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月の温度
《月の温度》
ふわり舞う
音も無い微風の中
散り花の儚さと 気高さに
仄かな月の温度を借りて
時を帯びる石畳に降る
安らかなる光に映える
可憐なる白の甘い馨りを
噎せる程に焚き染めたなら
地の掟に従い眠る
長い長い夢へと惹かれ
月の温度と共に薄れ行く
僅かな記憶を抱きながら
強き志と共に 私は
確かに此の 時に在った
ふわり舞う
風の戯れに報いる有終
散り花の淡い化粧と
安らかなる夜に全てを委ね
共鏡に視る虚像の内にも
優美なる誇りは色褪せず
そして私は
冷たい月に為る――
詩篇に込めた、
幻想と感情の紡ぐ
百の物語。
ご閲覧頂き、
有難うございました。