老人玉
街を飛び交う、危険な玉
どこからともなく飛んでくる、神出鬼没の恐ろしい玉
―――アアア、むしゃくしゃするぅウウウウ!!!
―――誰だ!!こんなごみの捨て方をしたやつは!!!
突然襲いかかる流れ弾を…華麗に避ける
―――はあ?!何だって!!!
―――どこ見とるんだ!!
勢い任せの乱暴な玉を、薄皮1枚でかわす
―――おい!!店員はいないのか!!
―――うるせえガキだな…出てけっ!!!
遠くに飛んでいった玉を、ちらりと見送る
―――ちゃんと説明しなさいよ!!
―――俺は知らん!!!
―――そんなんでよく金がもらえるな!
目の前で店員さんにヒットしている玉に、ちょっとビビる
―――痛い、痛い痛い!!いったぁ~い!!虐待よ!!
―――不味いわねえ、牛のフンみたいな味がする!
―――きたねえなア!!もっときれいに掃除ができんのか!!
確実に命を狙ってくる底意地の悪い玉が飛び交っているので、とっとと逃げ出す
ヒュン!!
ヒュヒュン!!
今日もどこかで、玉が飛ぶ
カスッ!!
シュッ!!
今日もどこかで、玉がかする
コツン!
とすっ!
今日もどこかで、弾が当たる
ズバッ!!
ドスッ!!
今日もどこかで、弾が当たって傷ついている人がいる
ブシャッ!!
パーン!!
今日もどこかで、玉が当たって心を失う人がいる
ヒュン!!
ヒュヒュン!!
ヒュヒュヒュン!!
老人玉が飛んでいく
ヒュン!!
ヒュヒュン!!
ヒュヒュヒュン!!
誰でもいいから傷つけたいと、老人玉が放たれていく
「…だ、誰か……たす、け・・・」
老人玉は、いつ飛んで来るかわからない
私は足を止めることなく、パート先に向かった