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『………………………』
蓮也は聴覚が無くなる感覚を始めて覚えた。
何も聞こえない…
五感の1つが無くなる事の恐怖をこれから知る事となる。
その間グレンデルはピコデビルを倒していく。すでに半分くらいのピコデビルを蹴散らしていた。
『もう少しじゃ、もう少し辛抱せい。落炎』
蓮也に気を使いながら、ピコデビル達を炎の雨で燃やしていく。
一方蓮也は音の無い世界でレッドガーゴイルと戦っていた。キラッと光る鎌が再び投げられた。同時にレッドガーゴイルは足元に火炎を吐き散らす。燃えないように蓮也はジャンプするが、先ほど投げられた鎌が後ろから蓮也を襲う、蓮也の背中を裂いていった。
『うはぁ!…くそ、耳が聞こえないと後ろからの音が聞こえない…よし!』
蓮也は気を集中して分身を試みるがレッドガーゴイルがそれを許さない。蓮也の下から炎の渦の様なものが高くあがる。蓮也はすぐさま左に大きくジャンプ、なんとか交わすがすかさずそこにレッドガーゴイルが炎の渦を床から出す。蓮也は交わす事で精一杯だ。
『下からなら反応できるな、しかしこれでは分身できないし体力が奪われるだけだ……な!』
炎の渦の連続の中でレッドガーゴイルは再び大きな鎌を投げるそして大鎌暗闇に消える。
『くそっ!見えない聞こえないじゃ話にならない。炎の渦のを避けながら精神を集中。そして賭けに出る!』
炎の渦を避けた瞬間に分身を作り出す事に成功するが、後ろから来る鎌、蓮也は避けれないと仮定し、鎌の方に向き左手を出し受け止めた。
『がぁぁぁぁっ!……へっ!止めたぜ…』
蓮也は自分の左手を生贄にし、鎌を止める事に成功。しかし左手はリフレクトがかかっているとはいえ、切り刻まれ使いものにならなくなった。
しかし、ここから形勢が変わるもう1人の蓮也が鎌を持ち凄まじい力でレッドガーゴイルに投げ返す。鎌はレッドガーゴイルの左翼を切った。
『ギャーーーー!』
レッドガーゴイルは態勢を崩し落下するがその瞬間に2人の蓮也が猛打撃。
『ウォォォォォォ!』
レッドガーゴイルは地上に着く前に猛打撃を受け壁に激突。ゆっくりと地上に落ちる。
すかさず2人の蓮也は互いにた近づき、1人は片手、もう1人は両手を出し力を込め出した。
すると2人の手の先には黒い火の玉が浮かび紫色の雷がジリジリと玉を覆う。
レッドガーゴイルはよろよろと立ち上がった。そこに2人は撃ち込んだ。2人の拳の先からは龍の様な黒く、紫色の雷をまとった炎がレッドガーゴイルに向かい食らいつく。
『カァァァァァァッ…』
蓮也2人は慣れない力を使い、2人とも倒れこみ、分身は消えた。しかし体を焦がされながらもよろよろとレッドガーゴイルは蓮也へと近づく。
『けっ、最後の一撃でもダメか…すまないグレンデル…と目をつぶった』
『獄炎乱華』
レッドガーゴイルの足元から綺麗な花びらの様な炎がレッドガーゴイルを包み、炎が乱れ散る。レッドガーゴイルは黒焦げになり、倒れこむ。そこから黒い煙が天へと上がり、レッドガーゴイルの姿は消えた。
『全く、無茶するやつじゃのー!危うく死ぬとこだったぞ蓮也!』
蓮也は疲れ果て、そのまま寝ていた。
『カカッ!まぁよい。それにしても技のセンスはあるの。あの技、魔炎黒龍掌とでも名付けておくか。さて蓮也を運ぶとするか』
そうすると寝ている蓮也を抱き抱え、頭を撫でながら。
『お疲れさん…』
と、言い塔から飛び立った。
〜ニーズヘッグ内医務室〜
『クゥーン…ペロペロッ!クゥーン』
(蓮也ー!大丈夫なんか?舐めて治したるわ)
主人の帰りを待っていたシュラが蓮也の頬をペロペロと舐める。
『ルビーちゃんダメだよ…ルビーちゃん…ちょ、こしょばいよ…』
グレンデルとルビーは寝込んでいる蓮也を凄く引いた目で見つめていた。
『うっ。うーん…イテッ!左手が動かない…』
その言葉にグレンデルが答えた。
『それはそうじゃ、あんな無茶な受け方をするから。多分2日もすれば治るじゃろ。そしておぬしが最後の技じゃが、あれも未だ見たことない。じゃから名前をつけてみた。魔炎黒龍掌なんかどうじゃ?』
『なんかカッコイイでしゅ!』
『おう!いいじゃねぇか!なかなかカッコイイな!おかげで使いこなせる様になったしな。よっ!』
そう言うと手のひらに黒く紫色の雷が纏う炎を出した。
『クエェェェェェェッ!』
(あちーっ!何してくれとんじゃボケー!)
近くにいたシュラの尻尾に引火。
バタつくシュラをルビーが消化し、優しく抱き上げなだめる。
『大丈夫でしゅか?熱かったでしゅね、もう大丈夫でしゅよ!』
と緑のオーラの様なものをシュラの尻尾に当てている。おそらく治療術だとみられる。
シュラは気持ちよさそうにうっとりしていた。
それを見た蓮也は立ち上がり、自分のどこに引火させるかを悩み始める。
すぐにそれがわかったグレンデルは蓮也の頭を叩き、布団に寝かせる。
『まぁ技も覚えたことじゃし、しっかり休むんで次の訓練に備えるんじゃ!そうじゃ!明日あたり街を少し歩くか?』
蓮也は横になりながら答えた。
『確かに!ニーズヘッグ内の街は見たことないし、興味あるな。いくか!』
『そうかそうか、良し!そうと決まれば明日は街を少し回るぞ!ワシは準備で帰るからおぬしは休んでおれ!』
グレンデルはなぜかノリノリで帰宅。
そして残された蓮也はルビーちゃんにどう癒してもらうかを必死に考えながら夜はふけていった。
『クェ!クェ!クェ!』
(おい!蓮也!グレンデルがもう待ってるで、はよせんと燃やされるで?)
シュラはいつも蓮也の目覚まし代わりになっていた。
『まっ!まず。』
蓮也は急いで顔を洗い、少し濡れた髪をオールバックにながし、制服を着た。
白シャツの胸元を開けていたのでいつもとはちょっと違うワイルド系に蓮也は変身した。
待たせたな…
良し行くか!
急いでドアを開けた蓮也。
『グレンデルごめ……え?』
そこには髪をアップにセットしドレスを着たグレンデルが待っていた。
そして振り向くと少し頬を染めたグレンデルが恥ずかしそうに言った。
『おっ、遅かったの蓮也。どっ、どうじゃ蓮也。似合っておるか?』
蓮也はちょっと恥ずかしながら下を向いて言った。
『お、おう。すっ、すげー綺麗だよ…』
グレンデルはいままでにないような笑顔で喜んだ。
『カカッ!当たり前じゃ!私は姫じゃぞ?それより早く行こうぞ』
『あぁ!行こうぜ!』
2人は肩を並べニーズヘッグの中央広場へと向かった。
後ろの木陰から誰かに見られているとは知らず…




