財団からの通知書
【本文】 【発見場所】 玄戸商会 賃貸管理部 重要書類保管庫(未処理トレイ) 【発見日時】 令和六年六月一日(佐川千里入居の一ヶ月後)
【資料概要】 茶封筒に入った一枚の書面。消印はなく、直接郵便受けに投函されたものと思われる。 封筒の裏面には差出人として「一般財団法人 昏ヶ淵文化保存会」というゴム印が押されているが、そのような法人は登記上確認できない。 宛先は「玄戸商会 代表取締役殿」となっている。
【書面内容】
冠省
貴社におかれましては、当会の管理区域である「昏ヶ淵町三丁目一二番地(黯哭館)」の維持管理にご尽力いただき、感謝申し上げます。
さて、先日ご報告いただきました二〇二号室の新規入居契約(借主:佐川千里氏)の件につきまして、当会理事会より懸念の声が上がっております。 先の合意事項に基づき、当該建物の二階部分は「緩衝地帯」としての役割を維持する必要がございます。 特に二〇三号室に隣接する区画への居住者の配置は、”境界”への不必要な刺激となる恐れがあり、推奨いたしかねます。
過去の事例(平成二十八年、令和二年の件)を鑑みても、居住者が長期にわたり健全な生活を営むことは困難であると推測されます。 貴社におかれましては、契約期間中における借主の動向を注視するとともに、二〇三号室への干渉(物理的接触、騒音、不法侵入等)がなきよう、厳重な監視をお願い申し上げます。
なお、例の「振込」については、従来通り今月十五日に実行いたします。 引き続き、静謐なる維持をお願い申し上げます。
草々
令和六年五月十日 昏ヶ淵文化保存会 理事長代行 [印影は掠れており判読不能だが、古篆書体のような複雑な印が押されている]
【事務員による付箋メモ】 「社長、またこの団体から手紙が入っていました。 これ、本当に無視していいんですか? 黒田さんには伝えましたが、『家賃が入るなら問題ない』と言っています」
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