかけているこいつは早神月

 俺の家族で幼なじみだ

 まあ色々な事情で二人で暮らしているのだが何かとうるさい坊やだ


 とまあ月に追いかけれているがこのままではラチが開かない

 仕方ないここは一つ

 時勇『理科室から持ってきた煙玉でも使うか

 ほい』

 ボン!


 月『くはっ、

 えほえほ、えぁ!

 何これ煙!?

 でも残念ね私はこういうの効かないのよ!』



 月はそのまま突っ込んで来た

 まあこいつには効かないとは想定済みだ

 だが


 パチン


 俺は指を鳴らした


 月『逃げ足の早い奴ね、逃げた所は三ヶ所

 屋上か家庭科室か校長室ね、あいつなら校長室にも逃げるから油断出来ないわ』




 とりあえず私はまず屋上に向かった


 バン


 屋上のドアを開き辺りを見回す

 屋上で昼食を取っていた生徒に話を聞いた

 月『ここに時勇来なかった?』

『いや来なかったけど』

 月『そ、ありがとう、見つけたら連絡頂戴』

 屋上にはいなかったか

 さてあの馬鹿は何処にいるのか



 時勇『ふうやっと行ったか』

 と流石の月さんもここまでは調べなかったか

 正解はなんとヘリに捕まっていました!

 ん~まあ自分で言うのもなんだけど危ないなマジで


 よし誰もいなくなった事だしそろそろ教室戻るか

 たまには一人でご飯食べようかね



 屋上を出て階段を降りているとふと一人の人間が屋上に続く階段を上がってきた


 時勇(誰だろあいつ?)

 そいつは髪が銀髪と金髪のハイブリッドな髪をしていて外国のハーフのような娘だった

 時勇(へぇ~綺麗なもんだな

 モテそうだし彼氏とか1000人いそうだな)


 と機械人形の様に生気が感じられない顔で彼女は登って行った


(弁当・・・にしては何も持って無かった

 しかもあの顔、よく見たら少し泣いていた

  まさか!?)

 時勇は少し考えた

 いやまさかそれはない、と願いたいが一応確かめよう

 間違っていたら謝ればいいしその方がいい


 月『あ!見つけたわよ時勇

 今日という今日は!』

 時勇『月!悪いけど屋上に来てくれ!』

 月『は?何よいきなり』

 時勇『いいから早く!』



 俺達は階段を三段飛ばしで上がった

 頼む外れてくれ俺の感!


 再び屋上に出ると例の金銀髪少女がいた

 しかしそこはフェンスを乗り越えて一歩踏み出せば終わる所にいた


 時勇(やっぱり自殺か!

 全くどんな辛い事があったか知らないけどまだ人生終わらせるのは早すぎるだろ!)


 月『時勇何かあった!』

 遅れて月が来たその時


 フッ

 フェンスの向こう側にいた金銀髪少女は飛び降りた


 時勇『月!!下にネット張れ!頼む!』

 月『わかった!』

 すかさず時勇はダッシュしてフェンスを素早く登りその後落下する少女に向かってダイブした


 ここは8階

 この距離なら

 間に合う!


 時勇は少女落下する少女の手を掴み引き寄せた

 そして抱きしめるように彼女を守る形で落下していく



 月『展開!!』

 屋上にいた月が何かを描くよう指をなぞり

 そう叫ぶと光のネットが現れた



 ばふっ



 間一髪の所で間に合った

 時勇『ふぅ意外に落ちる速さは早いな』


 そしてしばらくして警察や救急車が到着した

 先生『神風君ケガはないのか!?』

 時勇『あ~大丈夫です下が芝生だったのでなんとか』

 先生『そうかそれは良かった

 しかし困ったもんだ屋上から飛び降りた自殺なんて何考えているのか』

 時勇『本人も大変なんですよ

 こうするしか方法がないと思って行き詰まって、で最終手段にこれを選んだんだと思います』

 先生『そんな事になるならせめて我々教師に相談して欲しいものだ

 誰かに話す話さないじゃあかなり違ってくる

 相手に悩みを聞いてもらえれば例え解決出来なくても心の重石は少しは取り除けるしアドバイスも出来る

 しかし死んでしまってからじゃ何もかもが手遅れだ私はそうなってほしくない』

 時勇『仕方ありませんよ、人って自分が思っているより疑り深い生き物なんですから

 それにそんな事が出来るなら今頃自殺する人なんていませんよ』

 先生『・・・君は本当に13歳かい?まるで色々経験している口振りだが』

 時勇『まあ色々あるんですよ僕も』


 それから俺達は警察から事情聴取された

 聞くところによると自殺未遂の女子生徒は

【高城フィーネ】と言う名前の女の子だ

 成績は全国中学生テスト1位を獲得するほど勉強が出来るが友達がいなくコミュニケーション能力が滅茶苦茶低いそうだ

 後もう一つ

 彼女はどうやら霊感体質のせいかお化けや変な物が見えるみたいだ

 そのせいで気味悪がられてしまったり嫌がらせを受けていたそうだ


 こうして警察の事情聴取から解放された俺達は5,6時間目は無しで家に返された


 夕方になり夕飯になりました

 ちなみに今日は唐揚げだ



 月『それにしてもあの娘大丈夫かしら』

 時勇『ダメだなありゃ後一回はやる

 多分今度は別の方法でだ』

 時勇『ああいうタイプは止めるだけじゃだめだ

 根本的に直さないと自殺したい病が再発する、まあ気持ちはわかるけどな』

 まあわからなくもない

 人とは違う皆持っているのに自分だけない

 それは子供頃に抱く最大のコンプレックスだ

 彼女の場合同じ霊感体質のやつがいてくれたり

 仮にいなくても理解してあげる人がいれば解決の糸口は見つかるが

 う~んどうしたものか



 翌日

 俺達は学校が終わった後彼女が入院している病人にお見舞いに出向こうと思った

 とその前に寄りたい所があった




 しばらく歩くと一つの花屋さんにたどり着いた

 フラワーショップ

【ロミオとジュリエット】

 神戸町にある花屋

 ジュリアンヌ『いらっしゃいませ』

 時勇『ジュリアンヌさんこんにちは』

 月『こんにちは』

 ジュリアンヌ『あら時月コンビじゃない

 今日は何の用かしら?』


 この人ジュリアンヌさんだ

 長いエメラルドグリーンの髪をしたお姉さん(オカマ)である

 まあ性別は男なのだが

 時勇『何って普通に花を買いに来たんだけど』

 ジュリアンヌ『花?墓参りでも行くの?

 この間行ってきたばかりじゃない』

 月『墓参りは再来週にするわ

 今日は病院に友達のお見舞いしに行くからそれで』

 ジュリアンヌ『成る程ね

 それなら私が見繕ってあげるわ

 感謝しなさい!』

 いい人なんだけど態度がデカいのがキズだなこの人


 ジュリアンヌ『それでその子どんな色が好きなの?』

 時勇『金と銀

 後青とかもいいかな』

 ジュリアンヌ『わかったわ、任せなさい』


 数分後


 ジュリアンヌ『で来たわ、見事な芸術ね!』

 流石花屋

 見事な仕事だ、色鮮やかで派手派手しくない

 このデカイ態度さえなければ

 これなら病室に飾れそうだな

 ジュリアンヌ『それじゃお題は5万円ね』

 月『はいはい500円っと』

 とたまに黒いジョークをいう

 ジュリアンヌ『まいどあり♪

 所で時勇、少し相談があるのよ

 いいかしら?』

 時勇『ん何?』

 ジュリアンヌさんは神妙な顔で質問してきた



 ジュリアンヌ『最近この街で若い子達が行方不明になる事件が続出しているのよ

 何か知らない?』

 時勇『行方不明ね、う~ん知らないけど

 月は?』

 月『私も知らないわね今知った』

 ジュリアンヌ『あんた達ネットニュースとか見ないの?

 ちゃんと情報には敏感にならなきゃダメよ

 世界を守りたいんでしょ?』

 時勇『そうだな、すまない』

 ジュリアンヌ『なら尚更よ、確かにネットニュースや新聞が事実かはわからない

 でも何も知らないままでは良くないわ

 特に【あんた達はね】』


 確かにジュリアンヌさんの言うとおりだ

 人は全てを知ることは出来ない

 でも何も知らないのは良くない

 時勇『ごめんジュリアンヌさん

 でも俺達も無敵じゃないし万能じゃない、数に限りがあるし限度がある

 それでも』

 月『それでも守るわ

 だってそれが【お母さん】から託された約束と願いだから』


 ジュリアンヌ『そうね、そうだったわね

 それよりお見舞い行かなくていいの?』


 おっと忘れる所だった

 そろそろ行かないと

 時勇『そんじゃいってきます』

 月『またねジュリアンヌさん』


 そういって俺達は花屋を後にした



 ジュリアンヌ『《大丈夫よ 時勇 月 殺 神器

 あなた達ならどんな困難も敵にも負けない

 だって貴方達は《誰よりも優しい心と強い魔術を持っているもの》

 確かにあなた達は辛く重い過去を背負っている

 でもねそんなあなた達だから人を救えるの


 そうでしょ




 ゆかり』



 ジュリアンヌさんの店でお見舞い用の花を買った俺と月はフィーネが入院している病院に向かった


 そして

 時勇『ここか、何階だっけフィーネの病室』

 月『201号室よ、それより時勇くれぐれも病院では騒がないようにね』

 時勇『ふふふOK』



 月『すみません高城フィーネさんの病室は何号室でしょうか?』

 看護師『201号室です、お見舞いですか?』

 時勇『はいそんな所です』

 まあ再度確認と受付を済ませた俺達はフィーネの病室に向かった



 コンコン

 月『失礼します入ってもよろしいでしょうか?』


 どうぞ


 ガチャ


 中に入ると高城フィーネは病室の窓の外をずっと眺めていた



 月『高城さん体調は大丈夫?』


 フィーネ『・・・貴女は?』

 月『私は早神月、そんでこっちは神風時勇』

 時勇『よろしく』


 フィーネ『あなた達が私を助けたんですか?』

 時勇『まあそうなるな』


 しばらく沈黙が続いた



 そして

『どうして


 邪魔をしたんですか?』

 月『へ?』

 時勇『・・・・』

 フィーネ『どうして助けたんですか!私は死にたかった

 もう終わりにしようと思った!

 だから飛び込んだ!なのに

 なのにどうして頼んでもいない事を!』

 彼女は怒りを露にした

 まあそりゃそうだ

 誰だってそう簡単に死ねるもんじゃない

 死ぬのってのは一歩踏み出すのが大変なんだ

 死にたいと思っていても人間の生存本能がそれを拒む

 それが出来る奴は心が壊れているか


 希望がもう



 無い奴だけだ



 月『あっそ

 まあ残念ね、じゃあ次の機会にでも取っておきなさい』

 フィーネ『何ですかそれ?

 人が苦しくて辛くて胸が張り裂けそうな心境でどれだけ大変だったと思っているんですか!

 人間って皆そう!

 他人に無関心で淡白

 自分が痛い思いをしなかったら知らんぷり

 だから嫌いなんだ!』

 月『奇遇ね

 私も人間が嫌いだわ』

 フィーネ『嘘だ!早神さんは毎日笑ってお喋りしている

 そんな人が人間嫌いなわけない!』

 月『本当よ、私の大切な人を奪ったのもどうしようもないクソみたいなろくでなし連中だった

 そいつらがお母さんを殺したもの』


 !!


 この人も大切な人を奪われた人なんだ

 月『でもね高城さん

 だからと言って全人類全てがそんな人じゃないわ』

 フィーネ『嘘ですよ、そんなの信じられません』

 時勇『嘘じゃないさ

 だったら今頃人間の歴史なんざとっくの昔に終わっている』


 フィーネ『・・・・?どういうことですか?』

 時勇『例えばさ

 なんで消防士やコンビニがあるんだろうな?』

 フィーネ『それはビジネスの為です

 少しでも稼ぐ為に』

 時勇『なら何故深夜に機械ではなく人を使うのか、何故24時間営業なのか

 何故サービス業が存在するのか』


 フィーネは黙ってしまった


 自分だってわかっている

 全ての人がそうではない事を

 でも心がそれを否定している

 時勇『それは人が利益や損得勘定だけで生きてる訳じゃないからだ

 人には心がある

 優しさ

 欲望

 野望

 願望

 希望

 夢

 それらがあるから今日まで人類は生きてこれた

 もし人類が損得勘定や利益だけ求めていたらとっくに地球からいなくなっていたさ』


 月『高城さん、いえフィーネちゃん

 確かにいきなり人を信じろなんて言わない

 でもお願い死なないで

 私達の事は疑ってもいい

 でも自分の命と心は信じて』


『それは・・・難しいですね・・・・』


 これ以上は無理だ

 そろそろ帰ろう


 時勇『月そろそろ行こうか

 彼女はまだ疲れている

 明日にしよう』

 月『そうね、ごめんなさいフィーネちゃん

 お邪魔したわ』

 俺達が帰ろうとした時


 フィーネ『待って下さい』

 フィーネが呼び止めた


 何故なのかは自分でもわからない

 ただこの時無意識に二人に助けてもらいたかったのかもしれない

 フィーネ『信じてもらえないかもしれませんが

 私が何故こんな馬鹿げた事をしようとしてしまったか話します』

 そして彼女は静かに語った



 フィーネ『実は私霊感体質なんです

 小さい頃から普通の人には見えない物が見えたりしていました』

 フィーネ『そのせいで周りから白い目で見られることもありました、でもそれだけじゃないんです』

 月『?どういう事?』

 自殺の原因が霊感体質だけじゃない様だ

 フィーネ『私、不幸体質でもあるんです

 しかも重度の』


 フィーネ『それでもしかしたらこの世に起こる事は全て私が悪いじゃないかなと思ったり

 良くない事が起きると全部自分が存在しているのが悪いじゃないかと思って』


 成る程

 この子相当ヤバい

 いやかなり危ないといってもいい

 そりゃ精神も病む訳だ


 フィーネ『周りからは運動会や劇の失敗は全部私のせいにされました

 でも私は何一つ怒る気にはなれませんでした

 だって事実だから』


 ああこの娘は加害妄想だ

 何でもかんでも自分の責いにしたがる病気だ

 フィーネ『私のせいでお父さんは死んだんです

 とても真面目で優しくて誰にでも優しいお父さんが

 お父さんは会社の上司にお金を貸して

 信じていました

 きっといつかお金は戻って来るって

 でも』


 フィーネ『でもお金は帰って来ませんでした

 上司の人はあれやこれやと言い訳をして

 お父さんも労基署に駆け込もうとしても

 上司の人は家族を盾にして逃げ続けていました!』

 なんだそり!?

 家族を盾にする時点で人じゃないだろそいつ

 フィーネ『どうしてお父さんが死ななければならなかったんだろう

 あんなに優しかったお父さんが



 ねえ月さん時勇さん

 どうしてこの世に正義の味方はいないですか?』

 フィーネ『どうして!神様は悪党を野放しにするんですか!

 悪い人が好きなんですか?

 どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!!!』

 彼女の怒りは凄まじかった

 普段の彼女は知らないがきっと大人しい娘なのだろう

 そんな彼女が憎しみと怒りを上げて叫ぶのだ


 フィーネ『だから私死にたかったんです

 私だって何か出来ないかとネットや弁護士さんに相談しました

 でも証拠はないから無理だって

 証拠がなければ何もしてくれないんです

 だから私お父さんが働いていた会社に行きました

 そして上司さんに言いました

 お金を返して下さい

 あのお金はお父さんが一生懸命働いたお金何んです帰して下さいって

 でも』

 月『門前払いを食らった訳か』

 フィーネ『はい、私バカですよね

 警察や弁護士がどうにか出来なかったのに私なんかがどうこう出来るわけないのに』

 フィーネ『お母さんはお父さんが亡くなって必死で働きました

 私を育てる為に

 でも私がいなくなればお母さんは自由になれる

 だから私』

 パン!


 突然月がフィーネの頬にビンタした


 月『だから死のうと?

 それでお母さんを助けたと?

 それで喜んでくれると?』


 月『ふざけんじゃないわよ!!

 あんたね死ねばそれで良いと思ってんの!

 そんな事してあんたのお母さんが喜ぶの!?』

 月『よく聞きなさい高城フィーネ!

 仮にあなたが死んだからってあなたのお母さんは喜ばない

 むしろ逆よ、絶望して塞ぎ混むわ』


 フィーネ『そんなどうして』

 月『あなたわからないの?

 お母さんにとってあなたは希望なのよフィーネ!』


 !

 月『例えお金がいっぱい有っても一緒に居てくれる人がいなかったらいずれ寂しさや孤独に心を蝕まれるわ

 だからあなたの存在が必要なの』


 フィーネ『でも、私・・・どうすれば』


 時勇『フィーネ、死にたいって気持ちを抱くのは悪い事じゃない』

 月『ちょっと時勇あんたね!

 人が死にそうなときに!』

 時勇『でもな

 それをする前にもう一度立ち止まって周りをよく見て考えて欲しい』



 時勇『本当に自分が欲しい物は何か

 それは死という安らぎか

 それとも解決と言うなの糸口か』

 フィーネ『私は・・・わからない

 でも私・・・私誰に助けを求めたら・・・い、いいん、ですか?』

 彼女は震えていた

 瞳には涙を浮かべて

 時勇『俺達がいる』

 フィーネ『へ?』

 時勇『俺達がお前の味方になる』

 月『だから安心しなさい』


 気持ちは嬉しい

 でも

 フィーネ『でもお二人には何も関係ないし』

 時勇『俺達はお前に会った

 もうそれだけで十分じゃないか』

 月『私達じゃあ頼りにならないかもしれないけど

 せめて愚痴の捌け口位にはなってあげるわ

 だから』


『『もう少し落ち着いて周りをみて欲しい』』



 その時

 今まで張っていた糸が切れた



 フィーネ『と、、きお、さん

 る、るな、さん!』

 うっううううあうあああああぁぁぁぁぁぁ!

 フィーネ『わたし、わたし!わた、しいままで

 今まで誰も助けて、くれなかったん、です

 と、友達、もいなくて誰もわかって

 もらえなぐて・・・』


 月『大丈夫よ、あなたは1人じゃない

 私と時勇とお母さんがいるじゃない』

 そういって月はフィーネを抱きしめた


 フィーネ『る、るなしゃん、る、るる、月さーーーーん!』



 しばらくして


 月『どう落ち着いた?』

 フィーネ『・・・あっはいすみません

 みっともない所を御見せして』

 時勇『そんなことないさ

 今まで辛かったんだろ

 よく頑張った

 辛い時は我慢しなくていいからさ

 あまり一人で抱えこむな』

 フィーネ『ありがとう

 ございます』


 コンコン

『すみませんそろそろ時間です』

 おっといけないもうそんな時間か

 外を見ると辺りはもう真っ暗だった


 時勇『それじゃ俺達はそろそろ帰るけど大丈夫か?』

 フィーネ『あっはい大丈夫です

 ご心配をおかけしました』

 月『また何かあったら相談してね

 何でも聞いてあげるから』

 時勇『宇宙誕生の疑問や深海の事でもいいんだぞ』

 フィーネ『いえそれは結構です』

 時勇『そっか

 んじゃまたなフィーネ』

 月『お大事に』

 そうして俺と月は病室を出た

 その時の彼女は少し不器用そうだったが

 笑っていた



 しばらくして


 ガラガラ

 母『フィーネ大丈夫!?

 体調どう怪我は痛くない』

 フィーネの母親が来た


 フィーネ『大丈夫だよお母さん

 うん怪我はまだ少し痛いけど

 私頑張るよ

 それに』


 母『・・・それに?』

 フィーネ『私を応援してくれる友達が出来たから』



 時勇と月の自宅



 月『フィーネちゃん大丈夫かしら?』

 時勇『まだわからん

 でも峠は越えた、ここから立ち上がれるかはあいつ次第だ

 あいつああ見えて強いしな』

 月『・・・その根拠は?』

 時勇『考えてみろ

 6年間も1人で戦ってたんだ

 誰も味方がいない中で、そんな奴が弱い訳がない

 普通人ってのは孤独に耐えられるのは半年が限界だ

 なのにあいつは

 6年もの間それを耐えた

 だから大丈夫だ

 それに俺もお前もいる』

 月『そうね

 あの子が普通に笑って生きられよう頑張りましょう』

 時勇『そうだな

 それより月子さん、もう少しデミグラスソース多くても良いのではないだろうか?』

 月『文句あんなら自分で作りなさい』

 時勇『いいよ、やればいいんでしょやれば』

 月『ペコちゃん人形みたいな顔しないで』



 翌朝


 月『フィーネちゃん大丈夫かしら』

 時勇『わからん、でもまあ後はあいつ次第だ

 学校に来るかはな』

 ふと二人で話していると


 フィーネ『あの時勇さん!月さん!』


 後ろから声を掛けられた


 振り向くと高城フィーネはいた

 どうやら心配は杞憂に終わったようだ

 フィーネ『昨日はありがとうございました!

 私・・・わたし!頑張りますから!

 頑張って普通の学生生活成し遂げてみせますから!』

 時勇『そっか

 まあ頑張れ』

 月『困ったら私達がフォローするから安心して』

 フィーネ『///、はい!』


 そう言って彼女は少し照れくさそうにして笑った



 時勇『それじゃ俺達はこっちだから』

 月『フィーネちゃん頑張ってね』

 フィーネ『はい!・・・頑張ります!』

 月『そんなに気を張らなくていいわよ

 大丈夫だから』

 ?


 そして一時限目が始まった

 私は勉強するのが好きだ

 勉強は答えがある

 ちゃんとゴールが決まっている

 希望がある


 でも会話は苦手だ

 先が見えない

 終わりがない

 疲れる


 それに私は面白い話が出来ない

 何故だろう、コミュニケーションと勉強の違いはなんだろう?

 わからない

 そもそも私は人が苦手だ

 でも何故か時勇さんと月さんとは話せた

 もしかして彼らが人ではないからか?

 いやまさかそんなハズはないか何処からどう見ても人間だ

 少し変わっているが彼等は間違いなく人間なのだ

 もしかしたら私と偶々相性がよかったのかもしれない


 そうこうしている内に一時限目が終わった

 さて次は移動教室だ

 私の一番苦手な事だ、何故なら廊下にはたまに霊がいるのだ

 しょっちゅうではないが【たまに】いる

 私にとってそれが一番の不安だ


 しかし私の不安は意外な程に外れた


 今日は運が良かったのか2時限目から4時限目の間一度も遭遇しなかったのだ


 何故だろう?今日は運が良い

 いつも物凄く運の悪い自分が何故?


 お昼になった

 とは言うもの私はクラスメートで仲の良い人はいない

 ふと時勇さんと月さんの顔が浮かんだ

 二人と一緒に食べたい

 いつもは目立たない場所で食べている自分だが今日は

 今日1日ぐらいは誰かと食べたい

 そう思った


 私は二人がいる教室に行った

 フィーネ『あの、すみません』

 生徒1『ん?』

 フィーネ『あの、えっと神風さんと早神さんいら

 いらっしゃいませんか?』

 生徒1『神風と早神?

 あああの二人なら屋上にいるよ』

 フィーネ『ありがとうございます

 行ってみます』

 生徒1『ちなみに何の用?』

 フィーネ『あ、えっと~

 差し出がましいのですが一緒にお昼食べようかなって思って』

 生徒1『そんな事ないんじゃない?

 君考え過ぎだよ、普通ご飯一緒に食べようって言われたら嬉しいものでしょ?

 まあ中には嫌がる人もいるけど』

 フィーネ『そう・・でしょうか』

 生徒1『まあいいやとりあえず行ってみなよ』

 フィーネ『はいありがとうございます』

 そう言って私は教室を後にした



 私は屋上に続く階段を見つめ歩きだした

 思えば私はこの間この屋上で自殺しようとしていたのだ


 そんな所に再び戻って来るなど変な話だ



 そして屋上のドアを開けた


 するとそこには雲1つ無い快晴が広がっていた


 あの時は気づいていなかったがここはこんなにも綺麗だったのかと思わず目を奪われた



 あの時の私は死にたい気持ちで一杯だった

 何もかもが怖くて明日が来るのが怖くて

 もう全てを諦めていた

 でも私を助けてくれる人が二人現れた

 まだ何を考えているかわからないけど

 少し変わった人達だけど

 私はあの二人を信じてみたい

 神様より

 信じられるあの二人を



 時勇『フィーネどうした?』

 月『もしかしてお昼?』


 私が青空に想いを馳せていると時勇さんと月さんが声をかけてきた

 どうやら二人もお昼らしい


 フィーネ『あ、はいまあそんな感じです

 実は・・・あの、実は私

 二人と一緒に食べたいな、と思って』


 言えた!私言えた!


 月『えいいの?私達でいいの?』

 時勇『ありがとう

 たまには五人で食べるのも悪くないなって』


 フィーネ『そうですか・・・へっ五人?』

 5人?私と時勇さんと月さん

 まさか後二人!?一体誰?だれ!!

 私は人見知りだ

 知らない人といきなりお弁当はハードルが高すぎる


 ガチッ

 神器『あ!ここにいたのかよお前ら』

 突然誰か屋上のドアを開け入って来た

 後ろ振り替えるとそこには真っ赤な髪をした男子がいた

 時勇『まあな今日は天気もいいし青空の元でご飯食べたいしな』

 神器『確かにな

 こんだけ晴れてると飯も上手いからな~

 ん?

 おい時勇こいつ誰だ?』

 赤髪の少年は私に指を指して質問してきた


 時勇『ああこいつはフィーネって言うんだ

 高城フィーネ』

 神器『ああこいつが例の事件の』

 フィーネ『あああの、あのわわわわ私、たたたたか

 高城フィーネと申します!』

『おいおいそうビビるなよ

 つかこのヘタレは大丈夫か?』

 そんな、確かに私は臆病だけど

 でもそこまで言わなくても

 月『ちょっと国神君

 フィーちゃんに謝りなさい』

 神器『はあ?なんで俺が?こんなビビりに』

 月『彼女はまだ精神的に不安定な状態なの少しはビブラートを慎みなさい』

 神器『いやそれを言うならオブラート

 全然違うだろ』


 フィーネ『いえ月さん気にしないで下さい

 史実ですし』

 月『貴女ね!それでいいの!?』

 時勇『神器』

 神器『あぁなんだよ?』


 突然時勇さんが割って入った

 時勇『確かにこいつはビビりだ』

 そんな時勇さんまで

 時勇『だがな、こいつには強さがある』

 神器『強さ?何処にだよ

 観るからに今にも死にそうな顔してるぞ』

 時勇『それでもこいつは強いさ

 ただこいつの強さをわかってやれる奴がいなかっただけだ』

 神器『ふ~んそうかよ』

 時勇さんが私を褒めてくれた

 でも私の強さってなんだろう?


 私は弱い人間だ

 一人じゃ何も出来ない



 月『それより国神君

 闇染君は?』

 神器『おう殺ならそろそろ来るんじゃないか?』

 さつ?闇染?随分変わった名前の人だな


 ガチッ

 殺『遅くなったか』

 するともう一人男子生徒が屋上に来た

 見ると紫の髪をオールバックにしている

 というか身長高い!?

 一体何センチなんだろう

 とても中1の身長じゃない

 神器『いや俺も今来たところだ』

 殺『そうか、ん?見ない顔がいるが誰だ?』

 すると殺さんは私を見た

 月『あ紹介するわ闇染君

 この娘は高城フィーネさん

 この前知り合った女子』


 殺『そうか

 ちょっと失礼する』


 フィーネ『へ?』

 そう言うと殺さんは私の髪を優しく触った


 ええええええええええぇぇぇぇ!!!??

 月『ちょっと闇染君なにしてんの!』

 そういって月さんが私から殺さんを引き離した

 殺『いやすまないつい綺麗な髪だったもので


 月『まあそれはわかるけど、でもだからって女の子の髪を無断で触るのはセクハラよ』

 時勇『そうだ触るのなら手にしろ』

 神器『いやそれもダメだろ』



 髪を触られたのは初めてだけど

 でも

 フィーネ『気にしないで下さい

 それに・・・

 優しい触り方だったから、そんなに嫌じゃなかったですし///』

 何言ってるんだろう私は


 時勇『命拾いしたな殺子よ

 フィーネがその気になればパワハラ!

 て行って警察に突き出すことの出来たんだぞ』

 神器『いやそれを言うならセクハラだろ』



 月『それよりお昼さっさと食べようか

 時間なくなるし』


 はっそうだった私はお昼を二人と一緒に食べるために来たんだ



 月『そういえば紹介がまだだったわね

 こちら赤髪の子が国神神器君

 ちょっと口調が粗っぽいけど悪い奴じゃないのよ』

 時勇『こう見えても家が教会なんだよ

 こいつ』

 神器『ばっ時勇てめぇ!それいうんじゃねよ!』

 フィーネ『え?そうなんですか

 神父さんの格好とかするんですか?』

 神器『しねぇよー!』

 月『そんで持ってこっちは闇染殺君』

 殺『闇染殺だ

 よろしく』

 良かったこの人は大人しい人だ


 ?闇染殺?札とかかな?

 フィーネ『あのさつさん』

 殺『んどうした』

 フィーネ『申し訳ないのですが紙にフルネームをお願い出来ませんか?』

 殺『いいぞ』


 サラサラ

 そういうとさつさんは私に書いた紙を渡した


 そこには闇染殺の名前があった


(こ、こわい・・・名前に殺すが入っている人初めて見た)

 時勇『心配すんな

 こいつはこう見えて一番優しいから

 な殺』

 私の心を察してくれたのか時勇さんがフォローしてくれた

 殺『うるさい黙ってろ』

 あそうなんだ

 この人達は見た目は怖そうでも悪い人じゃないんだ

 フィーネ『あの殺さんすみませんでした

 名前で人を判断するなんて良くないですよね』

 殺『気にするな

 慣れている、それに怖がるのが普通だ

 そういう当たり前の感性は持っておけ』

 フィーネ『ありがとうございます』



 私達はお弁当を食べながら話始めた

 と言っても私は四人の話を頷きながら聞いているだけだが

 月『それにしても最近雨降らないわよね』

 時勇『そうだなたまには降ってもらわないと干からびそうだ、まあ洗濯物干すにはいいけど』


 フィーネ『ところで時勇さん月さんお二人に

 1つ聞いてもいいですか?』

 時勇『どうした?スリーサイズならお断りだぞ』

 月『そんな事聞かないわよ

 それより何かしら?聞きたい事って』

 フィーネ『あの~お二人は・・・・付き合っているのですか?』

 時勇『・・・聞きたいのかい?

 この世の闇を?』

 え?聞いちゃいけないことだったかな


 時勇『付き合ってはいない

 一緒に暮らしているだけだ』

 あ~成る程そういう・・・ええええええええええぇぇぇぇ!!!??

 一緒に暮らしてる!?

 フィーネ『と言うことは月さんは居候ですか!?

 それとも時勇さんの方が』

 時勇『いや俺達二人だけだ』

 フィーネ『二人だけ!!!???いやいやあなたたちまだ未成年じゃないですか!

 保護者の方は!』

 月『フィーネちゃん落ち着いて

 保護者の方はいるわジュリアンヌさんと言い方よ』

 フィーネ『えっ?あそうですよね

 ああ~びっくりした』

 ジュリアンヌさんか

 きっと綺麗な外人さんなんだろうな



 時勇『ちなみにこいつらも

 一緒に同じ家に住んでいる

 まあこっちは親いるけどな』

 フィーネ『あそうなんですか』

 殺『俺が居候だ

 神速さんには世話になってるからな』

 フィーネ『神速さん?』

 神器『俺の親父だよ、まあ血は繋がってないんだけどな』

 以外でした神器さんも養子で殺さんは居候

 皆色々苦労しているんですね



 私は小さい頃からお父さんとお母さんに育ててもらった

 二人とも両親は他界

 そしてお父さんは自殺した

 会社に心を壊されて生きるのが辛くなって

 私達の前からいなくなった


 どうしてお父さんは逃げなかったんだろう?

 別にお父さんは頭は悪くない

 私に勉強やその他の知識を教えてくれた

 なのにどうして逃げなかったんだろう


 今はいない父の思っていたことを知りたい



 月『フィーネちゃん大丈夫?』

 フィーネ『・・・へ?ああ大丈夫ですよ

 ごめんなさい少しぼ~としちゃて』

 神器『いいって事よ今は昼休みだ

 少しぐらい気抜いてもいいんじゃね?』

 殺『それより高城食べないのか?』

 フィーネ『ああ食べます食べます』

 時勇『・・・・』




 フィーネ『ご馳走様でした』

 月『さてご飯食べたし、どうしようか?』

 時勇『あれだな昼寝でもするか』

 月『いや後10分しかないから』


 お昼休みは短い

 あっという間に終わってしまう

 そうだ


 フィーネ『あの皆さん!』

 時勇『どうした?』


 フィーネ『あの・・・えっと、

 もし、もし良ければ・・・皆で写真撮りませんか』


 言えた!私言えた

 自分の意見を言えた


 時勇『写真・・・か、悪くない』

 月『いいんじゃないかしらここで会ったのも何かの縁だしね』


 そして私達は月さんのスマホで写真を撮る事となった


 月『それじゃ撮るわよ

 はいはいフィーネちゃん中央ね』

 フィーネ『ちょちょょょ月さん近いですよ///』

 時勇『んじゃ撮りますかはいカマンベールチーズ!』

 カシャ


 月『写真は今送信しておいたから観てみて』

 フィーネ『はい、あ!届いています』


 携帯のフォトを見るとそこには自分を含めた五人が写っていた


 中央に私

 右上は時勇さん

 左上は月さん

 右下が神器さん

 左下が殺さんだ




 これは私の一生の宝物

 たかが写真

 でも私にとっては世界に一つだけの宝物


 時勇『そんじゃフィーネ頑張れよ』

 月『じゃあねフィーネちゃん、また放課後』


 フィーネ『あはい!ありがとうございます』

 私は一礼して4人が降りていくのを見送った

 あっという間の50分

 でもまるで一生分の幸せを感じたお昼休みだった

 また皆さんとご飯食べたいな

第1話

『それは突然の出会いだった 』

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