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乙女ゲームのライバルキャラに転生しましたが

折ったはずのフラグが他の人の手によって直されましたが

作者: モナカ

「本当にごめんなさい、私のせいで西園寺さんも怒られて」


私こと西園寺 百恵は生徒たちの声で賑わう廊下を歩いている。そんな私の半歩後ろには先ほどの謝罪を述べた一人の少女が落ち込んだ様子で着いてきている。


「気にしないで、事故みたいなものだし夢見さんは悪くないわ」


今日は私たちが入学する私立桜花高校の入学式の日で、先ほどその式も無事に終わったらしい。らしいというのは、私と夢見さんはとあるアクシデントのせいで式に参加できなかったのだ。どんなアクシデントだったかというと、夢見さんが大量の猫に追われるというアクシデントだ。意味が判らないかもしれないが、そうとしか言えないのだから仕方がない。


私は猫に追われる夢見さんを掴んで校舎の中に非難したのだが、其処から式が行われる体育館に行くには一度外に出る必要があるのだが、外には大量の猫が待ち伏せしている状態なので式に出席することはその時点で諦めた。


因みに、時間になっても連絡も無しに来ない2人の生徒に不審に思った教師が体育館の外を探しに出て、其処で大量発生している猫という異常事態に気づき私たちを発見してくれた。

一応、異常事態ということで私たちは直ぐに保護されたのだが何故が異常事態の発端を担いだとして軽い説教を頂いたのだ、解せぬ。



式は無事に終わり、猫も気づけば何処かに行ってしまったらしく、私たちも体育館から出てくる生徒達に混じり教室に向かっている。


「ほら、何時までも落ち込まないで、先生だって怒るというよりは心配してた感じなんだから」


「うっうっ……西園寺さんって優しいね」


夢見さんは少し落ち込んだ状態から浮上した様で、半歩後ろから私の横に少し早足でやって来た。


「えっと、迷惑掛けちゃったけど、これから仲良くしてくれる?」


「ええ、同じクラスなんだしこれからよろしくね」


少し照れた様に尋ねてくる彼女に私は直ぐに返答する。何だか声に出して友達になりましょう発言は結構照れるものがあるが、私はこのチャンスを逃す訳にはいかないのだ。


そう、夢見 姫子と友人になり彼女の側で彼女のハーレムフラグをへし折る為には!!

何を言っているか分からないって? 簡単に説明すれば、私が夢見 姫子がヒロインの乙女ゲームのライバルキャラに転生して、ヒロイン姫子がハーレムエンドを迎えると色々と多くの人間に不幸が発生するってだけのこと。意味不明? こればかりはお約束だから仕方がない。


意味を理解した人は、私がいちいちヒロインである夢見さんに近づかなければいいと思うかもしれないが、そうもいかない。別にヒロインが攻略キャラの誰とくっついても私自身はどうでもいいのだが、ハーレムエンドだけは避けなくてはいけない理由があるのだ。私には西園寺 遼雅という兄がいる、兄もゲームでは攻略キャラの一人なのだ。別に兄とヒロインがくっつくのは問題無いのだが先ほ言ったようにハーレムエンドだと問題が発生する。


ハーレムエンドは名の如く主人公が攻略キャラ全員とくっつくエンドなのだが、このルートは兄である西園寺 遼雅をはじめとする攻略キャラ等多くの人がが酷い目に合うのだ……どうしてハーレムエンドで攻略キャラたちが酷い目に合うのかと思うだろう。しかしよく考えて欲しい、現実の世界で1人の少女と複数の男の子がくっつくというのは世間的にどうであろうか。

もしこれが全員無名の存在であれば問題にはならないのだろうが、攻略キャラの多くは(兄も含む)スポーツ選手だったり、人気アイドルだったり、大手企業の跡取り息子だったりと世間的にも有名なのだ。有名どころの爛れた関係はすぐにテレビで面白可笑しく取り上げられて彼らは後ろ指を差されてしまうのだ。そして罪を感じた少女は自殺、攻略キャラの多くも後を追うというなんとも薄暗い内容になっている。

さらにゲームの時は攻略キャラ達がメインだった為あやふやだが、攻略キャラの家族にもマスコミの手が伸び世間から笑いものにされていたはずだ。それは避けねばならないし、何より現世で私は兄である遼雅と仲もいいので、出来ればそんなドロドロした人生を歩いて欲しくない。


因みに何時私が転生したことに気付いたかと言えば、結構最近と言うか先ほどと言うか、入学式の為に訪れた高校の門を潜った瞬間だ。急に頭の中に前世の記憶が流れ込んできのだ。前世の私はゲームや漫画が好きなオタクで、この乙女ゲームも前世で散々やり込んでいた。死因は急性アルコール中毒だと思う……お酒を飲みながらゲームをしていたら気分が悪くなってそこから記憶が無い。

22歳のことだった。門を潜ってから前世の自分無いわぁと思うまでおよそ22秒、たったこれだけの秒数で自分の前世を把握したのだ。


まあ、そんな非現実的なショックを受けた私はそれでも爛れた恋愛事情による薄暗い未来を回避すべく直ぐに行動した。


ハーレムエンドを達成するためにはいくつかのポイントがあるのだが、一番最初のポイントがヒロインが校舎裏で猫と戯れるイベントだ。これを回避すれば、ハーレムエンドを回避できるはず。そう思い私は校舎裏に向かったのだが、そこには信じられない光景が広がっていた。

そう、猫が大量にいたのだ。その光景に唖然としているところ、さらに物凄い悲鳴とともに夢見さんがこれまた大量の猫に追われていたのだ。


そこからなんやかんやで冒頭にいたるのだ。因みに夢見さんは猫アレルギーのため猫が嫌いで本来であれば猫と戯れることは有り得ないらしい。


この時点でフラグをへし折ることができるのか不安になってきたが、私と家族の未来のためにも頑張るしかないのだ。


「よろしく、私のことは姫子って呼んでね」


決意に燃える私に気づくこともなく喜ぶ姫子に、私はただ彼女に私のことも名前で呼んでねと決意に気づかれないように微笑んだ。



教室に着いてからも私たちはお喋りをしていたのだが、担任の教師が着たため後でねと言って席に戻っていった。そして始まったホームルームは担任から簡単な高校生活についての説明、そしてクラスメイトの自己紹介と入学した一年生の教室でよく見られる光景が行われた。


そしてついに私が気をつけなくてはいけないイベントが始まろうとしている、それは委員会決めだ。

この学校には学級委員会、風紀委員会、保健委員会、体育委員会、広報委員会、美化委員会、図書委員会が存在している。生徒会も勿論あるが一年生には関係ないので置いておく。

委員会は学校的には絶対に入るものとはしていないが、入った方が内申書にはプラスとなる。また万が一、姫子がどの委員会にも属さなかった場合、ハーレムエンドには直接関わらないが、地味にハーレムエンドのフラグが立ちやすくなるので、姫子には是非委員会に所属してもらいたい。しかし、どの委員会でも良いわけではない。風紀委員会、保健委員会、体育委員会は地雷だ。そして学級委員会これは一番選んではいけない、何故ならこのクラスの男子生徒である明智 慶介という優等生君だけではなく、生徒会や他の委員会に所属する攻略キャラ達とのイベントが強制的に発生してしまうのだ。勿論、私のいるこの世界が全てゲーム通りになるとは限らないが、入学式の日に猫と戯れるというハーレムエンドフラグが発生している以上注意するに越したことがない。

しかし、これについては問題無いはずだ。何故なら既に姫子と私は図書委員会を一緒にやろうと約束しているからだ。


「よし、学級委員が決まった事だし、後は明智と山本で進めてくれ」


担任の言葉で私は視線を黒板の方に移す。其処には学級委員会の所にやはり明智と書かれていた。ゲーム通りである。もう一人の山本さんというのは私と同じライバルキャラでヒロイン姫子が明智を攻略する時にネチネチと嫌がらせをしてくるのだ。因みにヒロインが学級委員会を選択しなかった場合に山本さんが学級委員になるのもゲーム通りである。


学級委員がゲーム通りに決まるという事態に不安を覚えながらも私と姫子は無事に図書委員会になることができたので、なんとか大きなフラグはへし折ることができたのだと、ホッとした……時もありました。


「早速だが図書委員会は今日の放課後仕事がある。あー……重いものを運ぶから女子だけじゃキツイだろう、明智悪いが学級委員として、男として手伝ってやってくれ」


「わかりました」


そんな会話を聞くまでは……折ったはずのフラグが何故だか再び発生するのはありなのか?

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