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第三夜 元魔王、ゴブリンの国を作る。



 瞬間移動を使い、俺とヤマトはさっきの村へと戻った。

 ただ俺とヤマトが仲良くやっていると変な噂が立ちそうなので、今回は村の端っこに瞬間移動をした。


 「では魔王様、私は勇者協会のあるフルエルという街へ向かいますね」

 「おう、またなんかあったら連絡するわ」

 「了解です」


 そうして俺とヤマトは別れた。

 成り行きとは言え勇者陣営に部下ができてしまった、辺境の地で家作りをするのも悪くないかもな。

 ただ、困ったことが一つある。

 それは一緒に働いているゴブリン達が非力すぎる事だ。

 現状、俺が一人で持ち運ぶ量の木材をゴブリン5人で運んでいる。

 これでは効率が悪い。

 仕方ない何体かアイツを出すか。


 「召喚魔法発動、いでよミノタウロス」


 俺は難度Sの召喚魔法を発動し、昔よく召喚していたミノタウロスを30体ほど呼び出した。

 召喚魔法は、込めた魔力によって様々な魔族を呼び出す事だできる魔法だ。

 この魔法の凄いところは、もう絶滅してしまった過去の強い魔族達も呼び寄せられる点にある。

 千年前の時点で、ミノタウロス族は絶滅してしまっていた。

 もしかすると今の奴らからしてみれば、おそらくミノタウロスは神話級の生き物かもしれんな。


 「な、なんだこのでけぇバケモン軍団は」

 「あ、おやっさん!」


 ミノタウロスを召喚したタイミングで、現在の俺の上司である、大工のゴブリンの棟梁であるおやっさんがやってきた。


 「ハデスおめぇ、姿が見えねぇと思ったらそんな奴らを引き連れに行ってたのか」

 「はいおやっさん、これで作業が進みますよ」

 「それはありがてぇな」


 そうして2ヶ月ほど経ち、俺はミノタウロスを使ってゴブリンの村に家だけでなく、舗装された道や水道も作った。

 作業をしていて気が付いたが、ゴブリンは非力だが手先が器用で、ものを運ぶのは向いていないが作るのは得意なようで、資材さえあればどんどん色んなものを作っていた。

 これは使えるかもな。


 「いやぁハデス、お前のおかげで村がどんどん良くなったよありがとう」

 「いやいいんですよ、この村の皆んなが何もわからず彷徨っていた俺を救ってくたお陰で今の俺があるんですから」

 「ハデス……」


 そうこの村のゴブリン達は、目覚めたばかりの俺が山を彷徨っているのを発見し、村へ迎入れ温かいご飯をくれたり、大工という職をくれた。

 そう俺はこの村に恩があるのだ、だからこれくらい大した事はない。

 あと、色々あってミノタウロスの量を30から150体ほどに増やし、ガーゴイルという空を飛ぶ強い鳥のような絶滅種の魔族も100体ほど召喚した。

 この辺りはまだ、治めている優秀な魔族もおらず、近隣の村々で争いが絶えず、この村にも何度も他のゴブリン村の奴らが攻めてきた。

 それを撃退する必要があり、ミノタウロスやガーゴイルが必要だったのだ。

 またいつ奴らが襲ってくるかわからんな。


 「おやっさん、まだこの村は未完成なところが多い、でもゴブリンは手先が器用でとても優秀な部族だと俺は思う、だからーー」

 「だから?」

 「ここら一帯のゴブリンの村を統治して、ゴブリンの国を作ろうと思う」

 

 俺がそう言うと、おやっさんはニコッと笑った。


 「ああ、やれるさハデスお前さんなら、だってお前さん強いし良いやつだもんな、そんな奴なら皆んなを纏められるさ」


 スキル"上に立つ者の眼"でおやっさんを見ると、服従度が100になっていた。

 これが服従魔法を使わない服従である。

 よしこのままゴブリンの村々を統治しにかかるか。

 まずは武力で他の村々を制圧し、仕方ないけど服従魔法を使い村の長を服従させよう。

 あとの村人達は勝手についてくるだろうから、それをうまくコントロールしてどうにかすればできるはずだ。

 

 「よし、うまくいったな」


 そこから3ヶ月後、俺は近隣の村20個を手中に収め、気がつくとゴブリン約1万の長となっていた。

 今俺は、元いたゴブリン村に塔を建てそこに暮らしている。

 ヤマトからの話で俺は巷で、ゴブリンの王と言われているらしい、まったく元魔王が今はゴブリンの王か……まだまだこれからだな。


 「ハデス様」

 「ゴブリンのばあさん!」


 俺が塔の最上階からゴブリン村を眺めていると昔おにぎりをくれたゴブリンばあさんがやって来た。


 「ハデス様がこの村に来て約半年、村はもはや街となり、無数にあったゴブリン村はまとめ上げられて国となりました、あなた様は一体何者なのでしょうか」


 何者か、ちょっと前なら元魔王と答えていたが、考えてみると過去の栄光に縋りつく情けない奴に見えなくもないよな。

 よしここはこう答えるか。


 「ばあさん、俺は何者でもないですよ、でも今は皆んなのお陰で王になりました、そう俺はゴブリンの王とでも名乗る事にします」

 「は、ハデス様ぁ」


 そう言ってばあさんは跪いた。

 あとばあさんの服従度も100になった、嘘だろこのばあさん、まだ100じゃなかったのかよ。

 まぁいいや、ここから俺の覇道をまた始めるとするか。 

 手始めにここら辺の魔王領治めるか。

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