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第27話 ダストの自爆

 そのまま、どれくらい時間が経ったのかわからないが、俺はうずくまった状態で息をしていた。


「くっ……はぁ、うっ……生きてる?」


 自分の声が遠く感じる。

 爆発で耳がおかしくなっているようだ。


 目の前の男は、爆発で跡形もなく消し飛んでいた。


「えっ……殺した?俺が?」


 途端に、不安になってきた。

 俺がエーテル燃焼の力を放出した結果爆発させたのか?よく覚えてないが……


『ハッ、こいつ、自爆しやがった。

 俺が防がなきゃテメェも死んでる。ありがたく思え』


 いつのまにか隣にいたアルが、いつもの口調でそう告げた。


 自爆したのか……

 俺が人を殺したわけではないと分かり、少しホッとした。

 自爆……自爆か……っ!しまった。


「やばい!セド達に伝えないと!」


 この集団の目的は、イドラ鉱石を奪うことじゃない。

 優秀な白金パール黒硫黄サルファ上位を殺して世の中に復讐することだ!


 俺は焦る気持ちを抑え、周囲のエーテル燃焼の気配を探る。


 まずい……今の爆発で、エリカ達が引き返してきている。

 このままだと、さっきの集団と接敵しそうだ。


 俺は白金パールレベルの燃焼を開始し、急いで追いかける。


「クソ……ッ」


 時間がない。

 イドラ鉱石に爆発物を仕込んだと言っていた。


 白金パールとはいえ、エネルギーを纏っていない状況で直撃すれば……おそらく死ぬ。


『世話が焼けるやつだ』


 !右胸の出力が上がる。

 アルが補助してくれているのか。


 速度が目に見えて上がる。

 これなら……っ! クソッ接敵したか!


 集団とエリカ達追跡部隊のエーテル燃焼の気配が、一気に強くなった。

 おそらく、戦闘が始まったはずだ。


 俺は真紅ルビーの力で、一気に距離を詰める。


 追いつくまで、数秒……

 圧倒的な速度で進んでいるはずだが、一秒がもどかしい。

 ……見えた!

 真紅ルビーのエーテル燃焼を止める。


 犯人集団はすでに半壊し、取り押さえられている。


 まずい……あの自爆した男は、体に爆薬を仕込んでいた。

 周囲に散らばったイドラ鉱石の袋も、何人かが手をつけている。


 セドはどこにいる?

 まだ自爆していない?

 良かった。失敗したのか?


 目の前の情報を、必死に整理する。


 いや……唯一の白金パール、エリカは今どこだ?


 エリカを探すと、集められた犯人達に近づいているところだった。


 まずい!一番の狙いは白金パール……

 やるとしたら、このタイミングだ!


「爆発物だ!! 全員退避しろ!!」


 俺は現場に飛び込みながら、声を張り上げた。


 俺が声を上げると、エリカやセドが俺の方を見る。


 ほぼ同時に、犯人達の服の下が輝き出す。

 犯人の一人が声を張り上げた。


「お前らがしてきたことが許されると思うな!!死ねぇぇぇ!!!」



「自爆するぞ!!」


 俺が続けて声を出すと、エリカ達はハッとした様子で飛び退き、最大出力でエーテル燃焼を開始した。


 次の瞬間、目の前が光に包まれる。


「グァッッ!!」

 

 アルが真紅ルビーの力を使ったのを、かろうじて認識できた。


 俺も吹き飛ばされ、地面を転がった。

 そして背中が木にぶつかったところでようやく止まる。


「痛ッ……おい、大丈夫か!?」


 アルの力で防御したとはいえ、至近距離からの爆発だ。また自分の声がおかしく聞こえる。


 爆風の土埃が晴れてくると、周囲がだんだん見えるようになってきた。


 セドは……よかった、無事か。


 離れたところで這いつくばって息を荒げているが、大きな怪我はないようだ。


 エリカは……怪我をしたのか!?

 血まみれで呆然と立ちつくしている。

 

 いや……返り血か。

 白金パールレベルを失ったら一大事だ。

 一瞬ヒヤリとしたが、エーテル燃焼が間に合ったのか無事のようだ。


「ウッ……ゔぅ……」


 周囲でうめくような声が上がる。


 追跡班のメンバーの何人かは立ち上がったが、倒れてうめき声をあげている人もいる。


「大丈夫か!?」

 

 倒れているメンバーに気がついた仲間が、近づいて声をかける。


 間に合わなかったのか……?


『多少の怪我はあるかもな。俺は寝るから、あとは適当にやっとけ』


 そう言って、アルは消えた。


 ……多少の怪我?

 アルの言葉に疑問を覚える。


「っ怪我人は!?」


 今まで呆然として立ちすくんでいたエリカが、ハッとして皆に声をかける。


「病院に運ぶ必要はありますが……致命傷はないです!」


「こっちもです!」


 倒れている仲間に駆け寄っていたメンバーが、次々と声を上げる。


 ギリギリ間に合ったか。


「全員、生きてるの……?」


 ホッとしたようにエリカが呟く。


「っ犯人達は!?」


 そして、ふと思い出したように犯人達を探した。


 だが、見つからないだろう。


 完全な自爆だった。

 爆発でバラバラになっているはずだ。


 皆状況を察して、黙り込む。


 そんな中、セドが近づいてきて、大きな声で俺に声をかけてきた。


「シュウヤ!ありがとう……

 お前の注意がなかったら俺達も……」


 皆の視線が俺に集まる。

 だが、俺と目が合うと、皆決まりが悪そうに目を逸らした。


 灰塵ダストに助けられたというのが悔しいのだろう。

 流石に少しは感謝してほしいけど。


「スピードに着いていけなくて遅れたけど、一応後ろを追ってたんだ。

 ギリギリだったな」


 でもほんと、間に合ってよかった。

 俺が犯人達を見逃していたら、セドも死んでいたかもしれない。


 エリカが神妙な表情で、俺たちの方へ近寄ってきた。


 そして、俺とセドにしか聞こえない小さな声で尋ねた。


「なんで、犯人達が自爆するってわかったの?」


 エリカに尋ねられ、言葉につまる。

 なぜか……流石に直接聞いたとは言えない。


「……昔の俺だったら、そうすると思ったからだよ」


 あの自爆した男の言葉を思い返しながら答えた。


 昔の俺だったら、きっと同じことをしただろう。


「……そう」


 エリカやセドの感情はわからないけど、とりあえずそれ以上は何も言わなかった。


 ただ、とても暗い表情だ。


「このことは報告しておくから、あとは……」


 エリカが俺に告げると同時に、他の追跡部隊が焦ったように飛び込んできた。


「大丈夫か!? なんださっきの爆発は!」


 近まで来ていた部隊が、さっきの爆発に驚いて駆けつけたみたいだ。


 エリカがこちらをチラッとみたが、すぐに声を発する。


「袋に爆発物が仕掛けられているかもしれないから注意を! 皆さん、まずは怪我人を病院に運ぶのを手伝ってください!」


 エリカは俺たちの元を離れ、追いついてきた他の部隊に状況を伝え始める。


 俺たちは慌ただしく、怪我人の対応や爆発物の処理を開始し、キステリの街へと引き返した。


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