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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
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事故現場の壁紙

 俺はノートの続きを捲っていく。河相宗はまだゲームが現実に反映されたのか半信半疑の状態。いや、信じる方には傾いているが、決め手になる時があるはず。


「これは【首狩り族】の事を言ってる? 確かに被害者の名前は公表されてるけど……」


 隠見が戸惑うのも分かる。これだと本人かは判断出来ないが、ゲームの出来事を考えると、信じてしまってもおかしくはない。


 一緒に行動した奴に裏切られた。ログインの時間差で罠を張るなんて。無事だったのは良いけど、逆にそいつが殺される事になるなんて。シザーマンからは逃げられない。他の殺人鬼も殺していく。


 ネットニュースが流れてきた。最近は物騒な事件が増えている。その中で岩波(いわなみ)(かえで)という女性の名前が【首狩り族】の被害にあった。カエデは俺を裏切った奴の名前と同じ。彼女も首を切られてしまった。もしかして、【首狩り族】の被害者は全員、このゲームで死んだ……


「そう思わせる事がゲームの中であったのかもしれない。【透明人間】だけじゃなく、【首狩り族】の関係性もあるのか? 二つの発生時期次第か」


「そこまでは管轄外なんですよ。【透明人間】事件は下手すれば、ただの事故死として扱われてる場合もあるから、何時からの判断は難しいです」


「そうだよな。監視カメラがあったから良かったが、人の目撃情報は0。単なる事故死が【透明人間】だった場合もある。今回はその例を教えてくれたわけだ」


「まぁ……そこまで調べるとなるとキリがないですから。続きを見ますよ」


 閉じ込められた。自分の部屋から外に出れない。あの場所から脱出しないと駄目なのか? 


 お金が全然入らない。死活問題だ。アピールする暇はない。ログインしないと駄目な時間が増えていく。


 痛い痛い痛い。みんなが俺を殺そうとしてる。死にたくない。


「後は死にたくない、殺されるとか、そんな言葉ばかり書き殴られてるな。気になるのは『お金』という言葉。ログイン時間が増えていく状況だから、バイトが出来なくなったという意味か?」


 自分で言いながら、そうではないと思っている。『死活問題』もそうだが、『アピール』という言葉が気になる。


「親に対してアピールしても無駄だと、本人が分かってるはずですもんね。けど、死活問題というのも、最低限の生活費は貰っていたと思うんですけど?」


「何のために金が必要なのか。ゲームでも課金しないと駄目なのもあるが、それをあの親が払うわけがない。そもそも、ゲームの名前は何だ?」


 日記にゲームの名前は記されていない。知られ無いようにしているのか。内容も詳しくは書かれていない。罠、裏切り、殺人鬼等の言葉が使われるなら、脱出ゲームやミステリー、怪奇案件ならホラーゲームが妥当であるのだが。


「本命のPCを調べましょう。少しでもゲームの痕跡を見つけないと」


 隠見がキーボードに触れるとPCに光が灯り、パスワード無しに画面は開いた。そのまま放置していたのかと思ったが……


「……どういう事? これを事前に送られたとしても、壁紙にする意味はないでしょ」


 PCの壁紙には凄惨な事故現場が貼られていた。鉄骨に下半身が潰され、上半身だけが見えている。


「これは河相宗の事故現場の写真だったりするのか?」


「……はい。しかも、監視カメラの映像よりも近い距離で……です。監視カメラをすり抜けて、この写真を取れる場所なんて」


「……ないって事なんだな。しかも、これを本人が貼るのも無理がある。死んでるんだからな。事前に送られたとしたら、河相宗はこの場所に足を踏み入れないだろ」


 これが怪奇現象や予知映像だとすれば、本人は回避しないわけがない。ゲームの出来事が現実に起きてると思っているのだから余計にだ。

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