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聖剣乱舞のヴァルキュリア  作者: 双葉カレン
解かれる記憶
18/20

嵐の前の宴

久しぶりの投稿です。かなり間が空いてしまいすみません。読んでいただけると幸いです

 船でミルガフィルへ帰還中、俺はエレミアが最後に言った事がずっと気になっていた。



『イリヤが人間じゃないってどういう事だよ!?』

『あの娘は元気すぎる』

『それがどうしたんだよ』

『かえって不自然なんだよ。あの娘からは何も感じない。まるで作られたような――』

『作られたってどういう事だよ……』

『……ホムンクルス。お前もその名は聞いた事があるだろう』

『……』

『心あたりでもありそうだな』

『この前イリヤに妙な事を言われたんだ、あの時の約束を覚えてるかって』

『やはりそうか』

『やはりって何だよ』

『お前も先程思い出したと思うが、巨大な狼と化した娘がおったろう』

『……ルリ、か』

『あぁ。イリヤというあの娘からはルリと同じ波動を感じる』

『まさか……!?そんなことあるわけっ……!』

『まぁ、悪魔で私の勘だがな。だが、あの娘には気をつけた方が良いぞ』



 イリヤがホムンクルスでルリと同一人物……。エレミアの話が本当なら、イリヤは……本当に。確かホムンクルスは人工的に作った身体に瀕死の人間の魂を組み込むことで出来上がる。

 その際、魂の中の記憶がホムンクルスに反映されてしまうが……まさかあの時のは、いやそんな訳はない!いやでも……


「暝ーーーーーー!」


 噂をすれば影とはよく言ったものだな。振りかえるとイリヤが手を振りながらこちらに駆け寄ってきていた。


「海なんか眺めてどうしたの?」


「……ちょっと考え事をな」


 こうしてみるとどこから見ても普通の人間だよな。


「暝……その、そんなにじっと見られると、その、恥ずかしいよ」


「え?あ、あぁ悪い!!」


 無意識のうちに俺はイリヤの足の先から頭のてっぺんまでをくまなく見回していたようだ。俺は慌てて視線を水平線の彼方へと移した。


「あの島で何かあったの?あの島を出てから様子が変だよ」


「そ、それは……」


『もうじき到着するから降りる準備をしておけ』


 船内放送で四ノ宮先生の声が聞こえた。どうやらもうミルガフィルの近くまで来たようだ。


「もう着くみたいだな。じゃあ、また後でな」


 俺は四ノ宮先生の放送をその場のしのぎに使った。流石に――お前はホムンクルスなのか?――なんて聴けるわけがない。イリヤ無言のまま俺の背中を見送っていた。



「やはり様子がおかしいですわね」


 その様子を見ていたリーズレイン達が扉の影から出てきた。


「イリヤと話してもあの調子じゃーね。余程のことがあったのかな?出來は何か知らないの?」


 栞枝が出來に問いかける。


「私、ずっと、気を失ってたから……」


「そっかー」


 みんなが瞑を心配してる中、イリヤが唐突に提案した。


「ねぇ、みんなで瞑を元気にしようよ!今日は瞑の誕生日だし!」


「イリヤさんにしてはいいこと言いますわね」


「よし、そうと決まれば早速準備始めますか!」


 ◆


 島で聞いたイリヤのこと。その事がずっと胸に残り続けていた。イリヤとルリが同一人物。あの頃は普通に接していたがルリもあの祠に閉じ込められていたというのは普通ではない。


 色々考えながら寮へと帰ってきた。寮に入るなり突然クラッカーの破裂音がそこらじゅうからなった。


「なんだ?」


「Happy Birthday!」


 エントランスで待ち受けていたのはイリヤを含めたクラスの奴らだった。


「さぁさぁ、早く早く。瞑の席はここだよ」


 状況を理解出来ないまま栞枝に手を引かれ椅子に座らされる。そこで俺はようやく意識がハッキリした。


「一体なんなんだ?」

「自分の誕生日も忘れてしまったのですか?」


 リズが呆れ混じりに溜息をついた。色々あって忘れてたけど


「そっか、俺の誕生日……」

「うん!ってことで、改めて……せーの」


『Happy Birthday!』


 ◇


 賑やかな宴が終わり、俺はベランダで外の空気を吸っている。片付けを手伝おうとしたがみんなに断られてしまった。


「瞑!」


 そうしているとイリヤがベランダに出てきた。


「お前は片付けしなくていいのか?」

「まぁ、なんかね。それより、少しは元気になった?」


 そうか、俺のことを心配して……。


「あぁ、ありがとな。それと心配させてごめん」

「ううん、瞑が元気ないと私も、みんなも元気無くなっちゃうから」


 その時、一瞬イリヤにルリの面影が重なった。ちっとも変わってないじゃないか。


「なぁ、お前ルリなんだろ?」

「やっぱり気づいてたんだ。て言っても私も瞑と会って思い出したんだけどね」

「なぁ、イリヤ。あの後一体何があったんだ?」

「実は……」


 その瞬間、辺りに警戒を知らせるサイレンがなり響いた。そして、四ノ宮先生からの着信が入る。


『緊急招集だ。至急、ミーティングルームに来い』

「なんか只事じゃないみたいだな」

「そうだね。話しは全て終わった時にね」


 俺とイリヤは話を切り上げ、ミーティングルームへ急いだ。

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