復讐を誓う
村が燃えている
いつも優しかった村長の家
僕の幼馴染のルイスの家
僕の初恋だったマリサの家
「父さん!母さん!姉さん!」
そして僕の家
全部、全部、全部、全部、全部、全部、ぜんぶ、ぜんぶ、ぜ、んぶ
燃えている
はぁはぁはぁ‥
まわりから悲鳴はもう聴こえない、すごく煙たくてかすかに肉や木材が焦げる匂いがかすかにする
とても熱くて、煙で息がしづらくて、
そして一面の赤
誰も生きていないと頭ではわかっていても叫び続ける
「だれか!!いないの!?返事をしてよ!!!」
叫んで、叫んで、叫んで、叫び続けて
息ができなくなって
「はぁはぁ、だれも、いない、の‥?」
意識が朦朧として、歩けなくなって‥
そこでぷつんと意識がとぎれる
チュンチュン
‥い、お‥い、レイ、おぃ
「‥ん」
「起きろ!!レイン!!!」
「!!」
目が覚めた、うるさい声と眩しい朝日で
「あ、起きた。てかはやく支度しろ!!今何時だと思ってる!!お前が遅刻したら同室の俺も怒られるだろうが!」
「すまない。‥というか今何時だ」
時計を見るとこれはまずい。あと10分で支度をして部屋をでないと騎士長の怒声を朝から浴びることになる
いや、10分で支度しても間に合うか五分五分だ
「ほら!着替え!早く着替えろ!朝飯はパンがあるから食いながらいくぞ!」
「あぁ、ありがとう。というか俺を置いていってもよかったのに」
「だから!同室の俺も怒られるんだって!」
目の前で忙しなく動いているこの男はロイ・リース
俺と同じくルーデン国の騎士見習いでありルーデン国の騎士が多く生活している寮の同室、いわばルームメイトだ
「レインが寝坊って珍しいな、いつも俺が起こされる側なのに‥」
「ちょっと昔の夢を見てしまってな、悪い」
「ふーん、故郷が恋しくなっちゃった?」
「‥‥‥そうだな」
ズキン、思い出すな、冷静になれ
「‥‥」
「着替えたか!着替えたな!走るぞ!」
ー訓練所
‥ドドド、バン!!!
「「遅くなりました!!!」」
すでに訓練所に集まっていた騎士と見習い騎士達が一斉に振り向く
「あと30秒で遅刻だったぞ」
そして険しい顔でこう呟いた初老の男はエルデール国の騎士の長、サーベル騎士長である
「「すみません!!」」
「まあ間に合ったんならいい、はやく並べ」
俺とロイはくすくすと周りに笑われながらすみやかに定位置に並ぶ
「静まれ!朝礼を始める」
サーベル騎士長の一声で場の空気が変わり朝礼が始まる
「えー、皆は我がエルデール国とジュナ国の戦争が始まったことは承知だと思うが戦争に参加している人員が足りておらず何名かエルデール騎士団より向かってもらうことになった」
エルデール国は頻繁に戦争をしており、エルデール国には戦争の為の軍隊、エルデール軍があるのだが軍が足りない場合はこうして騎士団より人員を補充することがあるのだ
‥俺は見習い騎士だから参加はできないが
そして騎士の名前があげられていく
以上だと騎士長が騎士の名前を何名か呼んだ後に続けた
「今回は多くのものたちに戦争に参加してもらう訳だが我がエルデール国をお守りすることがエルデール騎士団の役目。騎士団の本来の目的を忘れちゃいかん。そこでだ、戦争に参加するものたちの穴埋めとして見習い騎士から何名か正式な騎士へ昇格してもらうことにした」
‥やっとだ、やっと、騎士になれるチャンスがまわってきた
エルデール騎士団所属の騎士になるには騎士見習いを5年続けたものが試験を受けることができ試験に合格をすれば晴れてエルデール騎士団へ正式に入団できる
俺は、この為だけに生きてきた
「試験は5日後に行う、条件は通例通り5年以上我が騎士団に所属しているものだ。試験に参加したい見習いは本日中に私に申出をしなさい。」
絶対にエルデール国の騎士になってやる
そして必ず
‥エルデール国へ復讐を




