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砂の国の物語
《砂の国の物語》
藍の空を見送り
白く欠ける月が流離う
砂塵舞う最中の邂逅
陽は完全な姿で昇り
広く語るは小さき世界
二柱の女神が向き合う
稀有なる地が育む誇り
忘れ去られた片割れよ
裾引く風は嵐と為りて
全てを砂の色に染める
香炉に焚く神秘の馨りに
予兆を告げる漆黒の双眸
廻る天球の許に翻る
興亡を物語る旗
麗しの女王の嘆きと
変革を齎す剣
嘗ての栄光を血に刻み
その名を誇る者は立つ
掲げし旗は砂に塗れど
女神に愛されし気概は 尽きず
過ぎし夜を顧みず
熱き血潮は運命に抗う
砂吹く大地に見える時よ
その結末は 女神も知らず