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聖剣乱舞のヴァルキュリア  作者: 双葉カレン
解かれる記憶
12/20

救世の絆

キャラ紹介


レスキア・ニーズヘッグ


23歳

143cm

36kg


ミルガフィルの学園長。金髪に白衣という異様な組み合わせ。見た目は小学生っぽいが、中身はおっさん。女性の体などには目がない。様々な秘密をかくしてそうだが、果たして……。



四ノ宮凪早


20歳

165cm

53kg


絶対双刃教室の担任兼最高司令官。美人の類に入る美貌。黒い髪をアップのポニーテールで縛っている。皆の事は呼び捨てで呼んでいる。口調は司令官らしいそれ。女子の憧れだ。

修復工事が進んでいるミルガフィルの地下。奥の扉へと続く廊下をレスキア・ニーズヘッグは1人歩いていた。


周りには誰もいない。いつも一緒にいる秘書も傍にはいなかった。レスキアは奥の扉にたどり着くと暗証番号を入力して中に入る。


レスキアが室内に入ると一人でに明かりがついた。その中は、壁際に高度なコンピュータがずらりと並んでおり、そこかしこに配線が散りばめられている。


そして、部屋の中央には巨大な水の入ったカプセルがたっていた。レスキアはそのカプセルに近づく。



「ついに、この時が来てしまったのだな」



レスキアはカプセルの中で眠っている少女に話し掛ける。少女はカプセルの中で管で繋がれている。いわゆる睡眠状態的な感じだ。



「あの時からもう何年たったのだろうな。ここも随分変わってしまった」



当たり前だが、カプセル内の少女は応答しない。だが、ほんの少しだけ瞼が動いたような気がした。



「約束は必ず果たす」



レスキアは悲しそうな表情でカプセルの中の少女に話しかける。約束が何を指すのかはレスキアとカプセルの中の少女しか知らない。



「もうすぐ全てが終わる。そうすれば、お前も……。……時が満ちたらまた来る。それまで暫しの別れだ」



室内の明かりを全て落とし、その部屋から出た。


 ◆


アルバ島に到着し、荷物を整理し終わった後、とりあえず疲れを癒そうと思い、風呂場に向かった。栞枝にも先に入っていいと言われてるし、お言葉に甘えさせてもりうことにしよう。



「ふぅ、癒されるなぁ〜」



浴場は露天風呂になっており、そこからはかなりの絶景が拝めた。



「たまにはこう、のんびりするのもいいな。」



疲れが一気に抜けていく感覚だ。今は俺一人だし、貸切状態だもんな。……と、思っていたのだが。


ガララララッ


露天風呂と脱衣所を繋ぐ扉が開かれた。誰か来るのか?俺の他には誰もいないはずだが…。



「露天風呂なんて久しぶりですわ」


「私は、本が読めれば、それでいい」


「ここでも本を読みますの?」


「……私も」


「パソコンは大丈夫なのですか?」


「……完全防水」


「そ、そうなのですか」



この声、リズ達か?先入っていいとはいえ、もうちょい時間ずらすべきだったか?いずれにしてもこの状況は非常にまずい!

とりあえず、隠れないと!そう思い、中央にある大きな岩の影に隠れた。


リズ達が、浴槽に入って来る。マジでやばい……。話し声は徐々に近づいて来て、最悪なことに俺が隠れている反対側につきやがった。



「ひぁっ!?ちょっと、侑依さん?何するのですか!?」


「女性同士のお風呂ですることと言ったらこれでしょう」


「何ですか、その決まり!?」


「面白そう。私も、触る」


「やめてください!///」


「…………」


「ちょっ、藍璃さんまで無言で触って来ないでください!/////」


「もう、何やってるのよ」


「あら、こっちもいい感じですね」


「ひぁっ!!ちょ、やめてっ!?」



ヤバイ、かなりまずい事になってきた。これバレたら俺の人生終わりだな。しかも、文字通りの意味になるだろう。


ふと、そんな事を考えてると人の気配が近づいてきた。もしかして、バレたのか?これは覚悟を決めるしかないのか!



「どう、楽しんでる?」


「か、栞枝!?」



近づいてきたのは俺に風呂のことを伝えた栞枝だった。声のした方を咄嗟に向いてしまったが、今の状況を再確認し、慌てて背を向けた。



「大きい声出すと聞こえちゃうよ?」


「お前の仕業か?」


「ご褒美にと思って……」



栞枝は一切、言い訳する気はないようだ。確実に意図的な犯行だ。



「褒美どころか拷問だよ、これ」


「まぁまぁ、そんな照れなくてもいいのに〜」


「て、照れてねーよ……!」


「さっきのやりとり、聞いて興奮してたんでしょ?」



栞枝はさらに俺に近づいてきた。すでに背中に柔らかいものが当たっている。これはわざとなのか?それとも自覚してないのか?まぁ、わざとなのだろう。



「こ、興奮なんてしてねーよ……!」


「ほら、大声出すとバレちゃうよ。じゃあ、これはどういうことなのかな〜?」



栞枝はニヤニヤしながら俺の下半身へと手を伸ばしてくる。これこそ、ガチでヤバイ!どうにかこの状況を脱出できればいいんだが……。


その時、通信機に四ノ宮先生からの呼び出しが入った。どうやら、闇黒魔ダークネスがこちらに向かってきているらしい。


急な呼び出しに思わずその場にたってしまった。



(や、やべ)



俺、死んだな。皆の視線がどんどん冷酷なものに変わって行く。栞枝は「あーあ」と口に出さずに顔で表している。



「白縫瞑、見損ないましたわ!よもや、覗き趣味を持っていようとは最低です!」


「瞑のエッチぃ〜!!」


「んぅ~~///」



皆の一斉の攻撃を喰らい、俺はその場に倒れた。ははっ、俺の人生ジ・エンドだよ。


 ◆


「今回の敵はキリムともう一人、こいつだ」



俺たちは船内のミーティングルームに集まり、四ノ宮先生がスクリーンにキリムとその斜め上に浮遊している人影を映していた。



「あれは、月夜さん!?」


「あぁ」



そう、キリムと一緒に映っていた人影の正体は月夜だったのだ。



「皆には月夜とも戦ってもらう事になるだろう」


「そんな……!」



リズだけでなく、その場の誰もが衝撃を受けた。予想していなかった訳ではない。ただ、想像したくなかったのだ。


皆、月夜とは戦いたくないはずだ。だが、それと同時にこれは好機でもある。月夜を助ける、それはリズとした約束だ。


まだ、救う方法は見いだせてないが、なんとしても月夜を、仲間を救わなければ……!イリヤも月夜も必ずこの手で…。



「まずキリムだが、どうやら海に足場を作って移動してきているようだ」


「海に足場?」


「あぁ。SERAFの情報によるとキリムは無数にある目から放つ光線でそれに当たった物を石化させるそうだ。その力の総称は石化の光線リメイン・カタストロフ



なるほど。その力で海をも石化させて足場を作ってるのか。



石化の光線リメイン・カタストロフの有効範囲は5kmだ。そこでまず、キリムの背後で注意を引く役割が1人、他はこちらに背を向けた瞬間に一斉放火だ」



キリムの死角は背後しかない。だからこの作戦は妥当な所だろう。だが、敵はもう一人いる。



「月夜の相手は白縫、お前に任せる」


「白縫瞑1人に任せるわけには……!わたくしも一緒に!」



リズはなんだかんだ言っても月夜の事を一番大事に思っている。この反応も当然だろう。



「お前には指揮をとってもらう」


「ですが……!」


「心配すんなって。月夜は必ず救うっつったろ?だから、お前はお前の仕事をやれ。こっちは俺に任せろ」



もう誰かを失うのは嫌なんだ。樟葉もあんなんになっちまったし……この件には俺にも非がある。それに純粋に仲間を守りたいんだよな。

リズは暫く沈黙したが、やがて納得したように顔を上げて口を開いた。



「……わかりましたわ。ですが、月夜を救えなかった場合、許しませんわよ!」



月夜を救えなかったらどうなる事か……。これは絶対成功させねーとな。



「後、キリムの注意を引く役だが……」


「はい、私がやります!」



手を挙げたのはリリアだった。その目は真剣そのもの。リリアの覚悟が窺えた。



「私のルクシオは銃ですし、遠距離で攻撃できる方が有利だと思います」


「そうか、皆、異論はないか?」



皆、賛同のようだ。リリアの腕は皆よく知っているはずだ。なぜなら、ヒュドラ戦の時、名も無き領域(ゼロ・グラビティ)を撃ち抜いたのはリリアなのだから。



「よし、それではこれで行く!作戦決行はキリムがこの島の5km圏内に入る2時間後だ。それまで、しっかり準備を整えておけ」



ミーティングが終わり、そのまま解散となった。はずだったが、皆俺の元に寄ってきた。まさか、まだ風呂場でのこと……。まぁ、ハメられたとはいえ、やっぱそう簡単に許してもらえるもんじゃないよな。


そう思っていたのだが、どうやら違うようだ。皆言葉には出さないが何となく分かった。皆、月夜の事が心配なようだ。それもそうだ。月夜は皆の友達なのだから。

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