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廻る命
《廻る命》
乾いた大地に 種を蒔く
僅かな望みと 諦めを負い
灼け付く陽の 奪い去った物は数知れず
同じだけ 与えて来た物も在るのだろう
雨乞いのシャーマン
風と雲を呼ぶべく 歌を
陽が暮れれば只 祈り
夜明けと共に 土を掘る
乾いた赤土 舞う 砂塵
涸れ井戸の 錆びた鎖が鳴る
…風の到来
種を蒔きましょう
…鮮烈たる蒼空の その色は褪せ
一本でも多くの苗を
…眩い太陽は隠れ
一つでも多くの命を
…黒い雲が天を覆う
まだ此の地へと繋ぐ為に
…一雫の雨が 染み渡る
降り注ぐ雨
大地にも 人にも
それが只 一時の歓喜に過ぎなくとも
刹那の恵みに 甦る力にて
土を割り 芽吹く緑
光を浴び また廻る命
それは遥かな昔より
此の地にて 繰り返されて来た
雨の齎す 命の廻り
人と大地の 物語