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Samhainに踊る魔女
《Samhainに踊る魔女》
妖しき意図の手招く宵に
根刮ぎ堕ちた魔術師の宴
枯れた大樹にランプを掛けて
帽子の尖りも お気に召す儘
Dum fata sinunt vivite laeti.
――汝らは喜ばしい状態で生きなさい、
運命が許す間は。
虹色幻想 廻せ 言の葉
夢見る柩に 深紅の薔薇を
逆さ十字を ぶら下げて
月夜を流離う殉教者の陰
永遠なる闇の住処より
密やかに集い 彼等の火を嘲笑う
鈍色回想 押し込めた虚
死霊も踊り 跋扈する宵
甘い夜露の香り 振り撒き
散らす星の銀鎖が奏でる 冷淡な旋律
漆黒ドレスの裾を引き摺り
妙なる声音が紡ぐ魔法
灰色狂想 枯れた大地に妖しく舞えば
捻れた杖も凩を真似て歌い出す
真白に染む原 迫る 暗闇の季節に
迷い込んだ 夢見る羊
煮える大釜 中身は秘密
苦し妙薬 一口召しませ 仮面は捨てて
効果の程は
目覚めた後に――
Sit tibi terra levis.
――汝にとって、土が軽くありますように。
※Samhain=ハロウィンの元になった、ケルトの収穫感謝祭。
参考サイト
『Wikipedia』
『山下太郎のラテン語入門⇒格言集』