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呪縛の風炎
《呪縛の風炎》
触れる風を纏いし音色に
眠る記憶を呼び覚ます歌
遥か千の泡沫の間を駆け
落ちた雫の数だけ得た命
照す陽光の裡へと伸ばす
氷解を待つ 凍てつく両手
山頂を懐くは白雲と蒼天
熱く暗い心にも灯る微光
吐息が象る想いを繋いだ
重い枷を引き摺り 刃向かう脚
閉ざす瞳の奥に甦る炎は
古き栄光の名残を嘯いて
忘却を詰り突き刺す剣よ
億の宵の帳を縫い 堕ちる
罪無き大地に生まれし者に
新たな罪科を着せるなかれ
嘗て愛した全てを捨て去り
此の身を統べる者は我のみ
幾度であろうと 私は甦ろう
暗き孤独に熱き炎を灯して
授かりし呪われた枷を引き摺り
終り無き記憶の風に 喚ばれる儘に