表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣乱舞のヴァルキュリア  作者: 双葉カレン
過去の縁と現在(いま)の縁
2/20

闇黒魔の目的

キャラ紹介


イリヤ・スリンフォード


16歳

158cm

45kg

武器…ウンディーネ(長杖)


きらきら輝くほどの白銀の髪と水のように透きとおった肌を持っている。一応、絶対双刃教室の生徒だが、成績は実技も合わせて落ちこぼれに部類される。でもそれにはある秘密が……。


「開始!!」



始まりと同時に俺は一気に相手の懐へ攻め入る。そして、下段から切りつける。だが、リズはゲイ・ボルグを地面に突き刺し棒高跳びの要領で高く跳躍し、俺の背後に着地した。



「その程度なのですか?少し残念です。次はこちらからいかせてもらいますわね」



そして、今度はリズの方から攻撃を仕掛けてきた。俺はほぼ防戦一方の状況になってしまった。



「手も足も出ないようですね」



リズの言う通り、確かにこのままではボロ負けになる事間違いなしだ。くそっ、どうすれば!?



「そろそろ降参した方が身のためだと思いますが?」


「ふっ、冗談」


「そうですか。ではこれでも喰らいなさい、センチネル!」



その瞬間リズの構えたゲイ・ボルグから緑色の玉が飛んで来た。



「くっ…!」



しかも、一つだけじゃなく幾つも飛んで来た。ガードしても全部を防ぎきることは出来ず、何発かは頬や脚に掠った。何とか隙が出来れば突破口が開くのに!!



「これで最後です、ライオール!」



すると、リズはゲイ・ボルグを上に掲げ、そこにエネルギーを溜めていく。あれはかなりの大技みたいだしおそらく、あれを打ち出した直後、大きな隙ができるはずだ。エネルギーはどんどん溜まっていき、結構な大きさになっていた。


一カバチかあれを使うしかないか…。



「マキシマム!」



次の瞬間、巨大なビームがリズのゲイ・ボルグから放たれた。あれをまともに喰らったらヤバイな。


俺は当たりそうな寸前でなんとか左に避けた。しっかり避けたはずだったが頬を軽く掠ったようだ。あの技…威力だけじゃなく速さもあるのか。だが、今がチャンスだ。



「まさか、あれを避けたというのですか!?」


「ギリギリだけどな」


「まぁ、これで終わってはおもしろくありませんものね。そうこなくては勝負しがいがないというものですわ」



俺はリズの元へ駆けていく。生憎リズの体は動かないようだった。まぁ、あれほどの技の後じゃ体を動かすのも大変だろうな。だが、全て想定内だ。



「勝負つったって、もう勝敗はついたようなもんだろ」


「それはどうでしょうか。言ったじゃありませんか、『これで終わっては面白くない』と。後ろご覧なさい!」


「後ろ?」



そう言われて後ろを振り向くと何やら浮遊するものが二機あった。



「これは!?」


「私のゲイ・ボルグは分裂することができますの。さっきライオール・マキシマムを打ち込んだ時に一緒に飛ばしておいたのです」



分裂したゲイ・ボルグの衛星とも呼ぶべきものからレーザーが発射される。


後、ちょっとってとこでまた振り出しか。だが、まだこっちにはあれが残ってる。


俺はアスカロンに力を集中させる。そして、ルクシオの鼓動を感じ取り、それをいくつかの残像にかえ生み出す。周りには分身に見えるらしいが…。


残像を身代わりに一気にリズへ近寄る。



「結構、やりますのね。前言撤回致します」



リズの衛星も戻ってきて、ゲイ・ボルグとアスカロンがぶつかり合う。



「ですが、まだ甘いですわ!」



リズがゲイ・ボルグを薙ぎ払い、俺はその衝撃で吹っ飛ばされ壁に激突した。



「終わりですね」



リズがゲイ・ボルグを俺に向け振りかぶる。



「それはこっちのセリフだ」


「なんですって!?じゃあ、これは!?」


「それは俺の残像だ。飛ばされる直前密かに入れ替わったのさ」


「そんなことが!?」



俺はリズの背後に立ち、後頭部にアスカロンを突き付ける。



「甘いのはそっちだったな。チェックメイトだ」


「くっ……」


「そこまでだ、勝者は瞑くんのようだな」



リズは武装解除し、地面に座り込む。まぁ、一件落着ってとこかな。



「思ってた以上にやるようですわね。ですが、まだ認めたわけではないですから!」



ここに馴染むにはかなり時間がかかりそうだな。少しずつでも打ち解けていけたらいいんだけど……。



「模擬戦はここまでだ。デュオのパートナーは明後日までに決めておくこと。以上、解散!」


「すごいよ、瞑!さっきのどうやったの!?」



すると、イリヤが目を輝かせてこちらに向かってくる。イリヤだけは他と違って馴染みやすいな。



「大したことじゃないよ。説明すると長くなるけど簡単に言えばルクシオを分散させて、自分の姿を映し出すって感じかな」


「私にも出来る?」


「出来ない事はないけどイリヤにはもっと合った戦い方があると思うよ」



人にはそれぞれ合った戦い方があるからな。さっきのやつも実戦での経験から生まれたものだし。



「私に合った戦い方?」


「あぁ」


「でも、私上手く力をつかえないし……」



イリヤはいじけたように俯いてしまった。何とかして励まさないと!



「大丈夫。今はそうかも知れないけど、何れ誰もが羨むミラになるよ。俺が保証する」



誰もが羨むというのはちょっと言い過ぎとは思ったが、こういうのはでっかく出た方がいいと思うし、今大事なのはイリヤに自信をつけることだ。



「だから心配するな」


「ホント?」



イリヤは涙目でそう尋ねてきた。



「嘘じゃないよ。何かあった時は俺が助けるから」


「……うん。ありがとう、瞑♪」



イリヤは笑顔でそう言った。その顔は何もかも希望に満ちたような笑顔だった。



「じゃあ、そろそろ帰ろうか」


「うん!」





寮への帰り道、俺達は他愛もない話で盛り上がっていた。



「ねぇ、瞑はどうしてそんなに優しいの?」



ふいにイリヤがそんなことを聞いてきた。



「優しくなんかないさ。俺は……大事な人を守れなかった」


「瞑の大事な人?」


「俺が未熟なばっかりに。そしてその人の行方はわからなくなった……って、何かしけちゃったな。ごめん」



なんでこんなこと話してるんだろ。イリヤがあいつに似てるからかな…。



「私の方こそ…ごめん。ねぇ、私と―――」



ウーーーーーーーー!


イリヤが何か言おうとした時、闇黒魔ダークネスの出現を知らせる警報がなった。



『ミルガフィルの海域500km付近にヒュドラと思しき闇黒魔が出現しました』


「もう来たのかよ」


「……」


「イリヤ?おい、どうした!?」



返事がないイリヤが気になり、そっちの方を見るとイリヤが胸を苦しそうに抑えてうずくまっていた。



「こっちに来ないで!!…大丈夫、大丈夫だから」


「そんな大丈夫にそうには見えないぞ」


「部屋で休めば治ると思うから……。心配しないで。じゃあ、またね♪」



引き止めようとしたがイリヤは俺の手を振り払い、寮へと向かっていった。最後のあの笑顔は無理してる顔だった。何かをかくしているような。


かなり心配だったが、自分の部屋に帰ってしまった以上ついていくわけにもいかないし、大人しくおれも自室に帰ることにした。




部屋に戻ってノートパソコンをつけるとメールが一件来ていた。



「差出人、不明?」



怪しさの塊だな。だが、もし重要なことだったら大変だし。とりあえず、ウイルスの心配はなさそうだからそのメールを読んでみることにした。



『そろそろそちらに向かって闇黒魔が動き出したと思います。そして、その闇黒魔の狙いは闇黒の卵(カオスコクーン)。闇黒の卵はルクシオを餌に成長する。それ故、闇黒の卵が宿ったものは能力を十分に使えない』



そこまで読んで、俺はとんでもない事が思い浮かんでしまった。まさか、イリヤが?そんなことあるわけ無いだろ!……でも、そう考えると全てが合致するというか。いやいや、何を考えてるんだ俺は!!イリヤを信じるんだ。


考えを巡らせた所で再び読みすすめることにした。



『ルクシオで成長した闇黒の卵は何れ宿主の体を乗っ取り、世界を破滅にに導くヴァルキュリアへと変貌する。一刻も早く闇黒の卵の宿主を処分しなければならない。そこで君の出番だ。君にはその宿主の処分を任せたい』



何処の誰かはわからないが俺を信頼して頼ってくれたんだ。できる限りはやろう。


――あの時のような事は2度と繰り返してはいけない。

感想待ってます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ