否認のイレギュラー
キャラ紹介
白縫瞑
性別:男
年齢:16歳
身長:166cm
体重:54kg
武器…アスカロン(剣)
男で唯一のミラ。学園始まって以来のイレギュラー。魔獣殲滅チームに所属していた為実力は抜群。戦いになるとその力を発揮する。
俺は訳もわからずミラ育成施設、ミルガフィルの教官室に連れてこられた。中に入ると黒髪を一つに結わえた女性が机越しに椅子に座っていた。
教官室はそこだけ世界が切り離されたかの様な美しさがあった。
「初めまして、というべきかな?君が男で唯一のミラ、白縫瞑くんだね。ようこそ、ミルガフィルへ」
ミラ、それは生まれながらに特殊な力、ルクシオを使える者のことだ。そしてミラは普通、女子にしか生まれない。そして、男でミラの俺はイレギュラーということになる。
「私は、絶対双刃教室の担任、ミルガフィル司令官の四ノ宮凪早だ。単刀直入に言う、君にはこれからこの学園で生活してもらう」
「それって…ここに、入るってことですか?」
「そういうことだな」
「でも、ここって女子しか入れないんじゃ」
ここ、ミルガフィルはミラの育成所だ。ミラは女子にしか生まれない。だから、ここも女子しか入れないはずだ。
「確かにそうだが、君にはここに入れる資格がある」
いくら俺がミラでも女子校同然のミルガフィルにはいるのはどうなのだろうか。
「今、この世界で起こってることは知っているな」
「はい」
そうこの世界では今、未知の自然災害が起きている。そしてそれが闇黒魔と呼ばれる魔獣だということも。
「そして、闇黒魔は最近なんらかの目的を持ってるかのような動きをしている」
「目的?」
「ここに攻めてくるのもそう遠くないかもしれんな」
四ノ宮先生の話が終わり、渡された制服に着替えた俺は教室まで連れられた。
「噂には聞いてると思うが念のため紹介しよう。白縫瞑だ」
「白縫瞑です。よろしくおねがいします!」
みんなの視線が痛い…。まぁ、そうだよな。ミラとはいえ男の俺がミルガフィルに入るなんて許されないよな…。
「彼は本当にミラなのですか?男のミラなど信じられません」
挙手してそう述べたのは前列に座っている金髪の少女だ。この反応は当然のものだよな・・・。
「その右手にある聖霊刻印が証拠だろ」
「そうですが実際に力を見ないことには納得しかねます!」
「じゃあ、こういうのはどうだろう。この後の実戦訓練で戦うというのは。双刃祭に参加するパートナー選びにもちょうどいいだろう」
「まぁ、それなら…」
いきなり戦うことになってしまった。俺の意思はどこに…。
「模擬戦の前に一応自己紹介してもおう。では、リーズレインから頼む」
先生がそう促すと、渋々と言った感じでさっきの金髪の子が自己紹介を始めた。
「リーズレイン・エルキュールです。あなたなんかに絶対負けませんから!」
もうすでに臨戦モードなんですが・・・。次にいかにもスポーツが得意そうな子が立ち上がった。
「高梨栞枝、僕もまだ認めたわけじゃないから証拠、リズとの勝負できちんとみせてもらうよ。」
リズ?リーズレインのことか?まぁ、一人だけリーズレインっていうのもなんだし俺もリズと呼ばせてもらおうかな。
次は文系の女の子。
「文月出來。男のミラだろうとどうでもいい。強ければそれでいい」
やっぱ強さは大事ってことかな。次に立ち上がったのは冷静そうな子だ。
「この教室のクラス委員長を務めさせていただいている柊月夜です。立場上あなたのことは歓迎していますが皆が納得していないようなので頑張って下さい」
真面目そうな子だな。想像通りの子だったな。次はあのピンク色の髪の子・・・のはずだが一向に立ち上がらない。ずっとヘッドホンをしてノートパソコンをいじっている。
「彼女は姫榁藍璃。機械系が得意なんだ。あの状態の時に話しかけると危ないからちゅういしするようにな」
危ないってどう危ないのだろうか。逆に気になってしまう。とりあえず、気をつけておこう。次は優しそうな子だ。
「美秘侑依です、どうぞよろしくおねがいします」
何人かは歓迎してくれているみたいだな。なんかちょっと嬉しい///。次で最後みたいだな。最後はHRが始まってからずっと俺の事を目を輝かせてみていた白銀の髪の子だ。
「わたしはイリヤ・スリンフォード!私は大歓迎だよ!だってまた友達が増えるもん♪だから、よろしくね瞑♪」
歓迎されてるってこんなに嬉しいもんなんだな。なんか泣けてくる・・・。
「よし、全員終わったな。力はこの後見せてもらうとしてHRはこれにて終了だ」
この後の模擬戦でここでの俺の生活が決まるってわけか。なんとか認められるくらいには頑張んないとな。
その後、模擬戦を行うため、俺達は特になんの変哲もない部屋に連れてこられた。
「新人にどんな感じか教えるため、まずは皆の戦いを見せてもらう。それではまず最初は藍璃、栞枝!」
四ノ宮先生がそういうと藍璃と栞枝が出てきた。二人は中心で向き合うように立ち礼をする。
「開始!!」
四ノ宮先生の合図で二人は互いにルクシオを発動させる。
「ニョルニール!」
「ストライカー!」
藍璃は北欧の雷神トールをイメージさせるような槌、栞枝は3つのギアが回転して威力を上げるタイプのナックルみたいだ。それぞれ武器を構え戦闘に入る。
そこで俺はずっと気になっていたことを四ノ宮先生に尋ねてみた。
「あのー、この空間っていったいなんなんですか?」
「ここか?ここは戦闘訓練の為のシュミレータルーム、簡単に言うと戦闘用の擬似空間施設だ」
「擬似空間?」
「あぁ、だからここで怪我をしても実際にはまったく影響しない」
なるほどな。最近の技術ってすごいんだな。まぁ、ここだけかもしれないけど…。
そうこう話しているうちに藍璃と栞枝の戦いも終盤に迫っていた。お互い相向かって息を切らしながら睨み合っている。おそらく次の一手で最後だろうな。
「うぉーーーーーーー!」
栞枝が地面を強く蹴り藍璃へと突っ込んでいく。一方、藍璃もニョルニールを構えじっと待つ。そして、栞枝が藍璃の懐に入り強烈なストライカーで斬り込む。それに合わせるかのように藍璃もニョルニールを振り下ろす!
ニョルニールとストライカーが互いにぶつかりあい、ものすごい衝撃波が生まれる。まるで空間が震えるみたいだ…。立ってるのがやっとだな。
そんな中、二人は互いに笑みを浮かべている。楽しんでる?まぁ、こんないい戦い見てる方も興奮するよな。だが、互いの武装にはヒビが入っている。
「お互い、そろそろ限界だな」
「そうみたいだね、じゃあ次で決めよっか」
栞枝と藍璃は一旦、ぶつけ合っていた武装を離しもう一度構える。そして、もう一度撃ちだす。今度はお互い力一杯に繰り出した。再び、強烈な衝撃波が巻き起こる。
「うぉーーーー!」
「はぁーーーー!」
お互いにヒビが広がっていく。互角かに思えたが僅かに栞枝の方がヒビが大きい。だが、栞枝は諦めていない様子だ。
「まだまだぁーーー!リミッター解除!」
すると、栞枝のストライカーが開き現れたギアが猛烈回転を始める。その回転スピードは突風を巻き起こすくらい凄かった。
「じゃあ、わたしも!夢幻解放!」
藍璃のニョルニールも姿が変わってゆく。さっきよりサイズが格段に大きくなっている。てか、模擬戦でここまでするかな。
二人の全力がぶつかり合う。強さ的には互角だ。擬似空間とはいえ壊れそうだな。
だが、栞枝のダメージが予想以上に大きかったらしく栞枝の武装はやむなく解除された。
暫く沈黙が訪れる。この戦い、凄すぎだろ…。俺、ホントにここにいていいのかガチで心配になってきたわ。
「あちゃー、まけちゃったか」
「今回もいい勝負だったね」
「次は絶対勝つ!」
「うん♪わたしも精一杯相手するよ」
これがライバルってやつなのかな。…なんかいいな、そういうのって。お互いに高め合うっていうかさ。物凄く憧れるよな。
次は月夜と侑依だ。
「神弓・アルテミス!」
「闇鎌・デスサイズ!」
月夜さ月光のような純白に輝く弓を侑依は黒く禍々しい、死神の名にふさわしいような鎌を出現させる。先生の合図で開始。
月夜の放った矢は正確に侑依の頭上へと降り注ぐ。お互い武器を構えて、月夜が上方に向けて矢を放った。月夜の放った無数の矢は流星のように侑依の頭上へ降り注ぐ。
あれだけの矢を一斉に放つとか、かなりの腕だろう。
「早速来たな、けどそれはもう攻略済みなんだよ!」
防ぎきれないかと思ったがどうやら無用な心配だったようだ。侑依はデスサイズを頭上で回転させて矢を全て弾き返す。
でも、なんか先ほどとキャラが違うような…。これってもしかして、武器持つと性格変わっちゃう感じだったりするのかな。
「次はこっちの番だな!」
侑依はデスサイズを大きく振りかざす。すると、振ったところに巨大な竜巻が発生する。今にも吸い込まれそうなほど強力な風力だ!
「一の矢、電光一閃!」
月夜は矢をめいいっぱい弾き、巨大な竜巻へと解き放つ。一瞬無謀に見えたが要らぬ感想だった。月夜の放った矢は竜巻へと突っ込むと吸い込まれるでもなく、折れるでもなく綺麗に竜巻を打ち消した。
だが、その竜巻の先に侑依はいなかった。
「これで終わりだな!」
侑依は気づかれないように月夜の背後に回り込んでいたようだ。
「えぇ、そうね。もう戦いはおわったわ」
「やけにすんなり引き下がるんだな」
「そうね、もう勝負はついたわ。あなたの負けね」
「何!?」
不意打ちを食らわそうとした侑依の真横に月夜の矢が迫っていた。
「いったい、どういう!?」
「さっき竜巻を打ち消したのとは実は別にもう一本ホーミング式の矢を放っていたの。これで終わりよ」
侑依は不意打ちをしようとした勢いを殺しきれず矢に対応出来なかった。侑依の脇腹に矢が直撃する。デスサイズを落とし、その場に崩れる。
「いい勝負だったわ」
「次はぜってぇ負けねーからな!」
この戦いも壮絶すぎだろ…。模擬戦でここまでやるとか…すごいな、ここ。みんな完全に力を使いこなしてるな。まぁ、あれくらいじゃないと闇黒魔には敵わないしな。実戦に基づいての訓練だからあのくらいやんなきゃ意味ないのかも。
次は出來とイリヤ。
「グリモワール」
「ウンディーネ!」
出來は表紙に魔法陣が描かれた分厚い茶色の魔導書、イリヤは水の妖精が使っていそうな清らかそうな長杖を出現させる。魔道書と長杖か、どちらも魔術系統だな。
「いくよ、出來ちゃん!んーーーーーー!」
イリヤのウンディーネに力が溜まりその目の前にエネルギーの球体ができる。これは結構やるかもな。
だが、そう思ったのも束の間イリヤの創り出したエネルギー体はイリヤの足元に落ちて爆発した。
「うぅ〜///」
「やれやれ」
自滅したイリヤを見ても皆反応が薄い。これってもしかしていつもこんな感じだったりすんのかな。
「えい!」
地面に座ったイリヤにデコピンを食らわす出來。
「いたっ!」
「はい、あたしの勝ち」
「次は成功するもん!」
これまでの2つの戦いに比べてこっちはあっさり決着がついてしまった。でも、こういうのもなんか癒しみたいだよな。
イリヤはなんか放っておけない感じだし。ああいう子がいる方がかえって新鮮だったり。
次は俺とリズか。誠心誠意頑張らせてもらおう。
「あなたの力、しかと見極めさせてもらいます。ゲイ・ボルグ!」
「まぁ、お手柔らかに頼むぜ。アスカロン!」
俺は右手に黄色で縁どられた白く輝く聖剣を出現させる。リズは矛先が3つに別れた蒼色の槍だ。相手にとって不足なし、といったところか。
「それでは、開始!!」