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沈思の海
《沈思の海》
沈思の海
出鱈目な管楽器の行進曲と
切れそうな弦の奏でる舞曲
彼方で日々紡がれる祈りと
陽と月の廻る世界で 螺旋を描く命
頭痛の先の光明を追えば
疲労の鳥はその翼を傾ぎ
安易な声を頼りに惑いて
落ちた地上が試練の楽園
実る果実を啄んで
毒に蝕まれるならそれ迄
清らかな水を湛える湖畔には
渇きを抱いた敵も多く集まるわ
沈思の海
か弱い羽撃きと獣の咆哮
優雅に咲く大輪の薔薇も
枯れて散る定めの内の華
波打つ思考の螺旋の上に
淡い唇が紡ぎ出す苦難の旅路
豪奢な業なる祈りの場所に
神は赦しの声を降らせたもうのか
風に吹かれるだけの緑野にも
小さき命達は世界を築く
何も無くとも 掌から生み出す音色で
壮大なOrchestraを奏でましょう
沈む思考の深海の闇に
その渦に呑まれる前に