銀の森に憩う月

導きの翼―Valkyria

《導きの翼―Valkyria》

声が聴こえる 私を呼ぶ声

陽射しの縫う雲間から

或いは 深い宵闇の最奥から

漂う此の身を委ねよと

また始まりの場所に還れと

声が聴こえる

温かくも冷たくもなく

けれど確かに識っている声

記憶の何処か 魂の何処かに

懐かしい響で 刻まれている音色

戦い疲れた者達に

どれだけの赦しが与えられるのか

記憶の片隅に残る 白い翼は

何処へと導いてくれるのか

戦場に降りた戦乙女

美しき使者はしかし

更なる戦いへと

兵(ツワモノ)達を誘(イザナ)う

声が聴こえる

終焉を告げるものじゃない

終り無き戦火へと引き寄せる声

神々の黄昏まで――