第九夜 元魔王、労働力を見つける。
「うわぁ、中もすごく綺麗ですね!」
「うむ、今回は内装にもこだわってみた」
塔は全長21メートルの7階建てにして、内装は2日前までいた街を意識して作ったので、荘厳華麗に作った。
1階から2階は、スカルナイトや、ワーウルフなどを置いて侵入者を撃退できるようにしており、生活フロアは3階からにしてある。
各フロアの広さは1階が150坪ほどで、2階が100坪という具合に上にいけば行くほど建物的には小さく見えてはいるが、建物の内部には拡張魔法を施しているため、広さ的には1階や2階とさほど変わらない程度には広い。
「さすが魔王様、これなら襲撃されても大丈夫そうですね」
「ああそこら辺は抜かりなくやっている、ヤマトよ村までは後どのくらいで着くんだ?」
「歩いて30分ほどのところにあります、この塔を拠点にしてこれから探索していくのもありです」
「なるほどわかった、そうしよう」
ここを拠点にするのか、そうなると当分の間の食料を賄う必要があるな、よし農地も作るか。
そうなると近くの川から水を引かないとな。
うーん労働力が欲しいな、でもゴブリンを呼ぶわけにもいかないし。
そうだ明日行く村の何人かを服従の魔法を使ってここへ連れてこよう。
そうすれば農地や水源が作れる。
「うわぁ、美味しそうです!!こんなに凄い料理ははじめてみました」
そう言ってエリーは目の前のローストビーフを口いっぱいに頬張った。
6階には食堂と大浴場作っており、食堂にはスカルナイトのシェフが4体いて、パスタやピザ、ローストビーフなどこちらの希望する料理を基本的になんでも作ってくれる。
大浴場も女湯と男湯、両方完備しており明日から迎入れる予定の人間の労働者を入れても問題なく使えるスペースを作っている。
4階には修練場も作ったしそこでエリーを鍛えていこう。
5階はフリースペースでまだ用途を決めていない、おそらく村から連れて来た人達を収容するのに使うだろう。
「美味しそうでなにより、食べ終わったら大浴場も使ってくれ」
「はい!!」
最上階である7階は、俺とヤマト、エリーの居住スペースにしている。
さぁ、今日は大いに体を癒して明日備えよう。
翌朝、俺とヤマトは村へ向かいエリーはお留守番となった。
一応強い侵入者に備えて、エリーには鉄拳武人と海の魔女というレベル450ほどの魔神族2人を付けている。
まぁそもそも人でレベルが200超えてる奴って少ないし、大丈夫だろ。
「それで魔王様、今回の作戦はどのように?」
「ああ、今回はまずは村の様子を伺う、もしも何人か連れて行けそうなら連れていくが無理はしない、村人に警戒されては今後に響くからな」
「かしこまりました、私は村に着いたら情報収集も兼ねて村長に会いに行きますね」
「うむ、頼むぞ」
ヤマトマジで優秀だな。
レベルもなんか400になってたしちゃんと修練もしているようだ。
あとさっきヤマトのステータスを見たら、種族が人族から半魔人族になってたな。
やはり俺のレベルアップを使うと種族に魔属性が加わってしまうようだ。
使用はやはり慎重に行おう。
「着きました、ここが村です」
「おー、なかなかやばいな」
俺とヤマトは村に着いた。
しかし、ここへ来る途中に立ち寄ったロンドウェルリックの街に比べると、雑草と花束を程の差を感じる。
半壊した家が多いし、牛舎のようなところで暮らしている人もいる。
歩いている人々の服装も穴が開いていたり、色々ボロボロだ。
うーん、これは想定以上だな。
「じゃあ私は村長を探してきますね」
「おう、任せたぞ」
そう言ってヤマトは俺と別れ、この村の村長を探しに行った。
「あのぉ貴方様はもしや旅びとですか?」
「ええまぁ」
ヤマトと別れ、村の前で立っていると1人の若い男が話しかけてきた。
やはり着ている服はボロく、体型も痩せている。
まともに飯を食えているのか怪しいな。
「すみませんねぇ、この村には宿も無くて」
そう言って男は頭を下げてきた。
ここの村人達を"人の上に立つ者の眼"で、見てみたが得意業務が農地開拓と書いてあった。
つまり俺の探している労働への適性が強い。
よし決めたぞここの村を俺は統治しよう、そして村人を俺の塔へと引き込もう。