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風音とサイレン
《風音とサイレン》
空に響く風音とサイレン
窓際の境界を越える鳥よ
夕暮れの雨に煌めいた街
薄闇に煙る濃い緑の匂い
不機嫌な神様の手の中に
光る魂持って飛び込もう
加減一つで変わる気分に
前向きな理由を点火して
祭囃子と陽射しの名残
遠い雷鳴が脳を揺らす
流れる水の映す一時に
過ぎる星の光を見送り
儚い夏の境界を越える
古よりの音が聴こえる
塗り固めた灰色の路上で
消え行く花火の残光追う
長く飛べぬ蝶は野に涼み
響くは蛙と虫の混鳴合唱
空に響く風音とサイレン
次元の境界を越える時よ
過去と現在が融け合う街
薄闇に煙るは真夏の匂い