始まりの前
なんか最近体調がすぐれない。
最初は、ゲームの遣りすぎのせいかなって考えていた。
でもゲームをしないという気はまったくない。体調を根性でねじふせてゲームをする。
それを、自分らしいなって単純に思っていた。
そんな自分の甘さに気が付いたのは、根性でも好きなものでも紛れないぐらい体が思うように動かなくなってきたからだった。
学校に行く以外、だらだらごろごろのな毎日が続く。
どうにも体が重くて、自分の周りだけ重力が2倍3倍になっているのではないかと感じるぐらいにしんどい。
おかげで、今日も親子バトル勃発。
でも、今さら親にそんなこと言っても信じてくれるかどうか疑問だし、なによりも病院が苦手なので行きたくなくて黙っていたのもあった。それで、ついついずるずると、日を延ばしてしまった。そうこうするうちに、学校に行くのもしんどくなったが、休むと言ったら、喧嘩になるだろう。それはそれで、最悪の体調で遣り合うのは大儀い。変な話だけど、授業をちゃんと聞いていなくても、取り合えず学校には行くというのが、我が家の決まりだ。
今日も、重い体を酷使して玄関の靴をなんとか履く。
「いって・きま・す」
立ち上がった瞬間、俺は意識を失った。
「たける!!」
「しっかりして! たける!!!」
どこか遠くで母親の声がする。
なんとなく自分は死ぬんだなと感じた。なんでだろう?
救急車のサイレンが鳴り響く。
どこか他人事のように感じた。
神代 長流18歳。
20**年10月10日 8時44分 死亡。
死因・脳腫瘍による突然死。
医者の声と、両親の泣き声を最後に、ブラックロリータ姿で大きな鎌を持った死神に唖然としながら、右手を引っ張られてあの世に向かいましたとさ。
ちゃん ちゃん♪