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第一夜 元魔王、大工になる。

 「おいハデス、そこの木材取ってくれ」

 「はい!おやっさん」


 俺の名前はハデス。

 元魔王だ。

 つい先日1000年の眠りから人知れず復活し、現在は魔王領と人間領の境目の辺境で魔王軍の下っ端としてゴブリンの家づくりに励んでいる。

 

 「いつもありがとうね、ハデスさん」


 木材を運んでいると、ちょうど今作っている家に住む予定のおばあさんゴブリンが話しかけてきた。


 「いえいえ、いいんですよ」

 「ハデスさんこれ食べて」


 そう言っておばあさんは、手作りのおにぎりを渡してきた。


 「ありがとうございます、お礼は必ずしますね」

 「いいのよお礼なんて、それよりも体に気をつけて頑張ってね」


 おばあさんはそう言ってスタスタと歩いて行った。

 俺はその背中に深々と頭を下げた。

 今は頭を下げることしかできないが、いずれ俺は魔王に返り咲きこの世界を必ずまた統一する。

 その時に必ずあのばあさんにも恩返ししよう。

 そう決意して俺はおにぎりを食らった。


 「さぁてもう一仕事するか」

 「た、助けてくれー」


 おにぎりを食い現場に戻ると、遠くから逃げるゴブリンの集団が現れた。


 「どうしたんだ?」

 「いや勇者が、勇者が出たんだ」

 「勇者だと?」


 勇者、この世界に複数存在している魔王軍の宿敵にして千年前俺を封印した存在である。

 あのときは、油断して魔族の人質を複数人取られ封印されたが、今回はそうはいかないぞ。

 さぁて千年の恨み晴らしにいこうか。


 「クソゴブリンどもめこんなところに集落なんて作りやがって」

 「やめなさいあんた」

 「なんだお前、ババアのゴブリンかよ、長生きしやがってこの害虫が」

 「おい、何が害虫だお年寄りに失礼だろ」


 勇者がゴブリンばあさんを切り裂こうとした瞬間、俺は瞬間移動でばあさんを助けた。

 しかしなんだあいつは本当に勇者か、見たところレベルも30程度で、ステータスも全てが最低ランク。

 一体どうなってるんだ。


 「ありがとうハデスさん」

 「いいんですよこれくらい、おにぎりのお礼です」


 そう言って俺はばあさんを下ろし、勇者のような奴に向き直った。

 

 「な、なんだよお前大きいな、見たところゴブリンではないな」

 「え、俺か元魔王だけど」

 「は?おいおいなんだよそれボケてんのかよ」


 勇者のような奴は震えながらそう言った。

 うーんやっぱり勇者って感じがしないな。

 だいたいこいつ言動があまりにも酷すぎる。

 

 「ひとつ聞きたい、お前は勇者なのか?」

 「は、勇者だけど、ちゃんと勇者学校出て勇者協会に登録してるし」

 

 勇者学校、勇者協会?なんだそりゃ。

 色々千年で状況が変わったようだな。

 よし、こいつを捕らえて色々吐かせるか。


 「そうかわかった、すまんな勇者くん俺の眼を見てもらってもいいかな?」

 「あ?眼を見るだ、一体なんだっていうん……あれ身体が……」

 『ドスン』


 勇者は俺の眼を見るや否やその場に倒れた。

 スキル邪眼、発動すると眼を見たものを気絶させる能力である。

 レベル差が5以上あれば発動する。

 俺のレベルは888なので、こいつくらい余裕でいける。

 

 「すごいねぇハデスさん」


 勇者を気絶させ、脅威は去ったと認識したのかゴブリンばあさんが駆け寄ってきた。


 「大したことじゃないです、ただこいつには色々聞きたい事があるので、ちょっと連れていきますね」

 「ええ、大丈夫ですよ」

 「ありがとうございます、戻ったら立派な家作るので」


 そう言って俺は、勇者くんを連れ瞬間移動した。

 とりあえずこいつからは、勇者陣営の話を洗いざらい話してもらおう。

 

 


 

 


 




 

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