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Agitator
《Agitator》
灰になった記憶
掘り返しても後の祭
憤る炎の流れに一度
命までも委ねたなら
Agitatorの舌鋒の虜
全てを呑み込み 唯一の私は
絶対の存在として在り続ける
思考回路を遮断する
感情操作の巧みな罠
月が割れれば世界の終り
雨が降らねば罪無き地獄
紅蓮の炎がその手を伸ばす
そして絶望に砕かれた瓦礫の頂に
舌先三寸の名も無き神が降臨する
無下に散った生き様に
手向けの花も煤色化粧
歴史の警告も顧みずに
語らう夢が怒りへと変わる
時流の追風にまた煽られて
猛威を振るう紅きうねりに
弱者は只々 呑まれるばかり
灰の中に埋もれた警笛の音を
掬い取る手は現れるでしょうか――
その清らかな手もまた
新たな煽動者に成り果てるとしても