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祈る声
《祈る声》
風待つ鳥 木の葉を屋根に
見下ろす 地図にも無い都
陽を浴び 御名を唱える娘
静謐なる 曇りの無い瞳
羽根帽子を飄々と揺らし
吟遊詩人の語らう曰く
涼やかな風は彼の人も抱き
広き世界へと導き 招いた
始まりは何も無い場所から
そして完全と成る事も無い
未完成なその器に
溢れんばかりの 祈りと 許しを
溢れんばかりの 生命の光を
世に迷う 旅人は束の間 緑野に憩い
吹く風に 鳥は再び翼を広げる
祈る声は 共に何処までも
遍く世には 届かなくとも