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第五十八話 Dangerous Area ~修羅場~

お待たせいたしました。

SHURABA回です。

『実里君その人から離れて私だけを見て』

『実里私がアンタを助けるからそこにいなさい』


 ラウラさんとエリスさんの心の声が聞こえてきたけれど、何か勢いがいいのにどこか虚ろさを感じて、全身がゾワッと怖気に襲われた。

 文字通り、一瞬の間に膨大な情報を得た僕は咄嗟に身をかわし、間一髪のところで二人から距離を置くことに成功した。


「どうしたの二人とも!?」

「何で逃げたの?」


 二人が僕へ顔を向ける。

 どうしてだろう、いつもの二人っぽくないっていうか、何だか怖い。

 敵意はない。悪意はない。害意……ん?

 読心で彼女たちの心をもう少し読み取ろうとしたが、


「逃げてくださいって言ってるじゃないですかぁ!!」


 オーエンさんの声と共に、横から急に突き飛ばされたかと思うと、先ほどまで僕が居た場所に、エリスさんが立っていた。


「また逃げたわね」

「スタッカートさん、何をしているの?」


 悔しそうなエリスさんへ、ラウラさんが冷たい視線を向けている。


「実里を助けようとしているんじゃない」

「もう戦いは終わっているよ?」


 あれ、何で二人とも、そんなににらみ合ってるんだ?

 剣呑な空気が漂う中、戸惑いながら様子を伺っていると、誰かに腕を引っ張られた。


「何してるんですか、逃げますよぅ!」


 オーエンさんだった。

 さっき突き飛ばしたのは、彼女だったんだろう。

 彼女の慌てた様子に、僕は状況を呑み込めなかったけれど、立ちあがった。

 その瞬間、再び感じた怖気に、僕はオーエンさんと一緒に大きく後ろへ跳んだ。


「ねぇ、邪魔しないでくれる?」

「リーシェ、何してるの?」


 エリスさんとラウラさんが、爛々とした目のまま、僕たちを見つめている。

 そこに浮かんでいる感情は……よくわからない、けれど、何だか暗いイメージがする。


「何をやっているんですか二人とも!」


 僕たちの前にカフカがやってきて、ラウラさんたちへ向かって両手を広げて立ち塞がってくれた。


「ラウラさん、エリスさん! 感情のコントロールは得意でしょう!」

「カフカ、アンタまで邪魔するの?」

「エリスさん、正気に戻ってください。実里さんが驚いているでしょう?」

「ごめんね実里。でも、大丈夫。私がずっとアンタを守ってあげるから」

「スタッカートさんは終わったらフランスに帰るでしょ? 実里君は私がずっと守るから、安心して」

「何言っているの、アンタ学生でしょう? 制限がいろいろあるじゃない」

「実里君と一緒に居られる時間が長いのは私だから。能力が消えたら、スタッカートさんは学校に忍び込めないし」


 二人の間で見えない火花が散っている気がする。

 何を二人して僕を守るだの何だのと言い争っているのかわからない。

 と言うか、そもそも。


「二人とも、もう戦いは終わるってさっき言ってたじゃないか。そもそも、僕、この異変がなかったら別に誰かから狙われているとかないから、大丈夫だよ!」


 けれど、その主張は、火に油を注ぐ結果となってしまったようだ。


「そんなことないよ、実里君」

「え?」

「だって、実里君、カッコいいし、実里君って結構狙われているんだよ?」

「何だって?!」


 初耳なんだけど、それ。

 ってちょっと待って、僕のことをカッコいいって言った? ラウラさん? ラウラさんから褒められたのに、あんまり嬉しくないよ何故か!


「そうでしょうね。実里は可愛いし、色々な子から狙われているでしょうね」

「へ?」


 エリスさん、確かに僕はお母さん似の顔だって自覚しているけれど、別にそれで狙われたことなんて今までないよ? そんなの漫画の世界だけだよ?


「スタッカートさん、実里君はカッコいいの。可愛いのは認めるけれど」

「ふぅん? アンタよく分かってるじゃない。でも、実里の事をよりわかっているのは私よ。だって、一緒に住んでいるんだから」

「あの、二人とも、本当に一体どうしたって……」


 ヒートアップしていく二人を止めようと声をかけようとした。

 けれど、それは、背後から聞こえてきたマリアちゃんの声に遮られた。


「一緒に住んでいる?」


 振り返ると、マリアちゃんがゆっくりとこちらへ歩いてくるのが見えた。

 顔は、真顔で、でも、普段よりも見開かれた目が、爛々と輝いている。


 何だ、あれは……っ?!


「スタッカートさん……どういう事?」

「どうもこうも、聞いての通りだけど?」


 腕を組んだエリスさんが、剣呑な表情でマリアちゃんを見返した。

 それに、マリアちゃんは目を鋭く細めて、


「ミノリちゃん」


 僕を呼ぶ。

 その声には、怒りが多分に含まれていた。


「どういうことなの? その子と、どんな関係なの?」

「え、仲間だけど……」


 よくわからない威圧に負けずに答えると、マリアちゃんは僕たちから少し離れた場所で立ち止まった。

 そして、先ほどまでの険しかった表情から一転して、花が咲いたような笑顔を浮かべた。


「そうなの? じゃあ、一緒に住んでいるのは?」


 僕は、エリスさんが野宿していたことは伏せておき、彼女が僕たちの同盟に参加したこと、拠点を探していたことを話した。


「だから、僕の家に住んでもらっているんだ」

「部屋は私と一緒ですよ」


 カフカがフォローを入れてくれた。ナイス、カフカ。


「そうなんだ、ふぅん、そうなんだ」


 マリアちゃんは、それはもう嬉しそうに頷いた。

 一体、何がどうしたんだろうか。本当に。

 それから、マリアちゃんは僕の後ろへ向けて、


「だそうですけど?」


 途端に、背後から、爆発を想起させる威圧感と怒気が襲ってきた。

 振り返ると、エリスさんがマリアちゃんを睨んでいた。


「事実よ。それが何か?」

「いいえ。それなら、私の方がミノリちゃんの事、わかってるなぁと」


 ってマリアちゃん、君も何で喧嘩腰になってるの?

 本当に皆どうしたんだよ。

 僕とオーエンさんとカフカだけが正常って、どうなっているんだよ!


「もういいわ……実里」

「な……何?」

「この際だからハッキリさせてもらうわ」

「それなら、私も聞かせてもらおうかな」

「ラウラさん?」


 どうしてだろう、さっきからずっと嫌な汗が止まらない。

 命が、命が危ない……そんな気がして、ここから逃げろって本能が叫んでいるようだ。


「ねぇリーシェ。ところで、実里君とずっと近くない? 実里君の事、嫌いなんじゃなかったっけ?」

「別に好きじゃないけどぉ、仲間を助けるのはおかしいことではないわよぉ」

「オーエンさん……」


 僕のこと、仲間って思ってくれていたんだね……。

 ちゃんと言葉にしてくれて、こんな状況だけれど嬉しい。


「……ねぇリーシェ、本当に実里君の事、仲間としか思ってないのよね?」

「そうよぉ! 私はラウラの味方だって言ってるじゃないのぉ」

「でも、実里君がリーシェを情熱的に見てるんだけど」

「え、見てないよ? 仲間って思ってくれてるって初めて聞いたから、嬉しくって」

「香乃さん、ちょっと向こう向いてて黙ってくれますかぁ?」


 オーエンさんが、よく向けてくる冷たい視線になって、そんな事を言ってきた。

 え、何で?


「ミノリちゃんが怖がってる……皆さん、やめてください」

「貴女もラウラたちを煽るのはやめてくださいぃ!」


 もうしっちゃかめっちゃかな状況の中、僕を救ってくれたのはカフカだった。


「実里さん、オーエンさん、ここは一端退却しましょう!」

「でも、このままラウラさんたちを放っておくわけにも……」

「実里さん、この状況を作りだしているのは、マリアさんです」

「は?」


 マリアちゃんが……この状況を作っている?


「実里さん、エリスさんもラウラさんも、そしてマリアさんも、皆さん、実里さんの事を大切な仲間やお友達だと思っています」


 そう言われて嬉しいはずなのに、この状況下では素直に喜べない。


「それが一体この状況と何が」

「マリアさんの能力は『嫉妬』です」

「もう本当にわからないんですかぁ?!」


 オーエンさんが小声で、でも怒った声で食って掛かってきた。


「三人とも、貴方の事が好きなんですよ!」


お読みいただきありがとうございます。


仮面ライダーセイバーを見ていて、ふと、アリス輪舞曲(ロンド)を思い出しました。

あと、アサルトリリィを見ていてストパニを……思い出し……。

あれ、これって電げk(トルエノ・デストローダ


あ、魔女の旅々もいいのですよ!

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