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E p i s o d e . 1

この世界は、今日も君がいない事などどうでもいいと言うように、いつもと変わらず動き出す。


テレビを付ければ、世間は政治家がどうとか、殺人犯がなんだとか、また同じようなことを言う。


つまらない。同じ日常の繰り返しだ。起きて、学校に行って、帰って、寝る。毎日毎日何も変わらない。


いいや、違う。確実に変わっていた。変わっていたのに。つまらないと感じるのは、きっと君を失ったから。


あの日、あの時君と見た夕日も、君のくれた感情も、どこに置いていけばいいのか僕にはまだ、わからない。


君が死んだあの日から、僕はまた"ミヤ"になった。


 2023年4月07日 天気 晴れ


学校に行くと、校舎は一気に入学ムード。

ああそうか。今日は入学式だった。


そして僕は今日から、高校2年生になるんだ。


校舎はでかでかと、進級おめでとう!だなんて書かれている。入学ならともかく、進級なんて何もおめでたくない。


教室には見知らぬ顔もいくつかある。そりゃ、クラス替えをしているから当たり前ではあるのだけれど。自分の席を探して、荷物を置く。前の席にはどこかですれ違ったことあるだろう。くらいの見るからに陽キャな男がこちらを見ていた。


「ども!俺、丸山晴哉って言います!」

「どうも。はじめまして。えっと、宮野光輝です。」

「よろしく!!なんかミーヤキャットに似てるな!じゃあ、ミヤ!」

ああ。またか。ここでも僕は名前で呼んでは貰えないだろう。

どの世代でも、あだ名というものが存在するだろうが、僕は小、中、高、ましてや親にまで"ミヤ"というあだ名で呼ばれる。光輝、と人生のうちで呼ばれたのは卒業式でフルネームを呼んでもらうあの瞬間だけだっただろう。名前のインパクトが薄いのか、はたまた僕の顔がそんなにミーヤキャットに似ているのか。

多分その両方だろう。光輝なんてありふれた名前、覚えてすら貰えていないのではないか。

ミヤというあだ名は、嫌というけではない。ここまで来るともう慣れてすらいる。ただ、そこまで名前で呼ばれないと、自分が光輝であることを認められていない気もしてくる。僕は「宮野ミヤ」なのではないかとすら思える。


呼んで欲しいと願ったことはないけど。自分の顔を少しは恨むよ。


どうやら新しいクラスは皆ピリピリした空気はなく、和やかに見えた。僕は見るからに話すのが苦手だというオーラが出ているようで、丸山さん以外に話しかけられることは無かったが、逆に言えば、ミヤという名前だけが皆の記憶に刻まれただろう。

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