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人魚の歌う夜
《人魚の歌う夜》
星の映る海を行く
人魚の歌う惑わしの夜
嵐の後の虹を追い掛け
月の雫を飲み干しましょう
馳せる心を生んだ宇宙に
あらゆる言葉の祈りが降るの
曇る瞳を見開いたなら
謎に満ちた時空を飛ぶのよ
何を信じるも自由だし
疑念は知恵を育むでしょう
有限を受け入れたなら
命に潜む魔法を導き出すの
漂う意識は行く先を知りながら
あらゆる感情に翻弄される
霧深い海域に迷い込んだなら
狡猾な人魚の歌が聴こえるわ
星の眠る夜を行く
冷たい宵闇に火を得た様に
不完全な宇宙の投げる試練から
望む儘に航路を見出だすのよ
雲間の月が照すのは
ほんの世界の片鱗だけ
動けない時は思い出して
その命にも潜む無限の魔法を