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情緒桜城  作者: 山本大介
3/20

一、②


 隼人がそう言うと、西は少し(かげ)りのある表情を見せた。


「店長はいる?」


「はい、開店準備しています」


 隼人より二歳年下の店長、十川緑は高卒での入社だった。

 年下の女性が上司というコンプレックスにも似たわだかまりが、山鹿店配属になった当初からあった隼人だった。

 実際、一緒に仕事をしてみてバリバリ働く彼女を見て、歴然とした実力差を感じ、ぺーぺーの自分と比べてしまい、暗澹とした気持ちになったこともあった。

 はじめの数か月、辞めようと思った理由の一つがそこにある。

 

 だけど、今ではまがりなりともこの業界で生きていく覚悟ができ副店長となった。

 当初はギクシャクした十川との関係も、今でも信頼しあえるまで好転している。


「城戸、水打ちが終わったら、お前も後で来い」


 西はそう言うと、腹に溜まった脂肪をゆさゆさと揺らし、背中を丸めて店内へ入って行った。

 隼人はちらりと彼の後姿を見て、訝し気に首を傾げると、


「西さん、元気ないな・・・」


 隼人は、ぼそり一人呟くと、腕時計を見た。

 朝のミーティングが迫っており、慌てて水打ちを終わらせた。


 ミーティングは、西、十川、隼人、パートの末崎が参加した。

 西がミーティングに参加することは、まずなく、みんなの表情には緊張の色が見られた。

 進行役の隼人は、普段通りに注意点や、前日の在庫菓子の過剰発注などの反省を踏まえた今日の目標を言い無難に終了した。


 1~3のチェックや小言が入るかなと踏んでいた隼人だったが、西は末崎を店内に残すように指示すると、十川と隼人を裏の休憩室に呼んだ。


 彼はいつもとは違う神妙な面持ちの西に何かあると感じた。



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