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霧深き朝
《霧深き朝》
揺らぐ葉は 朝露を零し
視界を塞ぐ 白濁の濃霧
見失う背 降る銀の羽根
もう何処にも 居ないの?
自由な翼 孤独が生涯の友
それでも只 待っている
それは永劫の夢か 幻想
夜には 月明かりに問う
未だ何も 見えない明日を
貴方は幼い私を置いて
永遠の宇宙へと融けていった
無知な私は飛び続けて
只 孤独なだけの世に触れた
綺麗なものは 沢山在って
でも貴方以上に
綺麗なものなど存在しなくて
今日も独りぼっちの翼は飛ぶ
朝の霧に 紛れる様に
探し疲れたら 眠るから
私を見付けても 起こさないで
揺らぐ葉が 朝露を零す
空の巣にはもう 何も居ない