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第24話 バンク強盗

 アルに突然注意を受け、外に目を向けると微かに揉めているような声が聞こえてきた。



「どうした?

 ……なんか外が騒がしいな」


 セドも異変に気がついたようだ。


 とりあえず、用事も済んだので出口の方へ向かうと、何人かが速足でバンクに入ってきた。


 焦った様子で受付に向かうと、イドラ鉱石の引き出しを依頼している。


 さっきまでバンクを囲むように立っていた警備の人間は、慌ただしく走り回っていた。


「シニガミの襲撃か?

 鐘は聞こえなかったけど……はあ。徴用校に戻った方がいいかもな」


 セドが未練があることを隠さない声色で言った。


 何かあったなら、緊急の招集がかかる可能性もある。確かに戻った方が賢明かもしれない。


「えっ…… 列車止まってないか? 中央行きも全部!?」


 仕方なくキステリの駅に入った俺たちだが、列車が止まっていることに気がついた。


「ほんと、何があったんだよ……」


 セドと呆然と立ちすくんでいると、近くの軍人が大きな声を出していた。


「徴用生や軍人で手が空いている人!

 中に集まってくれ、緊急招集の許可は出ている!」


 確かに緊急事態が発生した際、徴用生は協力義務が定められている。


 とはいえ、今まで緊急招集なんてなかった。

 こんなの初めてだぞ……


 列車近くの場所に、数人だが徴用生が集まっていた。

 おそらく俺たちと同じで、たまたま居合わせたのだろう。


 おそらく先輩と思われる人物が、俺たち徴用生に声をかけてきた。

 

「バンクへの輸送列車が襲撃されたと情報が入った。

 加工済みイドラ鉱石を持って、集団で逃走している。

 即席になるが、追跡部隊を組んで彼らを追ってくれ」


 その言葉に皆ざわめいた。


「イドラ鉱石の強奪!?」

「チャンスだ!捕まえられたら大きな功績になるぞ!」


 周囲の徴用生たちが色めき立つ。

 今にも走って追いかけていきそうな勢いだ。


「おい!落ち着け。今回の集団には黒硫黄サルファレベルのリーダーがいるとの情報もある。

 迂闊に手を出すな。

 見つけたら位置の報告だけでも構わない」


 興奮した皆を諌めるよう、先輩は必死に声をかけた。


「街への出入り口はすでに検問が始まっている。

 戦闘に自信がある人は西側の森林地帯を探してくれ。

 戦力にならない人はここに残って伝達役をやってもいい」


 その先輩はチラッと俺を見ながら、矢継ぎ早に情報を伝えた。


 なるほど、戦力にならない人は無理に追わなくてもいいのか。

 俺は灰塵ダストだから、普通に考えたら残るべきだけど、どうするか……


「問題がなければ、チームを組んで追ってくれ。

 誰かまとめられる人は……」


「私がやります」


 ……おい、聞き覚えがある声だぞ。

 嫌な予感がして後ろを振り返ると、エリカが速足でこちらに向かってきていた。

 街中からちょうど今、合流したみたいだ。


「これは……白金パールがいれば心強い!

 お願いします」


「はい。では、追跡できる人は私と一緒に来てください」


 エリカは俺たちを見ながら指揮を引き継いだ。


「どうする?シュウヤも追うか?」


 セドが少し迷った様子で尋ねてきた。


 追跡部隊というからには、エーテル燃焼で身体能力を上げての行動になる。

 灰塵ダストの俺がついて来れるか気にしているようだな。


「セド君、貴方は確か黒硫黄サルファ上位レベルだったよね? 着いてきてくれる?」


 エリカがセドに声をかけていた。


「え? あー……」


 セドがチラッとこちらを見る。

 いや、女好きとしてここは即答していいところだろ……変なところで気を使う奴だな。


「セド、今は急いで追跡する必要がある。俺はいいから先に行ってくれ」


「そうか? 悪いな……」


 セドが申し訳なさそうに俺を見る。

 ちょっとだけ罪悪感はあるが、俺も一人の方が動きやすいしな。


「あと、よければアザカも一緒に……」


 エリカが俺たちの後ろにいた女の同期に声をかけた。

 チャージリングを見ると、同期の黒硫黄サルファのようだ。


「……私のレベルじゃ着いていけないでしょ?

 ここに残るわ」


「そ、そう? わかった」


 なんだ? 少しギクシャクしたやりとりのような気が……


 このアザカという子は黒硫黄サルファだけど下位レベルなのか?

 エリカさんの知り合いなら、エーテル燃焼レベルは高いのかと思ったけど……


 セドに視線を向けると、同じく少し気になったようで、目が合った。


 だがエリカは気を取り直し、皆を率いる準備を始めた。


「では、急いで向かいましょう。時間がないので、追いながら陣形を決めます」


 エリカが5、6人の徴用生をまとめて出発する。


「シュウヤ、お前も気をつけろよ!」


 セドが俺に声をかけてエリカ達と駅を出て行った。

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