第七夜 元魔王、勇者の先生になる。
エアバーストで飛んでいくミヤ先生を、俺と木剣三人衆、女の子、ヤマトは黙ってみていた。
久しぶりに使ったが、ちゃんと飛んでったな。
良かった出力落ちてなくて。
「ま、ダニエル様、これからどうするのですか」
「どうしようか、とりあえずこの木剣三人衆はいらないし、記憶消して学校に戻すか」
「そうですね」
そう言って俺はスキル、記憶整理を発動した。
これは触れた対象者の記憶を自分の都合の良いように整理するスキルである。
これを使って木剣三人衆には今見たことを忘れ、代わりにミヤ先生が豹変して子供達を襲おうとして俺達が助けに来たという記憶を植え付ける。
「よしお前ら手を出せ」
「え、手ですか」
そう言って3人は俺の前に右手を差し出した。
余談だが俺の今の言葉にはスキル言霊を混ぜており、自分よりレベルが500低い相手は俺の言葉に逆らえないというものだ。
本来このスキルは子供に使うものではないのだが、俺は子供であろうと容赦はしない。
そうして俺は3人の手を握った。
「よぉしお前ら今見たことは忘れ学校に戻れ、戻ったらミヤ先生が暴れて自分達を攻撃したところを、ダニエルとヤマトが助けたと伝えなさい」
「はい、わかりました」
三人衆は俺の言葉を聞き学校に戻っていった。
これでとりあえずは大丈夫だろう。
「あ、あのぉ、私はどうすれば」
あ、そうだ忘れてたこの子がいたな。
さっきは勢いで俺が育てるとか言っちゃったけど、どうするか?
と、とりあえず名前を聞くか。
「あ、えーと、君はなんて名前なんだ?」
「私ですか、私の名前はエリーです」
「そうかエリーか、エリーはこれからどうしたい?」
「ねぇ、一つ聞いてもいいですか?」
「なんだね?」
「ダニエルさんは魔王なの?」
しまった……さっきヤマトが呼んでいたのを聞いていたのか。
私が魔王だとバレた今、この子を無傷で返すわけにも行かなくなった。
さっきのように記憶を操作するか、それともさっきの2人同様に、彼方まで飛んでってもらうか。
まぁでも育てるって言っちゃったしな。
「ああそうだ、元だけどな」
「凄いです私の先生!」
エリーは嬉しそうにそう言った。
ほう、それも聞こえていたのか。
困ったなそんなに嬉しそうにされてはさっきのは嘘だったと言いづらいな。
ここはいっそのこと、本当に弟子として引き取ってしまおうか。
うんそれしかないな。
「はは、そうか嬉しいかエリーよ、ならばこれから共に行こうか」
「はい!先生」
「ちょっ、いいんですか魔王様」
「構わん!時には冒険も覇道のうちだよ」
そうしてエリーが正式に仲間になりました。