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月光

作者: 篠崎

うぬぼれるな、人間。



外は既に闇

がたんことんと電車は進み

月明かりが大地を照らすとか 嘘

なんて

そう思えるくらいに

街の灯りはさまざまにきらきら とても素敵で

ぽうっと浮かぶオフィスのケイコウ灯の光の箱や

数え切れないほどの車が輝かせるダイヤモンドを

うっとりガラス窓から眺めていた

そんなとき



わたしはそのガラス窓に 幻をみたのだ





うぬぼれるな、人間。



それはひとのかたちをしていたがひとではなく

眼光はさながら満月の放つ冷たい銀色のよう

街の灯りに恍惚としていたわたしを

容赦なく睨み返していた



見ろ お前の眼前に広がるその光景を

闇に沈んだこの世界を見ろ

そして自らに問え

陽光が照らし浮き彫らせた姿こそが 真実なのかどうか


見ろ

お前たちの作り物の明かりで照らされたこの世界は

こんなにも作り物だらけだ


その眼の届く限りに見渡した

この光景の遥かその先に

さらに同じ光景が果てしなく続いていると

お前は本当に知っているのか


同じ光景が続いている

その意味を

お前は本当に理解しているのか





まがいものの明かりに照らされた

模造品のような灰色の箱が立ち並ぶばかりの

異様な光景


電車の中で

ケイコウ灯に照らされた闇塗りのガラス窓には

わたしの姿がうつっていた


わたしはいっしゅん まぼろしをみたのだ




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