第二十二話 団欒
あけましておめでとうございます。
大変長らくお待たせしました。
リアルの忙しさと、書き直しや設定の変更などをしているうちに一か月以上過ぎてしまいました。申し訳ありません。
なかなかアップできないときもありますが、今年もどうぞよろしくお願いいたします!
香乃実里の母親である嘉香には、年の離れた双子の兄と姉、双子の弟と、これまた年の離れた妹がいる。
両親が共働きで、半分親代わりに自分たちの面倒を見てくれたのは兄と姉だ。
嘉香は家族を愛しているが、特に兄が大好きだった。ブラコンだと自他共に認めていた。兄の幼馴染の女の子が彼女になった時は、大好きなお姉ちゃんでも、これとそれとは別、と頬を膨らませていたくらいには。
香乃栄一郎と出会って、恋して結婚した今でも、ブラコンの気はある。それは恋愛感情ではないのだが、姉や弟たちが呆れるくらいには愛情があった。栄一郎も嘉香のブラコン具合は知っているので、苦笑するくらいだ。
まぁ、当の兄もまんざらでもなさそうなのだが、笑顔でその話を振られたときには苦笑を浮かべていた。
「兄さん、実里ったら女の子の友達ができたらしいの」
「へぇ、実里に?」
「そう! 兄さんに似て、モテるんだよきっと」
「いや、それは関係ないと思う」
もうすぐ五十になろうとしているはずなのだが、見た目は高校生の時からあまり変わっていない兄は、隣に座る同じく若い姿の嫁とほほ笑んでいた。なお、嫁の反対側には、これまた若い女性が座ってコーヒーを飲んでいた。カップを手に取って口をつけているだけの動作が様になっており、同性でも見惚れてしまうだろう。だが、幼い頃からその姿に慣れ親しんでいる嘉香は見とれることはない。
「実里君、十七歳だものね。私たちが付き合い始めたのもその頃だったかなぁ」
「まぁけじめっていうか、付き合うってなったのは十六、七くらいだったけど、それまででも俺たち仲良かったしなぁ」
「そうだね、痴話喧嘩が多かった気もするけど」
口を若干とがらせる嘉香に、兄夫婦は「それもそうだったか」と笑う。隣の女性も「そうねぇ」とばかりにほほ笑む。
「そういう嘉香だって、栄一郎君と付き合い始めたのは高校生の時だっただろ?」
「そうそう。あの時の嘉香ちゃん可愛かったわよ?」
「だ! だだだだだ! お義姉ちゃん、何言ってるのよ!」
「あっははは、嘉香ちゃんは今も可愛いぞう!」
隣の部屋から栄一郎が抑え気味に、しかし朗らかにそういうものだから、嘉香は顔を真っ赤にして縮こまってしまう。
「まさにブーメランだな」
隣の部屋から、栄一郎と将棋をしている弟の苦笑が聞こえてくる。眠っている娘を膝に抱えているのだろう、声は静かだ。
「うぅ……皆してぇ……」
「息子のことをネタにしようとするんだから、それくらい覚悟しとけよな」
「ははは。それで? 実里の友達はどんな子なんだい?」
兄が笑いながら話の路線を戻してくれたことに心の中で感謝するが、嘉香も相手の情報を知らないので首を振った。
「わからないの。でも、あの子がお弁当を作って渡しているみたいだから……」
「ほう?」
「へぇ?」
「ほほぅ」
兄、義姉が顔をにやりとさせ、弟も声から似たような表情をしていると想像がつく。そして兄の横の女性も笑っている。栄一郎は何も言わなかったが、笑ってるはずだ。
「帰ったら紹介してもらわなくちゃ」
「ほどほどにしとけよ?」
「それよりも、実里がその子を連れ込んでいなけりゃいいがな」
弟の発言に「ないわー」と全員が首を振った。
「ないわね」(嘉香)
「ないですね」(栄一郎)
「ああ、ないな」(兄)
「多分ないんじゃないかなぁ」(義姉)
「まぁ、だと思うがな」(弟)
何せ……。
「実里ちゃんは、優柔不断ですから」
それまで黙っていた女性が、そう締めくくった。
「ところで嘉香。彼女ができそうになっている以外で、実里に変わったことはあるかな?」
夕食が終わった後、兄が唐突にそんなことを聞いてきたが、嘉香は思い当たることがないので首を振った。
「ないよ? どうしたの?」
「ん? あ、うん、いや、明守真君と澄香さんをくっつけるのにひと騒動あったんだろ? 仲直りはしてあると聞いたけど、その後どうなのかなってな」
心配性なところは変わらないなぁ、と嘉香は兄のことを微笑ましく思いながら、
「大丈夫だよ、澄香ちゃんから、明守真君が前にみたいに実里のことを話すようになったって聞いてるし」
「そうか? まぁ、それならいいか」
兄は苦笑しながらも納得したらしく、ほっこりと湯呑に口を付けた。それ見て、嘉香も自分の湯呑を傾ける。
「そうそう」
「あぁ」
弟宅で、久しぶりにほとんど揃った家族と団らんを過ごす嘉香たちは知る由もない。
これから実里が、人生最大のピンチを迎えることを。
今日が初夢の日だとか。
一富士二鷹三茄子で、四つ目が扇らしいですね。
それでは皆様、よい初夢を!
カフカ「ところで私は何番目ですかね?」
エリス「多分、円周率の最後あたり?」
カフカ「……」




