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夢瓦礫の塔
《夢瓦礫の塔》
揺蕩う淡い夢色空論
虚実の内に陥る思想
振り向く問に潜む罠
風の音頼りに紡ぐ解
半透明の壁の向こうは
巧みな感情に満ち溢れ
陽溜まりの傍に蟠る影
高貴な黒と冷たい廃色
そよめく花の森に遺る
歪な轍に錆びた戦場痕
真綿の羽で飛ぶ空は
瓦礫の塔に阻まれる
振り向く影に微笑む灯火
野薔薇の門に鳥は憩わず
壊れた夢の残骸達が
再生の時を待つ場所
揺蕩い迷える夢色時空
来訪者は束の間の旅へ
落ちた思想より生まれた羽で
瓦礫の塔へと夢追い飛び立つ