心の在り処
泣き疲れて眠ったぼくを、ガイ兄がおんぶして家まで連れて帰ってくれた。
起きた時、空が真っ暗で、ぼくはお昼ご飯を食べずに眠っていたようだ。
ぐ~~う ぎゅるる
思い出したら、お腹が盛大になり響いた。
「あっ! 起きたのね。お腹がすいてる? ご飯は食べれるかしら?」
お母さんがぼくをそっ抱きしめて、ぽんぽんと優しく頭を叩いたあと、おでこを合わせる。ぼくは、お母さんのこのしぐさがとっても好き。精神は大人のはずなのに、今のこの1歳児というからだ年齢に引っ張られている。
でも、確かな事実として、今のぼくは1歳児で、これらの行動は、一般的にはおかしい訳ではない。
「大丈夫、安心して。養子の件はしっかり断ったから。貴方は、私の大事なシャイールよ」
ああ、その言葉にまた涙が零れそう。
シャイールって、こちらの言葉の意味で、『宝物』っていうんだ。
「だから、心配しないで、安心してご飯を食べましょう」
「うん。お腹空いた。食べる」
ぼくは、『抱っこして連れて行って』って、視線と両手をお母さんのほうに伸ばして訴えた。
「仕方ない子。今日だけよ。さぁ、いらっしゃい」
ぼくは、満面の笑顔でお母さんに抱きついた。テーブルの前に着くと、今度はお父さんが抱っこをしてくれて席に座らせてくれた。
「目覚めていてよかったよ。今日は、シャイールの誕生日だから、特別に奮発して、砂糖入り牛乳があるぞ」
わーいい。甘い物は、久しぶりだ。急いで、テーブルの上をチェック、チエック。
確かに、コップに白い飲み物が入った物があった。
一番にそれを飲もうとして、お父さんの拳骨が頭に落ちる。
「まずは、ご飯を食べてからだ」
はい。そうですね。今度は、いも粥かな。
うん。これもほんのり甘くて美味しいです。食後の砂糖入りの牛乳も美味でした。
いろいろありましたが、ぼくの一歳の誕生日は終了です。
結構寝たつもりだったけど、まだ子供だからかな? それとも精神的に疲れたせいかな? お腹がいっぱいになったぼくは、あっという間に眠りの世界に入って行った。