アパート
「【ボーダーライン】をやっていた形跡があるのは喜多河だけですね。それも貴方達がいうゲームなのかどうか……」
喜多河以外は【ボーダーライン】をやっていない。だが、塩見だけでなく、河相以蔵に相談等はしていたかもしれないが……西宮刑事は別のゲームの可能性を示唆したのは何故だ?
「そろそろ、喜多河のアパートに着きます。一応、場所は保存してますが、大家も家を開けたいらしく、今回限りと思ってください。他のメンバーも一人暮らしをしていて、すでに解約状態になっているので」
「凄い現実的な理由よね。喜多河って人の以外は、荷物とかも撤去されてるんでしょ」
家賃が滞納状態ならそうなるだろう。しかも、亡くなってるのなら支払われる事はなく、当然の結果だ。もう少し遅れていたら、喜多河の部屋も綺麗に無くなっていた事だろう。
「着きましたよ。大家には先に伝えてますので」
車から降りると、周囲をの建物に比べると、少し古めかしいアパート。そこの大家らしき老婆が睨んでいる。
「事件は解決したんだろ? 早く部屋を開けたいのに……今日が本当に最後だからね。どうせ荷物は捨てるんだ。気になるのは持っていってくれ」
老婆は西宮刑事に鍵を渡すと、俺達に睨みをきかせながらも、自身の家の中に入って行く。
「怖っ……あの婆さんが鬼婆という妖怪かも」
睨まれたのが気に喰わないのか、メイデンは文句を言ってる。殺人事件が起きたのだ。アパートの評判が落ちただろうし、新規の入居者を取るのも難しい。老婆の態度が悪いのも仕方がない。
「住人には優しい大家らしいですけどね」
西宮刑事が喜多河の部屋のドアを開けた。六畳1Kの部屋で、真ん中の端に机とPCがあって、それ以外は本棚……本に埋め尽くされている。勿論、民俗学の本ばかりであるが、その中でも怪奇、妖怪等のジャンルが大半を占めていた。
「現場はそのままなんですか?」
「ですね。争った形跡はなく、塩見の部屋を調べましたが、盗まれた本等は無さそうでした。机に倒れる形で死んでいて、血の痕も残ってます」
確かに机付近は血が飛び散り、それが乾いて黒い染みのような物になってるのが分かる。
「背後から刺されたんですよね。無防備な状態だから、知人だと踏んだわけですし」
【ボーダーライン】をしていた可能性もあるが、それでも部屋を自由に入る事が出来たのは、知り合いだった可能性が高い。
「PCを調べても良いですか?」
喜多河のPC内に【ボーダーライン】のゲームがあるかを確認しなければいけない。メッセージが届いていれば確定だ。
「勿論。そこにあるノートも構いません。自分には理解というか、眠くなるというか……」
PCの側にノートの山がある。西宮刑事の言い方からして、河相宗とは違って、日記ではないだろう。
「後から調べさせてもらいます」
PCはスリープ状態のままで、IDやパスワードは不要。警察も調べた後なのだろうが、事件が起きた時と同じ状態にしているはず……




