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 緑色の肌、ギラギラ輝く真っ赤な目、鋭く尖った牙、まるで子供のような小さな身体。

 その姿はまさにゴブリンそのものでした。


 自分がその事に気がついたのは今から数日前、ゴブリンの子供同士で木の棒を振り回してチャンバラごっこのような事をしていて頭を思い切り叩かれた時の事だった。


 激しい痛みと共に前世の記憶が蘇って来たのだ。


 蘇ってきた記憶の中の自分は人間で、とても文明的な生活を送っていたようだ。


 それに対して今のゴブリンライフはなんと原始的な生活なのだろうか。


 とても不便で不潔で野蛮な今の生活はインドア派だった前世の自分からすると苦痛でしかない。


 テレビもインターネットもゲームも本も何一つ無いだなんて、一体何を楽しみに生きていけば良いのだろう。


 いや、そもそもその日一日を過ごしだけでも命がけといってもいいレベルのハードモードな生活だ。


 食べるものだって狩で獲物を仕留めなければありつけないのだ。


 そして自分にとってよろしく無い事にどうやら自分は他のゴブリンと比べてもトロいらしい。


 チャンバラごっこをしていて攻撃を全く防御できずに頭に喰らっていた事もそうだが、ただでさえ小柄なゴブリンの中でもさらに身体の小さめな自分は体力もなく、足手まといとか、落ちこぼれ扱いを受けている。


 今はまだ子供で、狩にも参加していないが、ゴブリンの成長速度は人間に比べて著しく速いらしく、成人とみなされるまでの猶予期間はそれほどなさそうである。


 狩で足手まといになったらいよいよ群れの中での居場所を失いかねない。


 今のうちに何とか活路を見つけなければいけないのだが、どうしたものか。


 前世の記憶を活用したい所ではあるのだが、その知識を活用できる場面があまり無い。


 例えば狩だけではなく農業もやってみれば良いんじゃ無いかと思ったところで作物として適した植物がどこにあるのか、農地はどこがいいのか、そういうのはぜんぜんわからないし、そういうアイデアを大人に言ったところでまるで相手にしてもらえないのだ。


 まるでゲーム役に立たない前世の記憶、こんな事なら何も思い出さない方が幸せだったかもしれない。

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