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白銀の羽
《白銀の羽》
天を割る雲の間
乾涸らびた樹の家に落ちた
白銀の陽 真似る天使
降りる歌
咲けた声は口を噤み
また独り還る
花の額縁 描く空は
時代の色に褪せて
手を振るのは 月を追う精霊
軽やかに躍る 透き通る脚
闇がそっと時を返す
旅を終えた星の光へ
朽ちた壁の隙間から
静かに見つめる 小さな瞳
隠れた心 密やかに笑う
錆びた腕環 微かに鳴らして
夜の帳に消えた街は
風化と共に 記憶も薄れ
来訪者を待つ夢に微睡む
永い眠りを 終える迄
主無き庭に 音を齎す風
欠け落ちた窓の道を通り
揺れる扉に鍵を掛けて
また何処かへと消える
天の告げる変遷
忘れ去られた 家にも降りた
白銀の羽 陽を抱く天使
響かせる歌