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移ろいを語る  作者: 内山子豹
移ろう日々
7/11

短くない付き合い

ーホームにてー

電車に乗り遅れるというのはまさかの失敗だった。梅雨入りはまだというのに雨が降るとは…。時が流れるのは早く、5月も中旬、高校二年になって1ヶ月である。去年同じクラスだった有明、鴨川とはまた同じクラスに配属され、人知れず喜んでいた夜が懐かしく思える。一年の最初なんて、彼らと仲良くなるとは少しも思っていなかったのも思い出す。

噂をしたら何とやら、五月蝿い奴がドア越しに見えた。

ドタっ

公共交通機関が所有する電車に向かって何をする、この女。

「あれ、富士見くんもやや遅れめな時間に登校?」

世間一般ではそれを遅刻と言うのだが。

「いや、今日は妹のことや雨について考えてたらいつも乗ってる電車に乗り遅れただけだ。」

「妹と雨?なんかの本の話??」

いや、そんな変な題名の本があるのか??どうやったらそれらを関連づけるのだ。もし、関連づけることが出来る作家がいたら、それこそ天才と呼ばれる人種だろう。相変わらず理解できない感性をしている。

「なわけあるか。そのままの意味だ。」

「え??妹ちゃんいるの??どんな子ー?可愛いー??」

「ああ、可愛いよ。妹のあの気怠さとか特に。」

「え、シスコン?」

まぁそうとも言うのかも知れないが、そんなことは言えるはずもなく、

「そこまでではないぞ。だが、妹として可愛いなぁとは思うがな。」

「ふぅん…」

なんだ、その余韻は。何か思うところがあるなら言ったらどうだろうか。勿論僕がそっちの立場なら文句なんて言う勇気ないけど。

ーー「次は、古宿〜、古宿で御座います。」ーー

「ん、駅ついたね、乗り換えだー!」

「おう、そうだな。」

「逸れないように手でも繋ぐ??」

悪戯っぽい笑顔でそう言ってきた。

「僕を揶揄うのは止してくれ。何が面白いんだ??」

「そういう返答を聞くのが楽しいの!」

と、ニヤケながら言ってきた。こいつと居ると疲れるのだが退屈はしない。そこがこいつの数少ない長所である。

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