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第二十四話 縁の下の天使

大変、大変長らくお待たせしました、申し訳ありません!!

……本当、もう……


読んでくださっている方々、ありがとうございますっ。

「お、戻ってきたか」

「お疲れ明守真。精が出るね」


 明守真は首にかけたタオルで額にじんわりと浮かぶ汗をぬぐっていた。


「大会、今年も優勝できるといいね」

「おう、今年もやれるところまでやってみるわ」


 爽やかに笑いながら言うけど、個人戦は明守真が優勝する姿しか想像できない。団体戦ではチームの総合力が物を言うから、優勝とはいかない時があるみたいだけど、それでもかなりいい成績を残しているから、問題ないと思う。


「そりゃそうと、お前がギリギリに戻ってくるなんて珍しいな」

「武宮先生に呼び出されてさ」

「ん? なんかあったのか?」

「いや、噂について聞かれてさ」

「噂?」

「円迎寺さんとオーエンさんと一緒に登下校したり、一緒に昼飯食べたりしてることとか……僕は知らなかったんだけど、明守真は知ってた?」


 僕がこそこそと小声で耳打ちするように言うと、明守真は「はぁ?」と訝しげな表情を浮かべた。


「そんなの聞いたことないぞ? っていうか、そんな噂があったら真っ先に俺の耳に入ってくるっつーの」


 明守真は「考えてもみろ」と続ける。


「学校一の有名人が、友達連れとはいえ特定の男子と一緒に毎日のように登下校して、昼休みに揃って消えてるだなんてなったら、その日のうちに学校中に話が広がるぞ」

「やっぱりそうだよね……」


 だとしたら……。


「武宮先生はどうしてあんな話をしたんだ……?」

「さぁな。それは本人に聞いてみればいいじゃないか? まぁ少なくとも、そんな俺得な話は一切聞いてねぇから安心しろ」

「君ねぇ……」


 冗談めかした雰囲気で明守真は僕の肩を叩いてくる。と思ったら、がしっと掴まれた。


「それより、副会長たちと飯食ってんのかお前」

「ぁ」




 放課後、カフェにてラウラさんたちに噂について話すと、


「そう言えば、全く聞いてないかな。香乃君についても聞かれたことないかも」

「私もそんな話は全く……」


 二人とも首を横に振る。

 僕も明守真から聞かされるまで疑問にすら思わなかった。本当だったら結構気に掛ける案件なのに、僕たちは長い間それについて深く考えることなく、普通に行動していたのにも関わらず、誰にもそれについて触れられることがなかった。唯一の例外は明守真くらいだが、それも一度くらいだ。

 疑問符を乱舞させ、あーでもないこーでもないと首を傾げていると、イチゴタルトを頬張っていたカフカが、


「あ、私が情報規制しているからですよ」


 あっけらかんと口にしたので、全員の視線が彼女に集中する。


「えと、どういうことなのかしら?」

「能力集めや襲撃への警戒で皆さん気を張っていますから、余計な気苦労をかけたくなかったので、オーエンさんが転校された次の日から限定的に隠蔽能力を使用しています」

「…………マジでか」

「マジです。具体的には、登下校と昼食時に、周囲の方の意識をこちらから逸らす術を使用していました。まぁ、使うのが久々過ぎて、一度だけドジしちゃって飛崎さんに見つかりましたが、それ以外は誰にも皆さんの行動は見られていませんよ。あ、でも能力者にはこれ、通用しないんですよね。共鳴反応で探知されますから」


 言うだけ言うと、カフカは再びイチゴタルトを頬張って、美味しさに悶え始めた。

 のんびりした性格だからよく忘れてしまうけど、カフカって異界から来た天使だったな……。


「知らない間に助けてくれてたんだ……」

「実里さんたちのサポートもオペレーターの仕事ですから」

「オペレーターの仕事の範疇超えてる気がする」


 ともかく、これで噂が広がっていない原因はわかった。


「じゃあ、どうやって先生は僕たちのことを知ってたんだろ」

「入口からこっそり見てた……とかですかぁ?」

「それはないですねー。人払いの術かけてますし、実里さんたち以外の人が近づいたらわかりますし」

「カフカ様、やっぱりすごいですねぇ……」

「武宮先生も何かの能力者なのかな?」

「その先生はとても勘の強い人みたいですけど、能力者じゃないですよ」

「実里ったら、そのうち何かあったら『能力者の仕業だ!』って言いそう」


 カフカとエリスさんが苦笑を浮かべる。


「まぁそういう訳でして、学校生活は気兼ねなくエンジョイしてくださいね」


 はにかむカフカだけど、自分がどれだけすごいことをしてるのかわかってないんだろうなぁ。それが彼女の普通だからなんだろうけど、本当にいつも助けられてばかりいる。

 ふゎっ、と心に温かい感情が生まれ、自然と笑みが浮かんだ。


「ありがとうカフカ」

「! はいっ!」


 照れて笑うカフカは、まさに天使のように愛らしかったけど、その後ラウラさんがずっと不機嫌で、僕はオーエンさんから零点下の視線を受けた。

 何故だ……。


ラウラ「実里君、カフカさんには本当に甘いんだから……!!」

リーシェ「香乃さん……」

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