ブロンズ色の少女
キャラ紹介
文月出來
16歳
158cm
43kg
武器…グリモワール(魔導書)
絶対双刃教室の一員。読書が大好き。瞑のことは気にも留めてないがリズの瞑に対する反応をかなり面白がっている様子。表情の変化があまりないので何を考えているかわからない時もしばしば。
双刃祭開催まで1週間を切ったある日、俺達ミルガフィルの生徒全員講堂に集められた。
『突然、集まってもらいすまないな。初見の奴もいると思うが、私はミルガフィルの長、レスキア・ニーズヘッグだ』
壇上にはミルガフィルの学園長らしい人が立っている。学園長と言われなければ小学生に見間違えるような容姿だ。黄色の髪を腰くらいまで伸ばしていて、白衣を羽織っている。
『集まってもらったのは他でもない。先日のヒュドラ強襲の件はしっているな?とうとう闇黒魔が動き出した。SERAF配下の
チームが今、闇黒魔の動向を追っている』
SERAFの配下にはいっているのは大きく3つに分かれる。サレスチナ、イルヘルム、そしてここ、ミルガフィルの3つだ。闇黒魔の目的はもしかしなくてもここで間違いないだろう。
『そして先日襲われたこともあり、1人ここに編入することになった。紹介しよう、リリア・シルフィだ』
学園長に紹介され、1人の少女が壇上へ上がってきた。
ブロンズ色の髪を上部だけ後ろで結び、下の髪はそのまま垂らしている。制服は特注なのだろうか、彼女用にアレンジしてあるようだ。
『リリア・シルフィです。よろしくおねがいします』
リリアはかなり落ち着いた感じで自己紹介をした。俺の時よりしっかりしている…。
「っ!?」
そして、彼女と目が合ったかと思うと物凄い形相で睨まれた。俺、何かしたのだろうか。だが、彼女とは今日が初対面の筈だ。気のせい…だったのだろうか。あまり気にしない方がいいだろう。
「白縫瞑!」
集会が終わり、教室へと戻る途中でリズに呼び止められた。
「お前から話しかけてくるなんて、俺の事みとめてくれたのか?」
俺が不敵な笑みでそう聞くとリズは暫し黙り込みそして、吹っ切れたかのように発言した。
「先日のことを踏まえて…あなたをクラスメイトとして認めて差し上げてもよろしいですわ」
随分偉そうな言い方だが、リズらしいな。
「ふふっ」
「な、何がおかしいんですの!?」
「いや、ちょっとな…。はは、ははははっ」
俺はあまりにもリズらしすぎて、思わず笑ってしまった。
「まぁ、そう言う事ですのでよろしくして差し上げても宜しいですわ!」
「…素直じゃない」
「い、出來!」
出來が何かを言って通り過ぎていった。一体何を言ったのだろうか。リズは出來を追いかけていってしまった。
「何話してたの?」
リズ達がさっていった方を見つめていると後ろからイリヤが聞いてきた。
「クラスメイトとして認める、的な事だよ」
「よかったね♪瞑のこと信用してもらえて」
「そう…なのかな?」
「そうだよ!みんな、瞑の事分かってくれたんだよ」
そうだといいけど。イリヤが言うと何か納得しちゃったりする自分がいる。こんな俺でも受け入れてくれることが何より嬉しい。
「改めてここに入ることになったリリア・シルフィだ」
HRで四ノ宮先生がそう紹介した。どうやら絶対双刃教室に入ることになったらしい。戦力増強も含めてだから当たり前と言えばそうだな。
「――」
?何か一瞬睨まれたような…。やはりあの集会の時も気のせいじゃなかったのか?面識はない筈なんだが…。でもどこかで見た気がしないでもない。
「よろしくお願いします♪」
さっきの睨みが嘘だったかのような笑みを浮かべ挨拶をする。本当に何がなんだかさっぱりわからぬ。
「よろしくお願いしますわ、私は――」
「皆知ってるわ。リーズレイン・エルキュール、高梨栞枝、姫榁藍璃、美秘侑依、柊月夜、イリヤ・スリンフォード、そして……白縫瞑」
何か俺のとこだけトーンが下がらなかったか?変な殺気みたいなのがでてた気が…。
「全員の名前やプロフィールは全部覚えたの」
「すごーい!藍璃よりも記憶力あるんじゃないの?」
「……」
栞枝がそんなことをいうと藍璃は若干不機嫌そうな顔をしたが、いつもと変わらずパソコンと向かい合っていた。
藍璃ってそんなに記憶力いいのか。
「それと今日は身体検査がある。先日の事もあり、聖霊刻印の点検を行う。すぐ準備するように。白縫は学園長室だ」
四ノ宮先生はそのまま教室を出ていった。定期検査?そんなものがあるのか。
「毎年あるのか?」
「いえ、今日が初めてですわ」
俺が疑問を口にするとリズが否定的に答えた。ていうことは闇黒の卵に関係するのか?
◆
「ここか」
学園長室の扉をノックする。
「入りたまえ」
「失礼します」
学園長の応答を聞き、扉を開けて室内に入る。
「君が噂のイレギュラーか。……ほう、なかなかいい体をしておるではないか」
俺の体隅から隅まで見回す学園長。
「あ、あのう、検査は……」
「そうであったな」
先程まで忘れていたかのような仕草をする。この人、わざとやってるのか?
「では、聖霊刻印を見せてみよ」
俺は聖霊刻印のある右手を差し出した。
「ほう、これが男の聖霊刻印か………カジリっ」
「っつ!な、何するんですか!?」
学園長は暫く聖霊刻印を見ていたかと思うと突如俺の手に噛み付いた。くっきり歯のあとがついている。
「何って検査だが?…特に以上はないようだな」
学園長は口についた俺の血を拭いながらそう言った。さっきので何がわかるのだろうか……。
「じゃあ、もう帰っていいんですか?」
「ちょっと待て」
立ち去ろうとしたが学園長に呼び止められた。
「あの力、どこで手に入れた?」
「………」
さっきとは打って変わって真面目な表情で聞いてくる。あの力とはヒュドラ戦で使ったレーヴァテインのことだろう。
どこで手に入れたか…か。また5年前の事を思い出してしまう。僅かな時間で壊滅した街、返り血を浴びた俺、目の前で息絶える妹。
思い出すだけで胸が苦しくなる。
「そうか、言いたくなければそれでいい。だが、使いようによっては世界を滅ぼしかねない。十分気をつけろよ」
学園長はこの力の事を知っているのか?
「学園長……!」
「ところでクラスの方はどうかな?」
あの力について詳しく聞こうとしたが話をそらされてしまった。
「どうって、普通ですが…」
「違う!お主は男のミラ。つまり、お主以外全員女子じゃ。それは楽園――ハーレムじゃ!」
「え、えぇと……」
この人はいきなり何を言い出すんだ……。
「お主はその状況で1ミリたりともときめかんというのか!」
「少しはありますけど……」
「そうであろう!では、いざ行かん、戦場へ」
「戦場って?」
「勿論、じょ………むぅ!」
学園長が言いかけたところで学園長の秘書さんが学園長を拘束する。この学園長で本当に大丈夫なのだろうか…。
「学園長の言うことは気にしないでください」
「はい…失礼しました」
俺は秘書さんに言われた通り退出した。さっき軽く流されてしまったが、学園長は何か知っている?何かをかくしてるのか?
◆
教室に戻ると皆が集まって何やら楽しそうに話している。
「何話してるんだ?」
「明日、お休みだからリリアと瞑の歓迎会も含めて遊びに行こうって話してたの」
俺が聞くとイリヤがそう返答した。リリアもその輪に入っていたが俺を見るなり急に不機嫌そうな顔になる。俺、嫌われてる?
「別に強制ではないので来なくてもいいですわ。どうしても来たいというのならそれでも構いませんわ」
「…ツンデレ」
「ツンデレだね」
「な、何を言うのですか!!わ、わたくしは…!」
出來と栞枝が小声で突っ込む。ほんと賑やかだよな。
「どうかな?」
イリヤが上目遣いで聞いてきた。断る理由もない。
「いいぜ」
「本当!?じゃあ、明日は着替えて海に集合ね!」
これを機会にリリアとも話せるかもしれないしな。