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聖剣乱舞のヴァルキュリア  作者: 双葉カレン
過去の縁と現在(いま)の縁
4/20

漆黒のレーヴァテイン

キャラ紹介


柊月夜


15歳

153cm

38kg

武器…神弓・アルテミス(弓)


絶対双刃教室のクラス委員。ヴァルキュリアと化してしまった友達を自分自身の手でやったという過去も……!いつも冷静だが、闇黒の卵が関わるとそうでもなくなる。責任感が強い性格上、汚れ仕事はクラス委員の役目と思い込み、冷静な考えが浮かばなくなる


俺とイリヤは本館の屋上へと向かう。外には警備がうじゃうじゃいる為、寮と本館を繋ぐ連絡通路から行くことにした。


本来非常時しか使えない通路だ。今も一種の非常時だししょうがないよな。連絡通路は階段を降りてすぐのところにある。



「隠れろ」



階段に向かおうとするもその先には警備がたっていた。俺達はすぐ近くの壁の影に隠れた。


外だけではなく中にも警備がいる。まぁ、想定外というわけでもない。



「あの警備が反対側を向いた瞬間走るぞ。いいな」


「…うん」



様子を窺いながら警備が反対側を向く瞬間をじっと待つ。そして、要約警備が俺達と反対側を向いた。



「今だ!」



俺はイリヤの手を取り、階段まで走る。壁の影から警備の方を覗いてみると通常どおりに職務をつくしている。なんとかバレずに突破できたみたいだな。


そこで俺とイリヤは少しばかり息を整える。


そして、階段を降り連絡通路へ行こうとしたが、その連絡通路の入口にまたしても警備がいた。3人くらいいるな。



「どうするの?」



イリヤが不安そうな顔でこちらを見上げる。残り時間も考えると別の道を探している余裕はない、か…。方法は1つしかない……よな。



「行くぞ」


「行くって…まさか!?」


「イリヤはここで隠れといて」



イリヤは止めようとしていたが、俺はそんなイリヤの言葉を遮った。イリヤに階段の影に隠れているよう促し警備の方へと突っ込んでいく。



「あれは…!?そこの奴止まれ!」



警備の奴らもこちらに気づいたようだ。手にしている銃を構え発砲してくる。銃弾は次々に足元に着弾していく。


そして、1人目の警備に近づいたところで持っている拳銃を飛ばし、後頭部を死なない程度に殴って眠らせた。残るは連絡通路の入口に両サイドで2人だ。


銃弾は様々な場所に飛んでくる。多少頬を掠ったがなんとかその銃弾の嵐を切り抜け、2人の間に入る形となった。


まず左側の奴の手を蹴飛ばし拳銃を手放させ、そのまま喉元に蹴りを入れて気絶させる。


その時、もう一方の奴がこちらに銃を向け引き金をひこうとしていた。俺はすんでのところで跳躍し、そいつの背後に着地する。そして、裏から首を締めて意識を奪う。



「ふぅ…もう大丈夫だ」



イリヤの方へ呼びかけながら手を振る。イリヤはそれに気づきこちらに向かってくる。途中に倒れている警備の奴等を見て若干怯えているように見える。



「ねぇ、あの人たち大丈夫なの?」



俺のもとへたどり着くなりイリヤはこっちに向かってくる中ずっと考えていたであろうことを口にする。



「大丈夫だよ。ただ気絶させただけだから。外傷も負わせてないから心配いらないよ」


「よかったぁ…」



イリヤは安堵の溜め息をつく。やっぱ優しいな。



「さぁ、行こう!」



イリヤを引き連れ連絡通路を駆け抜け、その先にある階段を駆け上る。




「やはりここに来ましたか、白縫さん」



屋上に着くとそこにはボロボロになった月夜の姿があった。辺りもうは暗くなり始めている。



「イリヤさんをこちらに渡してください」



そう言って月夜は神弓・アルテミスを顕現させ、こちらに向け矢を放つ構えをとる



「嫌・・・といったら?」


「力づくでもイリヤさんを射抜きます」



凄い殺気だ。どうやら、本気らしい。力づく、それは文字通り手段を選ばずやってくるだろう。だが、どうにも月夜には出来ないという根拠のない確信があった。



「お前にその弓は引けない」


「どうしてそんなことわかるのですか?」


「過去の顚末を二度と繰り返したくない、そうだろう?」



月夜は暫し黙り込み、口を開く。



「だったらどうだと言うのですか?ヒュドラには空間をねじ曲げる名も無き領域(ゼログラビティ)があるのですよ?」


『第三防衛ライン突破されました!』


「やはりイリヤさんを殺すしか――」


「――――――――――――――――――!」



その瞬間、何処からともなく閃光が飛んできた。それは名も無き領域を中和し、無効化してヒュドラ本体に命中した。



「今のは・・・」



閃光の放たれた場所に目を向けると幽かに人影が見えたがすぐにいなくなってしまった。俺達の味方…なのか?



「名も無き領域が……。っ!!皆さん攻撃を」



いや、今はそんなことどうでもいい。謎の閃光のことは気になったがそのおかげでヒュドラの名も無き領域が消え攻撃の隙が出来た。月夜はみんなに指示を出し一斉に攻撃を開始する。



「スコーピオン!」

リズはゲイ・ボルグで満開に貯めた気を伸ばす。


「雷神の鉄槌!」

愛璃は巨大化したミョルニールで叩き込む。


月明かりの神器(ルナアーク)!」

出來はグリモワールを開き、周囲に白銀の剣を無数に展開させ、ヒュドラ目掛けて撃ち込む。


「デス・グラビティ!」

侑依はデスサイズを振りかざし空間を切り裂く一撃。


「ファイナル・インパクト!」

栞枝はストライカーのリミットを解除し、全身全霊の一撃を。


ヒュドラは皆の攻撃を受け怯んでいる。かなり効いているように思えたが致命傷とはならなかったらしい。ヒュドラは咆哮をあげ、自身の周り全てを吹き飛ばした。


そして、ヒュドラは真ん中の頭部あたり邪悪なエネルギーの球体を作り始めた。その球体は見る見るうちに大きくなりヒュドラと全く同じくらいの大きさになったそれを撃ちだす。


方向は確実にこっちに向かっている。



「このまま終わっちゃうのかな?」



イリヤが全てを諭したかのような呟きを漏らす。




「私達死んじゃうの?」



泣きながらそう訪ねてくる妹。くそっ、何も救えないのかよ!


――アイツを倒せる力が欲しい!!



ドクン、ドクン


何だ、何かが呼んでいる?鼓動がする方を向くとそこには漆黒の剣が地面に突き刺さっていた。



『それを手に取れば強力な力が手に入る』


「誰だ?」


『名前などないが仮にファントムと名乗っておこう?』


「ファントム、これを手に取ればアイツに勝てるんだな?」


『えぇ』



俺は言われるがままそれを手に取る。体中に力が満ちていくのを感じる。



「魔導滅却!」




俺は咄嗟にイリヤの前に出てその球体を打ち消す。今、俺の手には漆黒の剣が握られていた。



「下がってろ」



イリヤに後ろに下がるよう促し、漆黒の剣を地面に突き刺す。



「はぁーーーーーーーー!」



そして、ルクシオを最大限に放出する。次の瞬間、俺に向かって黒い雷が落ちた。



「ぐぁーーーーー!」



大丈夫、信じるんだ。今の俺なら使いこなせるはずだ。


暫くすると漆黒の剣が徐々に大きくなっていく。さらに、背中には黒い気で出来た翼が生えてくる。



「はぁ、はぁ、はぁ。これで決める!」



俺は空高く舞い上がり、巨大になった漆黒の剣を構える。



「魔導滅却!」



構えた漆黒の剣をヒュドラ目掛けて斜めに振り下ろす。その斬撃はヒュドラに向かって一直線に大気をなぎ払いながら進みヒュドラにあたると、ヒュドラは一瞬でまっぷたつになり、雲散霧消した。



「やったのですか?」


「聖霊刻印が、元に戻っていく…。やったよ、瞑!……瞑?」



月夜とイリヤの言葉は聞こえていたがどうやら体が限界のようだ。姿も通常に戻り、力が抜けて屋上に落下していく。



「瞑!」


四重の壁(カルテットウォール)



イリヤの悲しそうな声が聞こえる。出來あたりが受け止めてくれたのだろう。



「随分、変わられましたね兄さん。兄さんの力はこんなものではない筈ですよ。何れお会いする時を楽しみにしています」



遠のく意識の中、幽かに頭に響いてきたその声に心当たりがあった。だが、様々な思考をする余裕などあらず、俺の意識は深く沈んでいった。

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