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グラウンドに散った漢の夢

初投稿です。語彙力全くないですけど、読んでいただければ幸いです!みなさんからアドバイス、指摘などございましたら教えて欲しいです!不定期にはなりますが頑張ります!

よろしくお願いします!

「今のプレーについて鈴谷さん、どう思いますか?」

試合は終盤7回表、ホームである神戸マリナーズが1点リード。京阪カブスの先頭バッターがツーベースを放ち入社3年目という若手の実況は、マリナーズの前身球団である関西パドレスのOBである鈴谷佳郎(すずたによしろう)に、ここぞとばかりに話を振ってくる。スローモーションのビデオにあわせて、鈴谷は淡々と語り始める。

「さっきの打席で大隅は高めのストレートを打ってますよね。それでも今日の黒澤は走ってますし、チェンジアップで逃げてしまうと、それは狙われますよ。」

解説者として同席しているカブスのOBで、大先輩の勝枝が大きく頷く。鈴谷が解説を初めて3年が経つが、最近周りの共感を得られるようになってきたと鈴谷は実感する。

「次の福森も調子が良いですからね〜ここも絶対逃げたらだめですよ〜」勝枝が少し軽い口調で言葉を挟む。

アウェーであるが、本拠地も近いこともあってか、人気球団のカブスの熱狂的なファンの大声援が神戸サンライズフィールドを包む。弱小のマリナーズにはこの時期全くの無関係だが、センターリーグ2位を走るカブスにとってはプレーオフに進むことができるワイルドカードの一枠をかけて、一試合も落とせない状況なのだ。ファンの大声援は一球一球ごとに大きくなり、ベンチも熱くなる。

カブスの勝利への執念はマリナーズを圧倒した。これが強いチームだと言わんばかりに。

ファンにも、選手にも、監督にも。

今のマリナーズに足りないのは、この部分なのかもしれない。いや、きっとそうだろう。

鈴谷がふと考えた瞬間、打球は夜空へと舞い上がり、ファンの待つスタンドへと消えた。

そして気づけば空には、色とりどりのジェット風船がカブスファンによって飛ばされていた。7対2、結果的にはマリナーズの完敗だ。

そしてその頃時同じくして、ノウスリーグの那覇ブルージェイズがリーグ優勝を決めた。

ブルージェイズは今から10年前に結成された新しい球団で、同時に岡山、松山、浜松にも新球団が誕生し、プロ野球はこのシーズンから地区制の3リーグ15球団というメジャーリーグのような形をとっている。当初は戦力均衡やレベルの低下などの問題点が浮き彫りになったが、10年間でこの4球団が全てプレーオフに進出できるまでのチームに成長した。

地域密着という点でもこの''球界再編''は功を奏したのだが、全ては神戸マリナーズの前身球団である関西パドレスと大阪マリナーズの合併問題から始まったのである。

世間には大きな衝撃が走った。当時のパドレスは、鈴谷をはじめとするスター選手が多く在籍するチームで、かたやマリナーズも在阪球団として人気を博していたチームだったからである。この事件を受けてプロ野球側は11球団での1リーグ制での方針を固めていたのだが、これに対し選手会が猛反発。とにかく世間へ訴えかけたのは、''合併反対''の意思だった。そして当時の選手会会長が、誰であろうこの鈴谷なのである。すでにこの時39歳。故障の影響もあり合併の話が出た時は二軍暮らしだった。

引退、この二文字が、脳裏から離れない。

俺はもう終わりなのだろうか?

このまま終わっても後悔しないのだろうか?

鈴谷の脳内には、そんな考えが渦巻くようになっていた。そして遂に、合併問題の渦中のなか、選手会長鈴谷は引退会見を開く。

「本当に仲間に恵まれ、最高のプロ野球人生でした。悔いはありません!」

悔いはない。今でも鈴谷は、この言葉が自分の口から出たことが信じられない。

迷いに迷って下した苦渋の決断じゃないのか?嘘をついて球界から逃げるつもりなのか?

心が晴れることなく、鈴谷は引退試合を迎えた。一軍がパ・リーグの優勝争いをしていた為、二軍戦でのラストゲームになってしまった。それでも最後の勇姿を見ようと多くのファンが駆けつけ、声援を送る。そしてふと目に飛び込んだ横断幕…。そこには、

【夢をありがとう鈴谷 感動をありがとうパドレス】……。そうか、このチームは、なくなってしまうのか……。その瞬間、涙が溢れた。応援してくれている人たちは、バラバラになってしまうのか……!

何もできやしなかった。チームの為にも、そして自分の為にも。鈴谷は、自分の無力さをとにかく悔やんだ。世間から見れば、球界再編から逃げる為に、引退したと捉えられる。

それでもこのチーム、自分には応援してくれるファンがいるじゃないか…………!!!

振り切った。全ての力を込めて。そして現役最後のフルスイングは、レフトスタンドのファンのもとへ。複雑な感情を押し切って、ダイヤモンドをゆっくりと、踏みしめるようにまわる。野球の素晴らしさにもう一度出会えた瞬間だった。

「絶対に、このユニフォームを、もう一度着るために、ここに帰ってきます!」

力強い言葉で、鈴谷はセレモニーを締めくくったのだった。

そして今、合併こそしてしまったもののもう一度神戸のフィールドに、鈴谷が帰ってくる。

話がごちゃごちゃですよね……。段々改善していけたらと思います。

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